男は狂喜した。
緊張で逼迫された横隔膜から笑いが絞り出され、心の臓は落ち着きを無くして早いリズムを叩いていた。そこから送り出された血流が全身を駆け巡ると筋肉は酸素過多で震えはじめ眩暈を覚えるほどだった。
寿命と言うヤツが、どんどん縮まっているかもしれないな。そう思った。
だが、それでも構わないじゃないか。目の前には反抗する術もなく抱き合う女が2人もいる。騎士だ。それも女性騎士団の実力者アリエスと、それを率いる隊長のシアルフィ!高嶺の花、町娘共の憧れが、眼前で座しているのだ。
男がゆっくりと足を踏み出すと、薄い緑がかった金髪の女がくぐもったうめき声をあげた。いつもは凛とした眼差しと、水を打つような澄んだ声を用いて、統率の号をあげる騎士隊長シアルフィだ。だがセシュターを付けられては意味のある言葉も紡げず、喘ぐような声と涎しかつたわってこない。
「なんだ?オネダリか?くくく…まぁせかさないでくれよ。皇国の女騎士様」
ともすれば破顔しそうな、にやにや笑いを顔に貼り付けて、男はそろそろと二人の許に歩み寄った。
一歩近づくと女達は大きく目を開いて、体を逃がそうとした。が互いの体を使い拘束されている以上、ほんの僅かずれる程度であった。
もう一歩。それを待っていたかのように、もう一人の女騎士アリエスが口を割った。
「シアルフィ様に手を出すな…私一人でも十分だろう!」
捕らえられているにも関わらず、これだけ強い声を聞くのは男にとって初めての経験だった。それだけ辱め甲斐があるというものだと、男はさらに興奮した。
「俺のムスコを一人占めしたいってか?くはははは。そんなに疼いてるのか?」
男の問いに、アリエスの顔が恥辱で顔に火が灯った。
しかし、どちらにしても犯されるのはジジツだ。それだけは自明である。どうせ苦しみを味わうなら早い方がいいと思ったのだろうか。それとも、自分が先に犯されれば、隊長には被害が及ばなくて済むと思ったのだろうか。
儚い哀願の表情を浮べながらアリエスはおずおずと頷いた。
「嬉しいねぇ。だがよ。世の中には順番って物が有るんだ。とりあえず記念撮影といこうか」
もはや言葉もなく悔し涙で睨み付けるアリエスを気にも留めず、男は札を取出した。
念写の札。距離や時間軸のずれた相手に今の状況を捉えて記憶する札だ。手軽なメッセンジャーにもなるため、使用価値は高く、おかげかどうか、魔術師達の飯の種ともなる簡易魔術符の一つである。
男は身を捩るアリエスを押し倒した。苦痛の吐息が、二つ重なり合って流れてくるが、もうお構い無しだった。暴れる脚を体ごと押さえつけ、強引にズボンを引き剥がしてしまう。
羞恥に染まるピンクの肌をオトコはにやにやと眺め、そしておもむろに念写の発動呪語を唱えた。
後日、それは彼女たちが属する女性だけでなり立つ騎士隊ヴェルディーテに届けられた。
そしてそのアイテムが騎士隊員すべてが牝奴隷となる火種役になるのだが、それはまだ水晶に映った予言の如く。まだ見ぬ未来の語りである。