「お酒いりませんか? お酒いりませんか?」
櫻並木の下、左右にシートがびっしりと引かれ何処も彼処も宴の最中だというのに……
「おい」
「ああ、ココナッツタワーの宴会にいた女だ」
あっという間に小夜に視線が集まってしまった。
「こっちにくれよ、一杯いくらだ?」
「はい、お題はサービスになります、ただセルフで注いで下さい」
社員に言われた言葉をくり返す、酔った頭では言葉の意味を整理できない。