「今回の撮影は“美月ちゃんの要望”で、被虐モノになるけど、意気込みを聞かせてもらえるかな?」
 監督ゴーミンがフランクな語り口調で美月にインタビューする。
 これから行われる撮影は美月の要望で行われるように見える為の回答が用意されている。
『はい。やっと私のされたかった事をしてもらえると聞いて、凄く楽しみです。』
「被虐モノなので、苦痛を与えられる事もあるけど、大丈夫なの?」
『むしろ歓迎です。私が泣き喚いても、構わずに続けて下さい。』
「まずは、浣腸から始めようか?」
 机の上に“青柳美月専用”と書かれた浣腸器と浣腸液が並べられる。
『ファンのみなさんからもらった物を使ってもらえるので嬉しいです。』
 昨日、ファン達に渡された以上のアイテムが次々と置かれていく。
『コレを見ている人達も、私に使って欲しいアイテムや、やって欲しいプレイがあればお手紙等貰えると嬉しいです。』
 ぎこちない笑顔でカメラに向かって手を振る。
「でも、激しいプレイがいいんでしょ?」
『そうですね。そう言う内容の方が採用されやすいと思います。』
「では、本日もよろしくお願いします。」
『こちらこそよろしくお願いします。』
 インタビューが終わり、カットがかかる。
「涙は映像処理で消しておくが、もう少し自然に笑えるようになれ。」
 アゴを掴まれて上を向かされる。
 前髪で隠れている眉は笑っていない事を表していた。
「はい…」
 消え入りそうな声で、返事をする美月。
 このインタビューが元で、美月では考えつかないような内容のリクエストが来るなど、この時は思いもしなかった。