「よく来てくれましたな。モモコさん」
 協力機関の研究員は、徹夜明けの実験室からそのまま出てきたような恰好だった。よれよれのスーツの上から汚れた白衣を着ている。
「今回はお招きいただき、ありがとうございます」
 マスクマンの代表として選ばれたモモコが挨拶をする。
「これはこれはご丁寧に……写真で見たよりずっと美しいですな。モモコさん」
「うふふ」
 モモコは愛嫡のある仕草に笑顔を浮かべ、どんなことをするのかワクワクとしていた。
「姿長官が考案したマスキースーツは、装着者がオーラパワーを引き出すことで最大限に戦闘力が発揮できます。それは姿長官本人が実演してくれました」
「へぇ~」
 モモコは感心したように頷く。
 あの姿長官がマスキースーツを――体格からすると、レッドマスクかブラックマスクだろうか――を装着していたことなど想像すると、少し笑いが込み上げてくる。
「しかしそれでは男性型と女性型では、強化スーツの性能の違いがあるため、今回はモモコさんをお呼びしたんですよ」
「わかりましたわ。喜んで協力させていただきます」
 モモコは信用と歓喜の入り混じった笑顔で振り返る。
 にこやかな笑みを向けられた研究員は、ポッと頬が朱に染まった。