「どうしたの? モモコ先生」
「え……?」
 戸惑いを隠しきれないモモコが視線を正面に移すと、助平心を剥き出した野球帽の少年と目が合ってしまう。
「まずはモモコ先生との約束……でしょ?」
 数秒間を置いて、ようやくモモコは精神集中の合図を告げたのだと気づかされた。
「そうだったわね……」
 すでに他の少年たちは両手を組んだポーズで目を瞑っている。
 モモコは両手を合わせて印を組む。オーラパワーを引き出す時に使う手印だ。
 三十秒間の瞑想をするのはモモコ先生の決めたルールである。

(そうよ! あたしは先生なんだもの……恥ずかしがってる立場じゃないわっ!)