エイプリルフール記念SS
狂天使
「見て……歪んだ白でしかない私に比べて、人間はあんなにも欲望に満ち溢れて淫らでおぞましくて汚らわしくて……とっても素敵」
ねぇ、そう思わない?
くちゅ 優しく愛されながら、彼女の言葉が胸を抉る
歪んだ白……それは私
できそこない 髪にも瞳にも翼にも、僅かな色も纏うことのできなかった
どうしてあなたが私を選んでくれたのか分からない
誰もが焦がれる 最高の蜜の金を溶かし込んだ ただ一人の
「あの禍華の一つ一つに、血と怨嗟が凝っているのよ」
見たくない けれど彼女には逆らえない
闇と見紛うほどの緋色 澱みきった瘴気の渦
「……い、いや」
怖かった
後ろから抱きかかえられて、胸をゆっくりと ぴちゃり 耳を舐められて ぁ 声が漏れる
絡められた足 くいと開かれて
「やっ……あっ!……あぁ」
くちゅり ちゅぷ くちゅっ
「……熱いわ もうこんなに 指、溶けちゃいそう」
気持ちいいの?
ぬぷり くちゅ
「……い……いいっ! ああもう……だめぇ」
天使は嘘を付けない どんなに恥ずかしくても 隠すことができない
尖った乳首をきゅうと抓まれ 背中に感じる二つの膨らみ ふにゅと柔らかく形を変えて くちゅり 指が二本に増やされた 奥がすごい痺れちゃうの
その全てを問われるままに大声で 啼きながら 叫んだ 気持ちいいです もっと……ああぁぁ!……
くたりと果てた彼女の身体を抱きしめる
折れそうに細い 一点の曇りもない純白
雑じり物の私に手を差し伸べてくれた 優しすぎる人
……だからこそ 怖い
もうあなたなしではいられなくなってる 誰にも渡したくない
だから……
「聞いて……もうすぐ蝕が来る」
眠る彼女に囁きかける……私には分かるの
尋星と啓星が合に入り、燐星が宝室に……ありえない あってはいけないはずの蝕
下界に咲く禍花 あれを、あなたにもあげる
どくり
背徳の極み 私だけのものにするために 唯一の白を あなたを汚す 汚し尽くす 誰もが目を背ける緋色に染め上げてあげる
くちゅり
「……ぁ……ん……」
それまでは絶対に逃がさない……ぬちゅ にちゃり……溺れさせてあげる……
いつものように彼女に組み敷かれて、はしたなく腰を振る私
どんどんいやらしくなってく 私は彼女に溺れていく
ああっ あっ! うあああぁっ!
触られるだけで愛液がとぷっ溢れて
「いやらしいのね」
いやぁ おねがい やめないで
捨てないで……こんなになっちゃった私 いつ見捨てられても不思議じゃないから
お尻も翼も全部捧げますだから どこにも行かないで 私だけを見て
そう言うといつもお尻に指を入れてくれるのに……
「ふ……ふふ……」
笑ってる しょくがきたって何のこと?
「ねえ、私のこと好き?」
好きです愛してます誰よりも
「そう ありがとう でもねぇ、私はあなたのこと……だいっきらい」
……ざくりと胸が切り裂かれた
どぶっ
「……え?」
なにこれ だくだくと深紅の これ……もしかして、血?
どうして私の胸から
「お尻に腕を突っ込まれることが大好きな、全ての天使を合わせたよりも淫らなあなたがだいっきらい」
ぶしゅ 今度は翼が弾けた 飛び散った羽が ひらひら
「何をされても気持ち言いとしかいえない変態のあなたが 私たちを差し置いてただ一人だけ本物の白であるあなたがだいっきらい」
ぶぢっ どくっ ぶしゅぅ
またどこかが裂けた 彼女の一言が私を壊す
赤く染まった視界
……それでも、気持ちいいと思ってしまう私 変態 ああ こんなに憎まれていたなんて
ごめんなさい
気がつかなかったの ただあなたの傍にいたくって
ごめんなさい ごめんなさい
それでも わたしはあなたのことが好きです……
声にならない絶叫の中で、彼女が紅く染まっていく
だいっきらい
そう言う度に、彼女の身体が裂け そして
ぞぶっ
私の身体も裂けていく
……これが 嘘……
気が遠くなるような痛みと快感 紅く紅く
彼女はもう白くない 二度と白には戻れない あはは わたしと一緒
だれもあなたを助けることなんてできないただ私だけがあなたと一緒にいることができるの
永劫にあなたは私だけのもの
たとえあなたがどれほど私を憎んでも 離れることなんてできない
抱きしめる ほら、二人の紅が混じってく
繰り返す だいっきらいだいっきらいだいっきらいだいっきらいきらいきらいきら――
ガチリ
聞こえない音 うあ 捻じ曲がっていた世界が無理やり元に戻ろうとする痛み
くぅっ はぁはぁっ
ここにいるのは、二人だけ 闇緋に堕ちた かつて天使だったモノ
「……ぅ」
うっすらと瞳を開ける そこもまた漆黒 どこか遠くで胸が痛む
これから、私は永劫に彼女に憎まれ続けるんだ……
「……どうして」
あなたまで、闇緋に染まっているの?
不安そうに私のことを覗き込んでる
「あなたはこれから、私のことを憎むの」
……どういうこと?
わたしはあなたといっしょにいたいからうそをついたあなたをひいろにおとしたにどとはなれられないようにふたりのちをまぜた
ごめんなさい よく、わからないの
どうしてあなたが私に謝るの? 悪いのは私なのに
あなたと一緒にいたかったのは私の方なのに
……紅いきれいな涙
泣かないで おねがい
きゅ
抱きしめる
憎まれてもいいだけどおねがい 哀しまないで
あなたのことが好きだから
哀しくなったら、私の腕を折って 苦しかったら、私の翼を千切って
「……ほんとう?」
泣き止んだ彼女が、不思議そうな顔で私のことを見てる
「……本当にそれでいいの?……そうして欲しいの?」
ぞく と震えが走った
頬が染まるのが自分でも分かる こんなときなのに、もうこんなに いやらしくなってる私
「いやらしいんだね」
「はい 私 こんなにいやらしいんです」
足を開いて しとどに濡れた秘花を晒す
「自分で広げて見せて……もっと……」
く ちゅ
視線が痛い 狂おしいほどに感じて 腰が勝手に
「……あぁ……む……」
ちゅぷ くちびるが塞がれた 舌が絡め取られる 強く吸われて……んんっ……
はぁはぁ……ぁ
「……愛してる……」
……その一言に私は魂まで犯し尽くされた
後はただ……深紅……
Fin