その男がいると言う公園に来た美月。
 ゴーミンは後方に控えているが、ここに来るまでにチョッカイを出してきた男達さえ排除しなかった。
 街中で美月を犯そうとする者は流石にいなかったため、現時点ではまだ誰にも犯されていない。
 公園からブルーシートの上屋根が見えている一角に向かう。
 裸の美月を見てニヤニヤと笑う男、不思議そうに見る子供達、あからさまな嫌悪感を示す女性達の視線を受けながら、公園を進んでいく。
 目的地に到着した美月は、既に泣いている。
 拳を握りしめ、自分を奮い立たせる。
『私がやらなきゃ……』
 美月が失敗した場合は、博世やゆめりあにやらせると言われている。
 顔を上げて、浮浪者達の住んでいる区画に足を踏み入れる。
「なんだなんだ?」
「まっぱの女の子が来てるぞ。」
 美月を見つけた浮浪者が騒ぎ出し、テントから男達が顔を出す。
 目的の人物は、奥のテントにいた。
 男達にヤジを飛ばされながら、その男の元へと歩き出す。
「お嬢ちゃん、欲求不満かい?」
「俺達が相手をしてやろうか?」
 目的の人物の前に辿り着く美月。
「なんだい、ゲンさんに用かい?」
 ゲンさんと呼ばれた男は髭と髪が伸び、表情はよく見えない。
 すえた臭いが鼻をつき、背後のテントの中には寝床にしているであろうボロボロの布団が見える。