「激オコプンプン丸っ!」
 ドンッ!
 緑がかった黒髪を後ろで縛ったハミィは苛立ちに壁を叩きつけた。
 地球解放ミッションの際、スティンガーの兄――スコルピオの毒でゾンビとして操られたことを、相当に頭にきていた。
(次に会ったら絶対に許さないっ!)
 その悔しい思いだけを心の拠り所に、ハミィは我が身にのしかかる重大な責務に耐えながら、宇宙幕府ジャークマターの下級戦闘インダベーの三匹に案内されるに任せ、敵の基地にやってきた。
「こ、この先が目的地?」
 床も壁もグレーで統一された静かな通路。だが柔肌に粘りつくような不快な気配はより色濃くなってゆく。慣れた足取りで進むインダベーの後に、ハミィは周囲に注意を払いながらつき従った。
「いやな感じ……」
 無人の廊下にも関わらず、じっとりと舐め回すような視線を感じ、うなじがチリチリと逆立つ。すぐにでもカメレオングリーンに変身できるよう用心しながら、汗ばむ手でスカートの裾にそっと触れる。
「どこまで行くの……?」
 ハミィが不安げな視線を漂わせながら問いかける。
「我々が支配するこの世を見せてやる」
 宇宙幕府ジャークマターが支配する地球のとある地区――ダイカーンのエロインダベーの統治する基地では邪悪な実験が行われていた。