プルルルル……ガチャ
「日下くん?」
「小夜ちゃん!」
「名刺は貰ったけど、約束の日時決めて無いわよね」
 小夜が日下くんにコールしたのは、次に会う約束を決める為だ、時間的に空いている所を告げて行く……
「分かった、小夜ちゃんは忙しいからね言ってもらえてうれしいよ……そうか、今日会えたのは奇跡みたいな偶然だったんだね!」
 そう、小夜が見知らぬ男たちの嬲りモノになっている事がバレなかったのも奇跡みたいなものだから。
 ツーーーー。
『じゃあ連絡するね』の言葉の後に聞こえる通話終了の音。
「終わったか?」
「まだ、日付は決まってないけどね」
 警備員が代表するように確認して来る、男たちに言われるがままに日下くんとのデートを約束している。
「良いじゃないか、お前みたいな牝マゾを受け入れて貰えるか確認が必要だろ」
 小夜にだってわかっている。甘い恋とかが似合う様な小夜じゃない。
「俺たちと賭けをしようじゃないか、これからあいつと会うのを許してやるさ、ただ何時でも側には小夜の調教者がいると思ってもらおうか」
 約束をさせておいて、その場を調教の現場にしようと言うのだ。
「え?」
「奴にバレずにそれを乗り切れたら、そうだな……ピアスだって外してやるさ」
「それも面白いな」
 鍵開け師も頷いている。
「え?」
「解放されるかもしれないって事さ、お前の変態マゾ牝としての身体が我慢できるかはその後の話だが……」
 解放される、日下くんとの恋愛……それは全く別の話ではあるのだが、一考の余地はあった。
「もう、終われるの?」
「ザンギャックTVにも言ってやるよ、牝としての生活を卒業しただの人妻になるってな」
 小夜にとって活動の根本はやりたいかどうかだ、この受動的に支配されている状況は受け入れがたいとは言うものの日下くんとの生活ははたして能動的に希望する未来であろうか……
「やろうじゃないか」
 デート中に嬲られることを受け入れたうえで日下くんとの未来を想定出来るのか……
 小夜はこの後の日常に不安しか想像することが出来なかった……