蛙雷作


                  『 開発中止命令 』


「なんですって!」
 その命令は、唐突に下された。
 【現在開発中のNT用試作MA・ブラウブ○ウの開発は凍結とし、NT用試作MA・エル○スの開発及び実戦配備の為に資材及び人員の移動を命じる】
 すでに一号機は80%の完成を見、二号機ですら60%まで完成させている現状を考えれば、信じられない類の命令であった。
 しかし現実に、60%まで完成している二号機はむろんの事、完成間近の一号機の製作工程すら停止し、製作工場は静まり返っている。
 ブラウブ○ウの開発主任である、ジ○ン軍技術士官・シ○ス・アル・バハロフ中尉でなくても、下された命令とこの現状に対して、声を上げるのは当然の事である。
「とにかく、この命令の確認と抗議をしてくるから、皆は作業再開の準備を続けていて、これは何かの間違いに違い無い筈だから」
 シ○ス中尉は、下された命令書を持ち、この施設での最高責任者カシウス・ラウル技術大佐の下に、文字通り無重力空間を飛ぶようにして向かっていった。
「こんな命令は、おかし過ぎる!」
 口の中でシ○ス中尉が呟く、MA・エル○ス……性能のみを純然に見れば、いま自分が開発しているMAブラウブ○ウよりも高い性能を有しているのは、技術士官として認めざる得ない、認めざる得ないが他の点で考えれば、必ずしもエル○スは優秀な兵器とは言えないのだ!
 だいたいエル○ス本体の生産性ですら、コンパクト化を前提に設計されている為に複雑になり、生産効率が最悪である上に、生産コスト自体もムサイ級巡洋艦と同じと言う馬鹿げた話だ、その上にサイコミュによって誘導される、エル○スの主要装備ビットの生産コストが、幾ら掛かるのかを知っている人間は居るのだろうか?驚く無かれ、なんとビット2機でゲルググ級のMSと同等のコストが掛かるのだ、これはビット自体がビーム兵器を発射するために高性能の超小型核融合炉をその機体内部に持たなければならない事や、空間を自由に機動するための高性能姿勢制御バーニア、その上にサイコミュ誘導をするために使われる電子機器が非常に高価な物が使用される事が求められたからである、つまり完全装備のエル○スを運用するには、ムサイ級巡洋艦と同等のコストが掛かるエル○ス本体に、その装備のビットが10機(予備機を入れれば、更にこの倍は必要だ)…単純計算で、エル○ス一機で、MS中隊並のコストが必要であり維持費もそれ以上にかかる、とてもでは無いが量産できる兵器ではない、しかも運用にはニュータイプ能力者が絶対必要とされ、パイロット選ぶ機体だ、まともに運用できる兵器では無いと言うのが、私を含めたほとんどの技術士官の答えだ、それに比べれば自分が開発しているブラウブ○ウは、本体コストこそエル○スと同等であるが、機体サイズを無理にコンパクト化する事を避け、また主要装備の有線サイコミュシステムは、有線によりコントロールされる事によって、攻撃範囲こそエル○スのビットには劣るものの、ビーム兵器に必要なエネルギーはブラウブ○ウ本体から有線により供給されるし、また有線ビームシステムの姿勢制御も、それほど難しくなく従来のシステムで充分に対応可能であり、それほど高価にはならない、しかもNT専用機としながらも、複数のパイロットが搭乗する事により、NT能力者ほどでは無いが、必要とされる性能は充分に確保できるのだ!兵器としてみた場合、どちらが優秀であるかは、ハッキリしている筈…そう思っていた。
 なのに、今になって急に開発中止命令が下されたのか、納得出来るはずが無かった。
「失礼します。シ○ス・バハロフ技術中尉!質問に参りました!」
 私室兼用のカシウス・ラウル技術大佐の執務室へと辿り着いた、シ○ス中尉がインターフォンで聞く
