仕方がないなぁ　詩織ちゃんに選ばせてあげようか？」 「選ぶ？　選ばせてくれるの、私草太朗さんを裏切りたくないのよ」 　何時の間にか藁をも縋るように下宿学生を見上げていた。 「良いですよ、内緒で俺たちと楽しむか、俺たちが警察に出頭して全部社長にばらすか」 「そんな……」 　提案された選択肢が二つ、どちらも選べるものではない、しかし警察に行けと最初に言ったのは詩織だ。 「出頭はやめて……お願い」 　そう呟くしか出来なかった。 「じゃあ、約束ですよ……社長にバラされたくないでしょ？」 　もう、完全に弱みは握られていたのだ。