「大治先生、内線○○番です」
「ありがとう」
 外科当直は、救急搬送とか夜中は忙しい時は一瞬の休みもない事も多いのだが、この日は比較的落ち着いていて小夜も少しのんびりと構え始めていた時に内線で小夜を呼んでいた。
「はい、大治です」
『今夜もおいでよ』
 聞き覚えのある優し気な声が、その中に有無を言わさぬ雰囲気を纏っている。
「これから?」
『もちろん、場所は分かっているはずだから』
 そう分かっている、つい最近そうなった場所だから……
「仮眠入ります、何かあったらコールしてください」
 看護師にそう告げるとその場を後にした。
「ごゆっくり」
「ありがとう」