「かあさん! 起きてるの?」
 ビクンッ
 何があっても間違えることのない声。
 紙1枚も通らないほどの隙間で空いているドアの前に洸がいる。
「ほら、返事してやれよ、じゃないとドアを開けちゃうよ」
 絶望的な耳打ちによる命令。
「あ……」
 声を上げようとした瞬間に二人目のペニスが膨らみ射精した。
「起きてるんだ」
「あ……もう寝る…あっ」
 そして、耳打ちしていた彼が3人目だった。
「母さん?」
「ご、ごめんなさい……突かれているのね……ああ……行ってらっしゃい、しっかり勉強してくるのよ」
 もう、必死で声を作る。
 母親としての声。
「そう、ごめん」
「ほら洸、お母さんは朝まで仕事で疲れているだから、私と行きましょう」
「あ、お義母さん……よろんっ……よろしくお願いします」
 家族としての声だった。
「行ってきまぁす!」
 彩香の部屋の前で一度、玄関からもう一度洸の声が聞こえた。
「彩香さん、私も今日はご近所との会合で留守にしますね」
 義母の声がする頃には、また布団を噛みしめていた。
 バタン……