「お、来たぞ」
気配は感じていた。
「もしかして……」
「そう、コテツだ」
かつて子犬として、小夜と一緒に走ったコテツは立派な成犬へと成長していた。
「会いたかったんだろ?」
ランニング中に言われた言葉が脳裏に蘇る。
『だから必死に助けたんだろ』
牝犬としてコテツの牡を求めている様な感覚があるのではないかという不安が掻き立てられる。