花嫁
オリジナル
神への誓い……の図
挙式会場の入り口にようやく花嫁姿の杏奈がやってきた。 ピンク色のウェディングドレスがとても良く似合っている。なにしろ結婚が決まってから二人でデザイナーのところに行って採寸して作ってもらった特注のものだ。特にプロポーションを最大限に引き出すようなデザインになるように要望したから、杏奈の女性としての魅力が一層香り立っている。可愛らしい丸みを帯びた肩の白い肌を露出し、ウエストを引き絞ったデザインにすることで形のいい胸の膨らみを強調させ、さらに二の腕までの長いピンクの手袋をはかせることで、細い腕と細やかな指先のフォルムをさらに際立たせている。 その姿は、本当にどこかの国のプリンセスのようだ。 ドレスと同じピンクのブーケを両手で大事そうに握りしめ、杏奈は顔を赤らめてゆっくりと歩いてくる。 花婿の寿樹はさっきから緊張のし通しであったが、そんな彼女を見て少しほぐれた様子であった。 「随分待たせるじゃないか。……なんだ、控え室で泣いてたの?」 杏奈の目の縁が紅くなっていた。だがその瞳にたたえた光はどこかトロンとしているふうに見えた。きっと幸せの絶頂で胸がこみ上げて、嬉し涙がこぼれて止まなかったのだろう。 そんな彼女が愛おしくなって、寿樹はそっと両手を彼女の肩にかけた。 《なんにも心配しなくていいよ、きっと僕が君を一生幸せにしてみせる》 杏奈を抱き寄せて耳もとでそう囁こうとした時、逆に彼女が先に口を開いた。 「ねぇ……私の事、これからもずっと愛してくれる?」 「もちろんだとも」 「本当? 仮に私がダメになっちゃっても、愛し続けてくれる?」 「ダメって?」 どういうことなのか寿樹は聞きただそうとしたが、それ以上は無理そうだった。杏奈の目が涙で溢れかえっていたからだ。極度の緊張ですっかり気持ちが動転しているせいなのだろうか? とりあえずは頭を撫でてなだめる以外にしようがない。 再び、ぐずつきながら杏奈が話す。 「……約束だよ……嫌いにならないでね、ずっとずっと私の事好きでいてほしいの……」 「うんうん、分かってる。これからずっと手を取り合って一緒に暮らそうね」 涙を指でなぞるように拭いてやりながら、寿樹は杏奈に優しくそう言った。 「さあ、御二人とも。そろそろ挙式が始まりますので準備の方をお願いします」 係員の人がそっと声を掛けてきた。 「行こう、杏奈。二人でしっかり愛の誓いを交わそうね」 少女の面影残る杏奈の額に軽くキスをして、寿樹は勇気づけるように杏奈の背をぽんと叩いてやる。 「はうっ!」 「ほら、いつまでも泣きべそばっかりかいてたら笑われるぞ」 そうして二人は入り口の前に立ち、祭壇に続く扉が開くのを待った。 しかし寿樹は気付いていなかった。 杏奈がさっきから緊張とは違った小さな身震いをしていることを。 そして背中を叩かれたその時、彼女の限界へのカウントダウンを一層早めてしまったことを。 ◇ 「ひっ! あうっ、はぁっ、ああぁーっ!」 控え室の小さな机に両手をついてドレスのスカートをめくり上げ、杏奈は一人の男に自分の逆ハート型のむっちりした腰を突き出していた。 「へ、しばらく振りなのにお前のこのエロいケツだきゃあ代わりばえしねぇよな」 「ああ……許して、もうあなたとは――」 「言っただろ! もう俺からは逃れられないってな!」 「うあああああぁぁ!」 「男」は寿樹ではない。杏奈の父親でもなければ親戚の誰でもなかったし、ましてや友人でも仲人でもない。 強いて彼女との関係を言うならば、昔の男――いや、かつて彼女が服従していたサディスティックな御主人様とでも言ってしまった方がいいかもしれない。 彼は今結ばれようとしているウェディングドレス姿の杏奈の腰をがっちりと両手で掴み、秘裂を己の一物で貫き回していた。 男の持つそれは幼児のまるまると太った腕と同じくらいに太いのに、杏奈の陰唇はすっかり濡れそぼってそれをかっぷりと咥えこんでいた。――杏奈自身はヴェールを被る頭を振り乱し、涙を流して嫌がっているのに、だ。 「突然姿を消したかと思ったら、見合いの男と結婚だぁ? 一度牝奴隷になった奴がマトモな生活に戻れるとでもおもってるのか、オラ?」 