蛙雷作


              ( 人妻編の序章 )

 犯人達が銀行に立て篭もり数時間が過ぎ去っていた。
 詳しい内部状況は、外を包囲する警官隊に把握する事は出来なかったが、それでも人質となっている女性達が、犯人達により凌辱されていると言う事は、中か聞こえてくる悲鳴や哀願の叫びにより、想像する事が出来た。
 篭城する犯人達と外に陣取る警察との間の交渉は、犯人達が発信するメールによってのみ行われている…メールのみが犯人の方から送付され、回答時間を指定され、交渉が行われて行く、電話により直接の交渉もなければ、それ以外の交渉には応じる事は無い…そして交渉メールの内容は、犯人達によって広大なネットに存在する各種の掲示板にアップされて行き、犯人と警察の交渉内容は公にされて行く、結果として交渉の主導権は犯人が握り警察の対応は後手に回る結果となり、事件の解決までの要する時間は、長期化して行った。
 それが犯人達の狙いであった…出来るだけ長く銀行に篭城して、その間に人質にした女達を凌辱し尽くす…メールのみによるやり取りは、その時間をコントロールする手段でしかない、そしてそれは結果として成功した。
 犯人達に、いい様に振り回された警官が、最終的に犯人達が投降して事件が解決するまでの三日間、有効な手段を何一つ打つ事が出来ずに、周囲を包囲する事しか出来なかったのだから…

 まずは最初の一巡を追えた犯人達が、警察に対してメールで要求を送る…要求内容は、現金1000億円、覚醒剤を100kg、逃走用に自衛隊で使用している装甲車を一台用意する事、近くの空港に燃料を満載したE2C早期警戒機を用意する事、そして食料の差入れ…最後の食料の差し入れ以外は、無茶苦茶な要求である、しかも回答は時間が掛かるであろうから、今から二時間後とし、メールによってのみ回答を受け付けるものとして、その他の手段による交渉は受け付けないし、二時間後の回答まではメールによる交渉にも応じる気は無い、すべては二時間後の回答を検討してからの事である…とした。
 それをメールにより警官に送付した犯人が再度、相談を始めた…回答が来るまでの二時間の間、暇をつぶす女を選ぶ選ぶ順番を決める方法を…

 前回はジャンケンで決めた、そして今回はくじ引きで決める事になった。
 先端の部分が赤・黒・青・白…の四種類の紙縒りが作られる、赤が一番、黒が二番、青が三番、白が四番…そう言う取り決めによって、くじが引かれる。
 そして、一番目のくじを引いた男が、二回目の女を選び出した…


 今回、一番目のくじを引き当てた男は、前回に四番目…柊春香を犯した男だった。
 男は、うずくまり怯える女達を見回して…そして、犯す女を決めた。
 その男が選んだ女は…再び柊春香であった。
 別に同じ女を犯しすのが、駄目だと言う取り決めは無い…取り決めは無いが、ついさっき犯したばかりの女を、すぐに再び犯すと言う行為に対して、他の男達が呆れた様な表情で言う。
「おい、なにも同じ女を犯す事も無いだろうが、新品の女はまだまだいるんだぜ…」
 他の男も相槌をするが、春香を再度選んだ男は言う。
「な〜に、趣味の問題さ…俺は、この先…ず〜と、春香ちゃんだけを犯させてもらうぜ、どの女を選ぼうとも俺の勝手だろ?」
 他の男達は、その言葉に呆れ返りながらも納得して言う。
「わかったよ、さっさと済ましてくれ…順番が詰まってるんだし、目を付けてる女を早いとこ食っちまいたいからな…」
 そして、男は再び春香をカウンターの奥へと連れ込んで行く…姉の冬香は、縛り上げられたままで、それを見ている事しか出来ない…その前を、冬香に見せつけるかの様にしながら、男は春香を抱きかかえて通り過ぎていく、ぐったりとした春香は、抵抗する気力も無くしているようであった…



