外来患者が去った後の診察室内は無言だった。
 ホットタオルを何枚も使って、看護師が小夜の身体を丁寧に汚れを拭き取っている。
「これが世界一の女性外科医だなんて……」
 空になった浣腸器や薬瓶を回収して、そのまま診察室を出る瞬間に看護師は小夜に呆れたように言葉を発した。
「そんな事……言われたって」
「ここに大量の浣腸液を置いておくためにはスペースが狭過ぎる様ですね、では……」