しかし、ミキはすぐに自分の「五つ子」を抱けると思っていたが、様子がおかしい。マダラマンたちは慌ただしく撤収作業を始めたのである。それも分娩台にミキを固定したまま。
 そのうちに、いつも連絡をよこすリーダー格らしいマダラマンが2,3人のマダラマンを引き連れて来てミキを取り囲むと、彼らはミキの3点ピアスを荒々しく外した。
「これはもう動かすことができないガラクタだからな!」
 そう言い捨てると、なんとミキの身体に残るピアスホールを利用し、新たな3点ピアスを着け始めた。分娩台に拘束されているミキは何ら抵抗できない。
「それは出産祝いだ!本当なら作動するかチェックしたいが、時間がない。ま、それは100%完璧な代物なので、不安はないがな。」
そう言い残すと、マダラマンは全員姿を消した。
「ちょ、ちょっと待って! 私の子よ! せめて顔だけでも見せて、お願ぁ〜い!!!」
 ミキは分娩台上で大声で叫び続けるが、無論返事はない。
 楽なお産だったとはいえ体力を大きく消費していたミキはしばらくして眠りについた。
 ミキは結局「産む機械」として利用されただけだったのだ。「骨折り損のくたびれ儲け」とはこのことだった。