 カウンターの影に再度連れ込まれた春香…服は、脱がされたままの状態で、すでに抵抗する気力も体力も無くしている、それでも怯えきった声で一言だけ言う…
「いや…」
 無論のこと、男はその言葉の意味を考える事などせず、残酷で淫靡な行為を開始し始めた。
 座り込み、怯えきった表情で上目遣いに男を見る春香…その姿は、弱々しい小動物の姿であり、男の欲望を一層掻き立てる。
「ああ…大丈夫、今度は痛いことはしないからね…」
 男はズボンを下ろして、ペニスを剥きだしにして春香の眼前に突きつけて言う。
「おくちでしてくれるよね?春香ちゃん?」
「おくち…?」
 突きつけられたペニスと、意味不明の男の言葉…戸惑う春香の髪を掴んだかと思うと、男は強引に春香の口にペニスを捻じ込む

「んっぐぅぅんぁぁ!」
 突然に突き込まれた肉の塊、それが自分の口の中で蠢く…気持ち悪い、吐き出したい…呻き声を出す春香に向かって男が命令口調で言う。
「噛むんじゃないよ…噛んだら、さっきみたいに痛い事をしちゃうからね…それでも噛んだら…」
 男の声が一段低くなり…吐き出すように言った。
「大好きな姉ちゃんと一緒に…殺すぞ!」
 ビクリと春香の身体が硬直するのが、咥えさせているペニスからも読み取れる…突き込んでいるペニスをグラインドさせて、口の中の感触を味わいながら嬲る、ぎこちない口の動きと舌の柔らかな感触…高まっていく昂奮が、掴んでいる春香の頭を更に下半身に押し付け、息を苦しくさせ、くぐもった喘ぎ声を漏れ出させる…
「んん…ぐぅぅ…ひぃぐぅぅ…んあっ…」
 べったりと下半身を押し付けているので、表情読み取れないが、蠢く柔らかな感触を存分に味わい…絶頂へと近づいていく…
「よ〜し…だすぞ…出すからな…」

 男の腰の動きが、更に激しくなっていく…そして…
 捻じ込んでいたペニスを、男は一気に引き抜く…ズルリと口から引き出されたペニス、てらてらと春香の涎に塗れたペニスの先端から、大量に吐き出された精液が春香の顔面に吹き付けられ、どろどろに顔面を汚しす…割れてヒビの入った眼鏡にねっとりと付着した精液…涙と混じりあった精液が顔を垂れて、唇に染み込んで行く…
「う…うあぁ…あうぅぅぅ…うわぁぁーーーー!!」
 生臭い臭気が顔を覆いつくし染み込んでくる…耐え切れずに泣き叫ぶ春香を見続ける男の顔には、満足気な表情が浮かび上がっていた…

 人質の列に戻される春香…泣きじゃくり続ける春香を縛られたままの冬香が、身体をくっつけて慰めるようにしているのが、一層哀れを誘う…
 そして…あらためて5人目の女が選び出された。

 誰もが怯えていた…次に選ばれるのが、自分ではないかと…だから、自分以外の誰かが選ばれると安堵の息をついた。
 ただ、それは早いか遅いかの違いでしかなかったのだが…
 二巡目…二回目の男が人質になっている女達を見る…誰にするか?
 前回に犯した女は処女だった…今回は、ある程度熟れた女を犯してみたいと言う気がある…男は、舐るように女たちを見回し…決めた。

 5人目に選び出されたのは、たまたま銀行に来ていた女性であった。
 ほんの数週間前に子供を生んだばかりの彼女が…樋口恵美子は、子供を引き受けて留守番してくれる両親に預けて久しぶりに買物に出かけたのが、不幸の始まりだったのかも知れない、閉店直前の銀行に間に合った自分の幸運を感謝した次の瞬間に鳴り響く銃声と警報の音…我に返った時には、他の人質と共に縛り上げられていた。
 そして、次々と引きずられてはカウンターの影で犯されて行く女性達を見せられる…早く…誰か…助けて…自分が犯されてしまう前に…誰か…早く…助けて…その願いは、かなえられる事は無かった。

「やだぁーーー!誰か!誰か他の人に!お願い、おねがいよぉぉーーー!!」
 自分ではなく、他の人を選んでと泣き叫ぶ彼女の姿は、見苦しかった…見苦しかったが、それを責める事は誰も出来ない、なぜならその叫びはこの場所にいる女達、全員の本音を叫んでいたのだから…



               女子銀行員の悲劇…5〜人妻編に…続く