『シ○ス中尉君か、待っていたよ……入りたまえ』
 インターフォンから返事があり、ドアが開きシ○ス中尉を執務室内に招き入れる、ドアが完全に開き切るのももどかしく、シ○ス中尉は執務室に入り込み、正面のデスクに座っているカシウス・ラウル技術大佐へと向かい、手の持った命令書を叩きつけるようしながら、叫んだ。
「これは、いったいどう言う訳ですか、納得…いえ、おかし過ぎます!」
 叩き付けられた命令書に、一瞥をくれただけでカシウス技術大佐は言う。
「命令書の通りだ、それ以上でもなければ、それ以下でもない…他に何か質問はあるかね?」
 正面から睨みつけるシ○ス中尉を、何かとてつもなく面白い代物を見るように、見返しながらカシウス大佐はにべも無く言う……その顔に酷く醜い笑みを浮べながら
 その笑みを見た瞬間に、シ○ス中尉は知りえた……これは、すべて仕組まれた事だと言う事を、この男が求めているものは、自分なのだと…
「卑怯です」
 浮べた笑みを隠そうともせずに、カシウス大佐は言う。
「何が卑怯なのかね?この命令書は軍本部からの正規な書類なのだよ、たとえ私が独断で申請し、受理した書類だとしてもね」
 キリリ…噛み締めた歯が軋む、数週間前に、この男の申し出を私は拒否をした、その申し入れとは、欠乏している資材及び開発機材の調達を優先的に廻してもらう為の申請である、その時にこの男は、融通を利かせる見返りとして、私の身体を要求したのである、返答は懇親の力をこめた平手打ちであった。
 それをいまだに根に持ち、このような嫌がらせを仕掛けて来たのだ、あまりにも公私混同であり、それどころか戦局に大変な事態を引き起こすかも知れない、愚行としか言えない行動であった。
「カシウス大佐、貴方は正気なのですか!」
 思わず声を荒げ、正面のカシウス大佐に詰め寄るが、カシウス大佐は醜い笑みを崩し事無く、返答する。
「すでに各種の資材搬入は停止している、もっともこの場から連絡を入れれば、すぐにでも資材の搬入は再開されるだろうがね」
 カシウス大佐が、自分の私室へと通じるドアを操作して開け放つ、開け放たれたドアの奥にはベッドルームが設えられていた。
「くっ……」
 今この場を出て、命令の撤回とブラウブ○ウ開発の再開を求める申請をして、それが認められたとしても、何日もの貴重な時間が浪費されてしまう、すでに戦局が逼迫している現在、時間は何物にも変えがたい貴重品である
 私室の奥に設えられたベッドルームに視線を向けたカシウス大佐が言う。
「決めるのは君だ…」
 再び、カシウス大佐の頬に平手打ちを喰らわして、この場から立ち去る事は可能であったろう。
 しかし……
「わかりました。その代わりに、今すぐにブラウブ○ウの開発と作業の再開をお願いします」
 カシウス大佐が、デスク上のインターフォンに向かい何事か指示を出す。
「これで明後日にも、新たな資材の搬入が開始されて作業は再開される筈だ、私は約束は守った。次は君が約束を守る番だ」
 立ち上がったカシウス大佐が、シ○ス中尉に近寄り頭に被っているヘルメットを取り去り、髪を纏め上げていたヘアピンを抜き取り、髪を解く……長くしなやかな髪が無重力空間に漂い広がる、その髪を掴んでシ○ス中尉を引き寄せ、その唇を貪る。
「うっ…」
 かすかな抗いの声、その声にカシウス大佐は満足そうな笑みを浮かべ言う。
「向こうのシャワールームで、その化粧を落としからベッドルームに来るようにな、何も着ないで素っ裸で来るんだ、これは命令だ」
 無重力空間の中、私室のベッドルームへと消えるカシウス大佐、あとに残されたシ○ス中尉は、屈辱に顔を歪めながらも、指定されたシャワーワールームへと向かった。