「あうっ……! ふぁ……ぁ、お願いです、私に幸せな家庭を築く自由をくださいぃ……! 昔みたいな生活は、もう、もうぅっうんっ! ……もういやぁ……」 「うるせえ、この牝犬! 本当はこのやらしい二つの穴に男のモノが入ってりゃ満足なんだろ! あぁ?」 と、男はきゅっと締まった杏奈の菊門に親指と人さし指をずぷりと遠慮一つなく突っ込んだ。 「や、あ――」 慌てて肛門を閉じようとする杏奈よりも、男の手の方が早かった。 彼の親指と人さし指が彼女の直腸から引き出したのは、数珠つなぎになったピンボール大の球であった。 一つ、二つ――つぷり、つぷりと球がゆっくりと引き出される度に、杏奈はかん高い悲鳴をあげる。 「やはぁっ! ……あ……、あうっう!」 「御無沙汰だったわりには随分アヌスは感度良好じゃないか杏奈ぁ。……そうだよなぁ、俺が散々開発してやったおかげでここが第二の性器になったもんなぁ!」 「ひうっ、……そ、そんな……あ、はあっう!」 否定の言葉も、引き出される球に菊門をめくり返される快感のために途切れてしまう。 「そおら、思い出したか? 最初はちっちゃいイチジクから始めて、最後には一リッターも浣腸液ケツの穴で啜ってたよなぁ。挙げ句の果てには美味しいって言ってワインもアヌスで飲んでたよなぁ! なんて言ってたっけなぁ?」 「や、やめて――」 「『粘膜が、粘膜が灼けるように熱くておいしいぃっ!』って叫んでたなぁ?」 「いやあああぁっ!」 直腸に入れられていた最後の球が、すぽんと音がするくらいに勢い良く抜き取られた。 「ひゃあっう!」 杏奈の菊門は、球が抜き取られた余韻のせいか完全に締まらなかった。半開きの状態で、奥の腸壁をわずかに外の光で赤々と照らしていた。 まだ球がひしめき合いながらぎっちりと詰まっているかのような感覚が直腸の中に残っていた。それがえんえんと括約筋をめくり上げながら引き抜かれているような錯覚もあった。それを振り払うのに、杏奈は痙攣でもしたかのように小刻みにぷるぷると尻を揺する。 杏奈のそんな尻の動きを面白そうに眺めながら、男は人さし指で杏奈の半開きになったアヌスをいじらしくなぞり上げる。 「そうそう、あの時もお前のアヌスは半開きだったな。それで、ここにオレのチンポが入る度、狂ったみたいにヨガってたもんなぁ」 直腸の大きな数珠を抜き取っている間しばらく動きが止まっていた男の一物は、一層ぎんぎんに硬く勃ってさらに激しく杏奈の膣奥めがけて突き回す。 「あぁーっ! ああぁーっ! やあぁあーっ!」 「ひひ、アヌスいじったらすげー締まりいいぜ。やっぱりお前は極上のアナル奴隷だよなぁ。普通の生活つって、もうお前、普通のセックスじゃ興奮できない体になってんじゃねぇか、うはは!」 (そんな……! 違うっ! 私、違うっ!) 亀頭の大きくめくれ上がったえらに膣壁をえぐられる性感に意識をもっていかれそうになりながら、杏奈は唇を噛んで男の言葉を否定する。 (今の私の体は、寿樹さんのものだもん! こんな男に……) 「ほれ、正直気持ちいいだろう? 今の男なんかケツの穴どころかオマンコすらチンコ入れてくれてないんだろ?」 (こんな男になんか……) 「俺の所に戻ってこいよ。昔以上に可愛がってやるぜ。それにたっぷりと子袋にスペルマ注ぎ込んでやる」 (こんな男に……) 「優柔不断なやつだ。これでも俺になつかねぇか?」 男の親指がずぷりと勢い良く深々と半開きの菊門を貫いた。 「ふぁうっ!」 「ほぉら、一層締め付けてきたぜ。体は正直だなぁ」 男の腰の動きがさらに強く早くなってくる。 いやなのに、いやなのに、杏奈の陰唇はさらに愛液で濡れそぼり、ねちゃねちゃといやらしい音をたてて男の一物にむしゃぶりついている。 しかも杏奈の意識でさえ、どれだけ我慢しようとしても、男の熱くて太い肉茎が膣内で暴れるその一挙手一投足で起こるとろけるような快楽に吹き飛ばされそうになるのだ。 みじめだった。好きでもない男にアソコを貫かれていいようにされている自分が哀れだった。 「うはぁああっ……いやあぁ、いやああああああ! いやあぁう! やあああああ!」 