未来マリア
生まれる瞬間が……
未来マリアの下腹部は誰の目から見ても巨大に膨れているのがわかった。
時折、ドクン……ドクン……と波打つように振動している。
「ふあ、痛い…… 誰か助けて……」
弱々しくホールの中央の十字架に架けられているマリアはか細い声を上げている事しか出来なかった。
「アァ……! 生まれる…… 何か出て来ちゃうよぉ……」
バシャァ……ポタポタポタ……
股間を羊水が流れ落ち、十字架の下の水溜まりを急速に大きくして行く。
ザワッ……
今までステージの上に並べられていく商品の競りに集中していた人達が一斉にマリアの方を向いた。
今まで何度も助けをもとめ、何度も苦痛を訴え、それでも誰一人として振り向く事が無かった人々が、マリアの子宮から流れ出た羊水が床に落ちた音だけでこれから始まるショウに期待して静まり返ったのだ。
「うそ、助けて下さい……」