            『 戦死公報 』


 宇宙暦0079年1月3日…後に一年戦争と呼ばれる惨劇が幕を開けた日であった。
 宣戦布告直後に行われた。一週間戦争と呼ばれるサイド1,2,4へ先制無差別攻撃と同時に行われた、サイド2No.8コロニーアイランド・イフィッシュをジャブローに直撃させるためのブリテッシュ作戦、次いで行われた史上最大の宇宙艦隊戦ルウム戦役…それは、ジ○ンの大勝利を喧伝された戦いであったが、その実情は言われるほどの大勝ではなく、この戦闘により多数の熟練兵を失ったジ○ン公国の戦力は、ギリギリの状態ともいえた。(事実、後に捕虜としていたレビル将軍が脱出し、その事実を暴露され南極条約にて戦争終結を達せられなかった)
 そして戦争は長期戦へと移行していった。
               
 その連絡が彼女の元に届けられたのは、開戦から2週間の月日が過ぎてからだった。
 『軍の作戦行動中にて、ニコラス・ハル・バハロフ少佐(戦死により二階級特進)は名誉の戦死を遂げられました』
 軍からの戦死通知書に書き出された一文…暗転する視界と、崩れていく肉体…当時妊娠三ヶ月の身重であった彼女は、夫の戦死公報を受け取ったショックで子供を流産してしまった。

 病院のベッドの上で、子供の流産を知らされる、このまま死んでしまいたかった。
 事実、彼女は自殺を企て実行したが、それとなく注意をしていた病院側の素早い対応により、目的を達成する事は出来なかった。
 泣いて…泣くだけ泣いた末に、彼女は決意した。
 自分に出来る事をしようと、ジ○ンの大儀に全てをかけて死んでいった、夫の無念を晴らしてあげようと、そして体力が回復するのと同時に、軍属の技術仕官として現場に復帰し、そこでNT専用MAブラウブ○ウの開発主任として才覚を表す事となった。
 ただし、そこで一つの弊害が起こった。
 その弊害とは、未亡人となった彼女の美貌である、結婚する前から美人として人気の高かったシ○ス中尉であったが、男子が多い現場に置いて、その美しさ+未亡人と言う立場は、作業の妨げにしかならなかったのだ、仕方なくシ○ス中尉はわざと自らの美貌を隠すような化粧をするようになった。
 しかし、その事実をどこで知ったのか、彼女の直属の上司である、カシウス・ラウル技術大佐は、事あるごとに彼女に言い寄り、ついには卑劣な手段により、彼女を我が物とすることに成功したのである。


               『 無重力の戯れ 』


 ブラウブ○ウが開発されている、この工廠基地は小惑星に隠蔽されていた。
 無論の事、人口重力などと言う便利なシステムは設置されておらず、工廠自体もちろん、兵士達の居住ブロックも無重力であり、それはこの基地の責任者である、カシウス・ラウル技術大佐の私室に置いても変わり無いことであった。
 だからベッドルームといっても、普通の重力下にあるような代物ではない、睡眠時に身体を固定させておくベルトと、マジックテープにより寝具を固定させておくシステムが設置されている部屋と考えればよい、そのような場所でカシウス大佐はシ○ス中尉を抱くのであった。
 無重力空間の中で漂いながら、カシウス大佐はシ○ス中尉が現れるを待つ、既に軍服は脱ぐ去りブリーフを一枚だけ履いていると言う姿である。
 無重力に漂いながら、カシウス大佐は思い出しながら、股間を熱く固くさせ待ち焦がれる、あれは偶然であった、たまたま化粧を落としたシ○ス中尉の素顔を見た時、これがあのシ○ス中尉かと驚いたものであった。
 そして、なんとか自分の物に出来ないものかと考えた上、実行に移したのがブラウブ○ウの開発計画の妨害であった。
 思惑は予想以上に上手く行き、こうしてシ○ス中尉がシャワールームから出てくるのを、いまや遅しと待ち構えているのである。