背筋をうねらせ、首をさっきより激しく振りたくって杏奈は泣き叫んだ。 しかしそれは、彼女の性感の昂りをより一層高めてしまった。 細い首筋に、哀しみの涙と淫欲の涎が交わって伝う。 「いはああぁ! ……や、や……うああああぁあ! やだ、やらぁ、いやら――ひぁああぅ!」 彼女の口からは、精一杯の抵抗の声となすがままにされる体の淫らな悲鳴が一緒になった異様な叫びが漏れる。 快楽の臨界が迫っていた。男のくり出す快楽を拒む気持ちに、アクメの誘惑がまとわりつく。 直腸にねじこまれた親指の動きを必死で食い止めようと締め付ける杏奈のアヌスも、腸壁をいじりまわす指の動きにもはや力が入らなくなってきていた。 膣壁に至っては、意識に逆らって男を愛おしく締め付けて妖しく痙攣し始めている。 (いや、こんなのいや、こんなのやだぁ!) 「いやあああぁあ、あう、ああ、らめぇ、らめぇえええ!」 目に見えて一層ぶるぶると震える白い臀肉。激しい抽送の末に内股を伝ってピンク色のニーソックスをねっとりと濡らす愛液。 体がやってくるアクメを前に屈してしまった中で、その叫びは最後の抵抗であった。 すると、男は意外な行動に出た。 「……まぁ、今はこのくらいで許してやる」 唐突に杏奈の膣からまだ衰え見せずに勃っている陰茎が抜き取られ、直腸からも親指が引き抜かれた。 「や、あ、ああ、いや……」 安堵と欲情がいりまじった複雑な声を漏らして、杏奈は男のほうを振り返る。一体どういうことなのか、彼女には分からない。 「ウェディングドレス着てアクメ寸前のお前はなかなか可愛いな」 陰茎を引き抜かれてより一層愛液を分泌してびしょびしょになった杏奈の秘部を見つめて、男はにやりと笑った。 恥ずかしかった。しかし杏奈は机に手をついて腰を突き上げた格好から動くことができずにいた。膣内や直腸の中で激しく動き回り暴れ回る異物感が、まるで肉壁に刷り込まれてしまったかのように鮮明に残っていたからだ。ちょっと動けば、それがますますひどくなりそうな気がしてしょうがない。それが彼女を恥ずかしい格好で金縛りにさせていたのだ。 男はそんな杏奈の尻を撫でながら、こう言った。 「お前を試してやる。俺の試練にお前が耐えることができれば、もうお前の事は見のがしてやろう。もう関わらないでおいてやる。だが、もしそれができなかったら、お前は一生俺の奴隷になるんだ……」 ◇ 「――神の前で花婿と誓いを交わして挙式が終わるまでがチャンスタイムだ。ちょっとでもイったらお前の負け。潔く俺にアヌスを捧げるんだな。もっとも、これだけ感度が高かったら無事ではすまないと思うがなぁ」 ――愛しい寿樹と一緒に注文したウェディングドレスの下に淫らな仕掛けを仕込み終わった後の男の言葉が、悔しくてならなかった。自然と強く唇を噛んでしまう。 それでも、男の仕掛けは確実に彼女を陰湿に犯していった。 生殺しにされた秘裂一杯にねじり込まれた張型はいやらしくも膣の中で硬い感触を膣壁に強調してその存在を固持していた。 男に弄られて半開きになっていた肛門は、直腸深く突き刺された管から流れ出てくる液の刺激に再びきつくすぼまっていた。 (ああ、どうしよう……もしブーケの正体がばれちゃったら……) ブーケは臍の辺りにしっかり両手に掴んでいた。式場にいるみんなに、いやそれ以上に寿樹にばれるのが怖くて、片手ですら離せられない。 「さ、始まるよ、杏奈ちゃん」 寿樹が優しく声を掛けてくる。だが杏奈にはそれさえもむごく聞こえる。 (やだ……挙式が始まっちゃう。どうしよう……こんなの耐えられないよぉ) そうこうしているうちに式場の扉はゆっくりと開かれる。 腕を組み合って、杏奈と寿樹はゆっくりと式場に足を踏み出す。 荘厳に流れるパイプオルガンの音色。本当ならそれを聞きながら粛々と新郎との愛を噛み締める時なのだろうが、今の杏奈には責め苦でしかなかった。 パイプオルガンの音が、滴る浣腸液で危うい蠕動を始めた彼女の腹に辛く響いてくるのだ。 (や、う……苦しい……) 思わず両手に力が入る。すると、肛門を貫く管からぴゅぴゅぅっと冷たい浣腸液が流れ込んでくる。 (いやぁあ……お腹が、お腹が苦しいぃ……) ぐろろろ……。 