「……眩しいっ!」
 初夏の太陽が夏の太陽が燦々と降り注ぐ真下で、モモコは目を細めた。
 キリリと引き締まった気の強そうな顔立ちで、アーモンド型の黒目。艶やかな黒髪は、背中に伸ばされた長さで切り揃えられ、ワンレングスのストレートに整えられている。
 着ている衣服は時期に相応しく、真っ赤なタンクトップの上に、赤と白の縞模様柄のカーディガンを羽織り、純白のホットパンツとスニーカーという開放的な夏服であった。
「ほら、行って来いよ」
「う、うん……」
 宇宙幕府ジャークマターの支配する地球――日本の都市部を統治するエロインダベーの攻撃宇宙戦艦モライマーズに囚われの身になっているピンクマスクことモモコの首には、性奴隷の証である無骨なデザインの首輪が嵌められていた。
「……あたしは、地図に書かれた場所に行って、このメモを渡せばいいのよね?」
 久しぶりに牢屋から外出を命じられたモモコは確認する。
 今回は衣服の着用を許された代わりに、ピンクマスクに変身する必須アイテムの腕輪――マスキングブレスを取り上げられていた。ジャークマターの科学力をもってすれば、強化スーツの秘密も解析されてしまうのは時間の問題だろう。
(早く、戻ってこないと……っ!)
 敵の言う通りに動くなど悔しさが込み上げてくる。
「そうだ。簡単なお使いだろう?」
 ジャークマターの下級戦闘員インダベーが、外出を躊躇するモモコの背中をドンっと押し出してくる。
「ちょっと! 乱暴に押さなくても行くわよ」
 モモコは気丈にインダベーの腕を振り払って、強気な瞳で睨みつける。
 モライマーズ艦内の出入り口ハッチには、見張りと思しきインダベーたちが待ち構えていた。好色の視線を浴びせられ、モモコは頬を真っ赤に染めた。
「ジロジロと見ないでよ……」
 モモコは桜色の唇を噛みしめてゆっくりと歩く。モライマーズ艦内で働くすべてのインダベーに、性の捌け口にされているモモコの現状。
 本当は嫌で仕方ないが、性奴隷に拒否することはできないのだった。