「なに、読んでいるの?」
 オレンジ色に咲きほこるパンジーの園から、モモコがぬっと覗かせた。
「あっ! な、なんでもないよ」
 ベンチに座っていたアキラは慌てて封筒と手紙を隠す。
「嘘! ラブレターでしょ」
「違うよ」
 モモコとは逆側に回り込んだハルカの問いに、アキラは否定する。
「ええっ? ムキになっちゃって、変よ」
 ニヤニヤと笑う様子は、モモコが人一倍に好奇心旺盛だからである。ラブレターじゃないと言われても、隠しているモノが見たいという心理が働くのは、女の子としては仕方ないことだった。
「ねぇねぇ……」
 モモコに満面の笑みを向けられ、アキラはふと視線を移動させ――息を飲んだ。
 真っ赤なブラウスの首元から、豊かに実った乳房が垣間見えたからだ。
 数か月前の、ある時点を境にモモコが下着を身に着けていないことを、アキラはたびたび見かけている。
(お、おっぱい……)
 もう少しで口に出すところだった。
 アキラは股間が勃起するのに困惑しながら、顔を高潮させていると――手元から手紙が抜き取られていた。
「返せよ!」
 盗まれた手紙を奪い返すべく、アキラとハルカが走ってゆく。