「ほらご覧ください、腸から出てくる液体とは思えない程の美しさです」
 老紳士の持ち管の先で無色透明の液体が表面張力で丸くなっている、粘度が高いのに淀みがない。
「へ……変だわ」
「これがフェロモンが見える様になった姿と言って良いでしょうね、雄を引きつけます、特に蟲に一番作用するかもしれない段階ですが……」
 信じられない事を言っていると思った時に昨晩彼が言った言葉が思い出された。
『女性の性感帯がアナルにあるという矛盾は解消されるべきだと考えています、快楽が伴うから子孫を作る行為を促すという雌雄が存在する意味……だから浣腸液で感じる様に……』
「尻の穴で身籠ったら最高じゃないですか? 蟲にアナルを犯されたら報告してください」
 そう言った彼に屋外へと追い出され、ヒメノは一人城への道を怯えながら歩くしかなかった。