「あ、久しぶりじゃない!」
 帰り道、依然担当した卒業生が二人待っていた。
「大きくなって、どうしたの?」
「美佐子先生が結婚したって聞いてね、お祝いを言いに」
「え? わざわざ、嬉しい!」
 卒業生にも愛されている、それは教師冥利に尽きると言うものだ。
「体育の○○なんだって、相手」
「ええ、そうなの……結婚したから、彼は他の学校に転勤になっちゃったけどね」
 夫婦で同じ学校には勤務させないような不文律があった。