 フシュー!
 と言う、軽い音がして正面のドアが開く、そしてその向こうには、何も身に着ける事無く立ち尽くしている、シ○ス・アル・バハロフ中尉がいた。
「おぉ〜…やはり染めていたのか…」
 立ち尽くしているシ○ス中尉の姿を見た時に、カシウス大佐が最初に漏らした言葉である、そう…シ○ス中尉は、髪を染めていたであった、頭髪は地味なブルネットであったが、下半身に茂る陰毛は、光り輝くような金髪であった。
 常識的に考えるのならば、上と下…どちらの方の毛を染めているかは、明白な事と言える、そして事実シ○ス中尉は、綺麗な金髪をわざわざ黒く地味に染めていたのである、これも周囲の事を考えての事であった。
「さて、きてもらおうかな、シ○スちゅ…いや、シ○ス」
一瞬、シ○ス中尉の頭の中が、怒りで熱くなる…『自分をシ○スと呼んで良いには、夫であるニコラスだけだ!』… その思いがある!しかし、すぐに冷静になり、諦めが心の中に満ちてくる、もう夫はいないではないかと言う、悲しい諦めが…
 シ○ス中尉は、待ちわびて股間を膨らませているカシウス大佐の下に床を蹴り向かった。

 カシウスは、ベッドに供え付けられている身体固定用のベルトを利用して、シ○スを縛り上げベッドに固定しながら、化粧を落とした素顔を舐めるように見る、あの時はちらりとしか見なかったが、これ程までに変わるとは予想以上であった。
 白い肌と細く整った眉、そして端正な顔立ち、身体の方もあの軍服の下に、これ程までの肉体が隠されていたものかと溜息がでるほどに豊満で柔らかさに満ちている、カシウスは見惚れそうになるの堪えながら、シ○スの両腕を縛り上げてベッドに固定した。
 無重力化におけるSEXに置いては、身体に一部を固定しなければ、危険を生じる場合がある、無論のことシ○スの抵抗を防ぐという目的もあるのだが、とにかくそうしておいてからカシウスはシ○スの肉体を貪りだした。
「うっ!くくっ…」
 縛り上げられた両腕、ギュッと握り絞められたしまられた掌が、拳となるぶるぶると震えるのは、舐め上げられる乳房に走る嫌悪感に耐えているのか、それとも久しぶりの快感に耐えているのか、判別しようも無い、ただその唇からこぼれ出す声を聞きながらカシウスは、更にシ○スの胸を責め上げ、その柔らかく豊かな乳房に舌を這わせながら、強く揉み上げては乳首を執拗に愛撫して捏ねるように弄び、その感触楽しむ事に熱中する。
「ふぅっ!」
 乳首を噛まれたシ○スが、漏れ出す喘ぎ声を押し留めようとするが、留め切れずに唇から声が漏れ出す。
 その声に己を興奮させながら、カシウスが乳首から首筋へと舌を這い上がれせ、眼を伏せ唇を噛み必死に堪えているシ○スを正面に見ながら言う。
「わざと厚化粧をして素顔を隠し、熟れた肉体を制服に押し込め、髪まで染めたとしても、こうして男の手にかかれば一匹の牝に変わる……それが、シ○ス…貴方なんですよ」
 そう耳元で囁かれたシ○スが、顔を高潮させ怒りに震えながら叫ぶように言う。
「違う!私は!私は、あの人だけ…ひっぅ!」
 最後まで言葉を続けさせずに、カシウスはシ○スの唇に自分の唇を重ね合わせ、素早く舌を潜りこませ口中を舌で嬲る。
「ふっ!うぐぅぅ!んっあぅっぐぃ!」
 口中で蠢く厭らしい舌の滑り、それが自分の舌に巻きつき喉の奥へと滑る様に侵入し嬲る、嬲られる自分の舌が、それに反応していくのを感じ、羞恥心が心を満たし抗う動作が激しくなって行くが、口の中で蠢く舌を押し出そうにも、力が入らなくなってくるのがわかる。
「んっんーーー!!ぶっんなっあっはぁ!」
 不意に、口を満たしていた舌が引き抜かれ、ぽかりとした空白感が口中の中に生じ、思わず引く抜かれた舌を追いかけそうになり、慌てて歯を食い縛り横を向くが、耳元に嬲りの言葉を囁かれてしまう。
「なんだ、もう下の方は濡れ始めているじゃないか、本当は男が欲しかったんだろ?」
