「気にならないか、あれが誰なのか?」
 TV局の外に出てようやく、ココナッツベイの社員はそう切り出した。
「誰か?」
 考えて見れば、小夜は小夜一人の筈で、あそこまでの反応は代役ンでも表現できないはずで。
「まさか、クローンとか?」
「ハズレだ、あれは一年後のマゾとして真の覚醒を果たした小夜さんだよ」
 その突拍子もない答えに、でもなぜか腑に落ちてしまった。