確認した場所とは、ちょっと違うところにその少年は立っていた。
 玄関先を投影するだけの簡単な魔法を深雪が失敗するとは、少しばかりのショックを押し隠しながら。
「えっと、ご用は何かしら? 僕?」
「用はこれだよ」
 少年はスマホを取り出すと、その画面を見せつけてきた。
「あ……あん……」
 かすかな音声とそこに映し出された映像。
「解るよね?」
 当日のことは、覚えていない、何かしらの力が加わったのか今でも疑問が残る。
 とはいえ、深雪はそうなった時の自分の肉体が信用できない。