「ちがっ、あうっ!」
 反論の言葉を発しようと瞬間に、ゾワリと股間に掌が宛がわれ、濡れた金髪の園を掻き分け指が二本、ヌプリと割目へと侵入する、そしてその指は膣内を捏ねるよう動き出す。
「ちがわんね、この指に絡み付いてくる感触や、滑る具合は男を欲しがっているよ…くくく…」
「くっ…違う、違う…私は…あんっ!」
 膣内を捏ねていた指が引き抜かれる、そして指先にシ○スの愛液を纏わり付かせた指が、シ○ス自身の口に差し込まれる。
「自分の汁の味はどうだ?甘いか?塩辛いか?どんな味だか教えてくれないか?」
 差し込まれた指が、口の中で舌を摘まみ上げ嬲る、そして口の中か舌を引き出し、その引き出された舌を舐めてから、指を離す…口からこぼれ出した唾液が無重力の中で、小さな水滴の塊となり宙に漂うが、カシウスはその水滴に塊を頬張り嚥下した。
 カシウスが、シ○スに抱きつく、この場で固定されているのはシ○スの両腕だけであり、それを始点にしてからだを密着させ、首筋を舐め乳房を揉む、そして両足を掴みあげ大きく広げた。
「あっ!だめっ!」
 大きく開け広げられたシ○スの股間、無重力ゆえに浮き上がったそれは。シ○スの眼に曝される格好となっている、その浮き上がった状態でカシウスは、その足の間に身体を入れてくる、金毛が茂る股間にカシウスのペニスが沈み込んでいく、両足を抱え込みながらシ○スを引き寄せるようにしながら、自らがシ○スの中に沈みこんで行くようにしながら、ゆっくりとその肉の抵抗と絡まりを味わうかのように、ゆっくりと…完全に沈み込ませた後で、ゆっくりと腰を動き出させた。
「あっ!あぁぁーー!!」
 久しぶりに味わう肉の塊、それも夫以外の代物…背徳感に身を震わせながらも、シ○スは広がってくる快感を押え切れなくなってくる、ブラウブ○ウの開発を進めるために仕方が無い事だと言い聞かせながらも、男の肉を貪欲に求め始めている自分がいるのを感じる、もしも両腕を縛められていなければ、カシウスに抱きついているかも知れない、すでに肉の喜びは理性を圧倒していた。
 良い女だ…シ○スの肉を味わいながら、カシウスは満足する、口を吸い、乳房を揉み、乳首を食み、挿入をする…全てが、期待以上の反応をしてくれる上に、貪欲自分を受け入れる、最高の女を見つけ出した。
 カシウスは、自分のペニスを締め付けるシ○スの肉壷の中に、思う存分欲望の塊を放出し果てた…しかし、締め付ける肉壷の動きに合わせ、挿入したままの状態で再び硬さと大きさを取り戻したペニスを再度動かし始める、肉壷に満たされた愛液と精液が交じり合う中、数分後に再び射精を繰り返した末に、ようやくシ○スの肉から自分の肉を引き抜いた。


              『 後悔 』


 行為の後、シャワーを再び浴びながらシ○ス中尉は、涙を流す。
 悔しかった、この男の前で無防備な女を曝け出してしまった事が、ブラウブ○ウの開発を再開させる為の妥協だと、自分に納得させようとしても交わりの中で喘ぎ、男を求めたという事実は脳裏から消える事が無い、それが悔しかった。
「貴方…ごめんなさい…本当に、ごめんなさい…うっ…うぅぅ…」
 亡き夫以外に肌を赦したという罪悪感が、更に追い討ちをかける…

 この後に、シ○ス中尉は優先的にブラウブ○ウの開発資材を回してもらう事の、交換条件としてカシウス大佐に何度も抱かれる事になる…
 それは、ブラウブ○ウ二号機で出撃し、連邦軍のRX78G3に撃破され、戦死するまで続いた…
 技術官であるシ○ス・アル・バハロフ中尉が、危険に満ちた最前線に置いて、自ら試作MAの実用試験に立ち会ったのは、戦死する事を望んでいたからなのかも知れない…無論、そのような事を知る者は、誰もいないが…


                              終