「さっさと歩け」
「くっ……」
 艶やかな黒髪が麗しいモモコは両腕を腰の後ろで手錠で嵌められ、ゴーミンに命じられるままに無機質な機械仕掛けの廊下を歩かされていた。
「ちょっと、乱暴にしないでよ……!」
 捕虜の扱いに文句を言うも、宇宙帝国ザンギャックの慰安婦奴隷に正当な扱いは許されない。
「この部屋だ」
 ゴーミンに肩を押されるままに、モモコは目的の部屋に足を踏み入れた。
「あっ……」
 室内には、モモコの腰ぐらいまでしかない背の低いゴーミンが十人ほどいた。彼らの視線が全裸のモモコに集中してくる。
 噂には聞いている。
 ザンギャックに拉致された一部の戦隊ヒロインがゴーミンに孕まされて産んだとされる――子供ゴーミンたちである。
(ホントなの……?)
 今までゴーミンに犯されたことは何度もあるモモコだが、いまだにゴーミンの赤ちゃんを孕んだこと一度もない。
 子供ゴーミンたちはやや興奮した面持ちでモモコを見てくる。そのキラキラとした眼差しはどこか純粋な輝きに満ちていた。
 後ろのゴーミンとは大違いだ。
(そういえば、あの子たちは元気かしら……?)
 以前、定期的に指導していた太極拳の愛弟子たちの顔が思い出される。
 愛弟子の顔と子供ゴーミンの顔がダブって見え、優しい気持ちにされるのは不思議だ。
(よく見れば、可愛いものじゃないの)
 モモコは倒錯した思いに馳せていた。
 ふと隣に立つゴーミンの醜悪な貌が視界に映る。
「……それで? あたしになにをさせたいのかしら?」
 子供ゴーミンたちに勇気をもらった気分になるモモコは挑戦的に問いかける。
「モモコは子供を教えるのが上手らしいと聞いた。だから、今回はその身体を教材として性教育を伝えてもらいたいのだ」
「そんなことをあたしが――」
 するもんですか! と抗議しようとしたら、ゴーミンが含み笑いを持たせて耳元で囁いてくる。
「モモコが教えていた太極拳の愛弟子の中には、確か少女も何人かいたっけな〜? そいつらを攫ってきて、代わりを努めてもらってもいいんだぜ? どうするよ、モモコ先生?」
「――やるわよ! やればいいんでしょう!」
 モモコは躊躇することなく、凛とした顔立ちで宣言する。