「んん……」
 紙袋の中身を箪笥へ戻している背後で竜が何かを思い出そうとしていた。
「どうしたの?」
「いや、何処かで見た気がするんだが……」
 何処かで見た紙袋だと、竜が指差してのは香が持たされた袋だ。
「え?」
 ドキン……やはりバレる方が全体にダメだと香の心臓がキュウと締め付けられる。
「ああ、そうだ思い出した今日の帰り道で元気な子供たちとすれ違ってね」
 ドキン……
「そ、そうなの……」
「ああ、その子たちが持っていたんだよ、あまりにも溌溂としていてね、僕たちにもあんな子供がいたらなぁって思ってしまって、あ、ゴメンゴメン」
 香の背筋に冷たい汗が流れ続けていた。