勢い良く入って来た浣腸液に敏感に反応した杏奈の内臓が音程の低い悲鳴を上げた。 幸いパイプオルガンの音にかき消されて、その音に誰も気付くことはなかった。だが、ブーケを持つ杏奈の手は冷や汗にぐっしょりと濡れる。 (怖いよぅ……お尻が、もう……) 「……どうしたの?」 そっと寿樹が話し掛けてくる。杏奈は小さく横に首を振るのが精一杯だった。 とにかく、ブーケはしっかりと、しかし注意深く持たないといけなかった。なぜならそこに、浣腸液がたっぷり入ったビニール製のイルリガートルが仕込まれているからだ。そこからドレスの前の部分を貫いて、直径一センチの管で肛門、そして直腸に繋がっているのだ。 肛門にしばらく捕われていると、今度は張型がぴくりと動いた。 (……ぅあっん!) 下にずれたのだ。ちゃんと陰唇に力を入れておかないと、これもすとんと落ちてしまう。もしそんなことになれば――。 杏奈はひたすら肛門に力を入れ、内股で歩かないといけなかった。二つの秘穴を責める刺激に耐えるあまり、少し腰を突き上げたような格好になる。 祭壇までは十数メートルほどしかない。しかしそんな距離でさえ、彼女にはひどく遠く感じた。そればかりか、ちゃんと祭壇にたどり着けるかどうか不安でならなかった。 管からはどんどん浣腸液が出てきて、蠕動する腸をさらに煽るように刺激していく。それに合わせて、管を咥えつつ硬くすぼまった肛門に強烈な便意が襲ってくる。 ごぐろるるる……。 一際大きな腹の音。と同時に、爆発的な便意が杏奈を襲う。 歩けなかった。足がもう一歩も動かない。 「……杏奈ちゃん?」 新婦の異変に寿樹が立ち止まる。 杏奈は強烈な便意の余りにそのままうずくまってしまった。 パイプオルガンの音が止む。周りが騒がしくなる。 ごるるるるるる……。 今度は誰の耳にもはっきりと杏奈の腹の音が聞こえた。 もう隠しきれなかった。便意は我慢できる限界に達していたし、それに――もうこれ以上歩けなかった。 敗北を意識した。それだけで、杏奈の目から大粒の涙がこぼれる。 「ごめんね……ごめんね……」 ついに杏奈はブーケを手放してしまった。透明な液体の入った管付きの袋が周りのみんなの目に触れる。 「わたし……わたしもう――」 その時だった。 突然張型が、ぶるぶるっと強く震え始めたのだ。 極限状態の杏奈に、その性感は脳天を貫いた。 「らめああああああああ!!」 床に両手をついてうずくまった杏奈の肛門が、決壊した。 ……その音は先ほどのパイプオルガン以上に大きく響き渡り、同じくらいの強烈さであたりに悪臭を漂わせた。 途端に周りが以上に騒がしくなる。悲鳴と悪臭を紛らわすためのせき払いがあちこちで聞こえる。 杏奈は股間やドレスが激しく噴き出し続ける排泄物で汚れていくのを感じながら、ただ背中をびくびくと痙攣させていた。 排泄の瞬間、杏奈は果ててしまったのだ。 杏奈の頭に、あの男との淫猥な思い出が甦る。自分の庭のように直腸を肉棒で荒し回られ、熱く煮えたぎった精液を腸深くに送り込まれたあの瞬間を。連続でイチジク浣腸をされているうちにそれが快感になって突き出した尻をぷるぷるとくねらせていたあの時を。 (アブノーマルな感覚を肉体に彫り込まれた以上、もうあの男から逃げられないのね……) 今の彼女には、敗北感もみじめさも、すべて快楽を呼び起こすもの以外の何ものでもなかった。 でも涙が止まらない。クリトリスが充血してくるのがわかるくらい気持ちいいのに、涙が止めどなく出て止まることを知らない。 目の前に呆然と立っている寿樹の表情すら、涙で歪んではっきり見えない。 (もう、終わりだね……お別れの挨拶しなきゃ……) ――ごめんね、寿樹さん。私、実は別の男にお尻の穴を調教されていたの。そんな変態さん、お嫁になんか迎えられないよね。さようなら。私、その男の人の牝奴隷に戻るわ。だから、寿樹さんはもっとまともなお嫁さん探してね……。 しかしそれは、ひどい嗚咽で言葉になることはなかった。一体何故なのか、杏奈にはさっぱりわからない。 彼女の感情はすっかり壊れてしまっていたのだ。 石榴 舞さんに頂きました、ありがとうございました |