
4話「獣」
水飲み場の前まで正史は皐月を連れて来ると……
「洗わなきゃ、ほら……」
ほらと言われても両手は後ろ手に縛られたままだ
「察しが悪いね君、跨がるんだよこれに」
水飲み用の蛇口を正史は愛おしいものでも触るように撫でる。
「ば……馬鹿言わないで! そんな事!」
「出来ないの?」
我を忘れて叫び声を上げた皐月を冷たい視線一つで黙らせる……
「ゆるして……」
「出来ないの?」
正史は一つの答えしか要求していない事は皐月にもわかる。
「…………」
「もう一回聞いてあげる、ぼくはやさしいブリーダーだからさ……出来ないの?」
「……やります……上って洗わせていただきます……」
俯いてそれだけ言うのがやっとだった……
ようやく台の上に登ると、もう周りは暗いとはいえ公園の中でなんと言う恰好でいるのだろうと目眩いすら憶える。
「ほら、早く座るんだよ……」
股の後ろから正史が玩具を買ってもらったばかりの子供のようなはしゃいだ声で催促する……
「はい……」
あきらめの気分でゆっくりと腰を下ろしていく、途中まで行くとどうしても勇気が無くなって動けなくなる。
「どうしたの?手伝ってあげる、優しいだろ?」
そう言って伸ばした手で腰を掴むと誘導するように蛇口へと下ろしていく……
「あっ!」
ひんやりとした感触が菊門のあたる。
「違います、そこはぁ」
「違わないよ! ここでいいのさ!」
そう言って立ち上がろうとする皐月の腰をグッとしたへ引き落とすと
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
一瞬で肛門が蛇口を飲み込んでしまった。
「僕は避妊手術って反対なんだ、可愛いペットには子供が欲しいじゃないか……それにね悪い病気が無いかは糞を見て検査するんだよ、だからうんちを出してもらわないと……」
そう言って取っ手を捻って水を出した……急激に……
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ 入ってくる……入ってぇ……くぅ……」
ゴボゴボと水流が皐月の腸を侵食していった。
「おトイレに行かして……お願い……お腹が痛いの……お願いします……」
水道から下ろされた皐月はお腹を膨らまして鉄棒に括り付けられていた。
「大丈夫だよ、さっき栓してあげたでしょ、あれがあればしばらくは漏れないから……」
アナル栓と呼ばれる物らしいゴム製のものを肛門に押し入れられていた、だから逆流して来る便意を腹の中に抱えたまま身動きも出来ないままに鉄棒に括られてしまったのだ。
「お願い……痛いの……ホントに苦しいの……」
くり返す皐月の言葉をどこ吹く風で聞き流しながら
「ゴメンね、ぼく忘れ物しちゃったみたいなんだ、家に取りに行って来るからいい子で待ってるんだよ」
突然のその言葉には皐月はパニックになった。
「うそ! 解いて、こんなとこに置いていかれたら……誰か来ちゃうよ……お願い……置いていかないで……一人にしないで……」
年端も行かない少年に向かって必死の哀願をくり返す。
「お願い……」
「わかったよ、しかたないなぁ」
差もわがままを聞いてやるんだといったポーズで近寄るとポケットからスカーフを取り出して皐月に目隠しをしてしまう。
「これで、誰が来ても気にならないから恐くないよ……」
「違っ……ダメ……いやぁ……置いていかないで……」
段々と正史の足音が遠くなって行く……
「叫ばない方がいいよ、誰か来るかもしれないし……」
その一言で皐月は声を出せなくなった……そして目が塞がれると妙に音が気になるものだ、風が草木を鳴らせたり,近所のTVの音までが聞こえて来る……
ギュルルルルルルル……
「ひっ!」
不意に彼女のお腹がなり便意が戻って来た、その音が彼女を怯えさせ、あげた悲鳴を聞き付けて誰かが来るのでは無いかと更に怯えさせる。
「…………助けて…………」
どれくらいそのままでいた事か張り詰めた緊張が限界になったころ、
ジャリ……ジャリ……
入口の方向から足音が聞こえて来た、正史かと思ったがどうも一つではない……
その足音はすぐ近くまで来ると鉄棒の周りを回り出した。
「た,助けて……お願いです……助けて……」
もう誰でもよかった、こんな姿を見られたのだから助けてもらえればここから逃げられる……皐月はそう思った。
「たす……ちがう……さわっちゃダメ……」
なんとした事がその人物は背後から彼女の肛門にされたアナル栓を摘まんで引き抜こうとしていた。
「ダメぇ!!!!!……はうううん……」
キュプンッ……と引き抜かれたアヌス栓に肛門の襞が引きずり出され、押し留められた便意は出口を得て外へと殺到した……
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャ
大量の水道水によってグチャグチャになった排泄物がシャワーのように吹きあがった。
「ダメだな、危なくぼくにまで掛かるとこだったよ」
吹き出している最中に目隠しが外され目の前には正史がいた。
「うぅ……こわかった……恐かったよ……」
「でも、ぼく意外に助けを求めたね、御仕置きを覚悟してね」
そう言って笑う正史の背後にはもう一つの足音の主大型犬が一匹いた……
「もうその服ダメだね、うんこでグチャグチャ……まず最初に水道で身体を洗わなきゃ、世話が焼けるペットだね」
ベンチにうつぶせで縛り上げると尻を高くあげて固定していく。
「このくらいかな?」
正史は何かを測るように足を縛っていく。
「そのその犬……」
「ああ,ぼくのペットのペスだよ、言わなかったっけ?」
「死んだって……」
「そう初代のがね、中型犬は弱くってさ……だから次は大型にしたんだ、でもこいつにゆう事聞かせるの大変だたんだよ、ぞれにこいつ自分の事人間だと思ってるからさ……」
楽しそうに自分のペット自慢をしだす正史が何を考えているのか皐月には理解出来ない、ただ良からぬ事を目論んでいそうな事だけは嫌と言うほど今までの事で骨身に沁みていた。
「…………」
「だからペスがお年頃になったのに相手が居ないのは寂しいでしょ、そこで君が登場ってわけ」
その言葉は理解するのに時間がかかった、イヤ理解する事を本能が拒絶しているかのように、しかしその言葉の意味はゆっくりと彼女の中心にまで届いた……
「うそ……うそぉ……やめて……わたし人間なのよ……私は……犬じゃ無いわ……いやぁ……お願い」
もうしっかりと括り付けられたベンチが彼女を逃がさなかった。
「安心しなよ君は三代目のペスだし、人間じゃ無くて牝犬だよ自分の事を人間だと思い込んでるとこはこのペスと同じだからお似合いかもね」
笑いながら犬を背後から近寄らせて行く。
「ほら、行きな」
ワン!と一声あげると慣れているようにペスは皐月に覆い被さって行く。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
その姿を微笑ましく見守りながら正史は缶ジュースをあけて飲みはじめた。
「おいしいや」
![]() |
「ハイご苦労様……これでペスも欲求不満にならなくて済んだよ」
放心状態で口から泡を吹いて気を失っている皐月の拘束を解きながら正史は嬉しそうだった。
動く気配の無い皐月の長い髪でしばらく遊んでいたが、それを肩のあたりでバッサリ切ってしまった……
「尻尾は頭じゃ無くてお尻に付いてるものだよ……」
何かを思い付いたらしく切り取った髪の毛は正史の鞄にしまわれた……そして
「早く帰ろうか」
バチッ
「ぎゃ!」
最弱にあわせたスタンガンを押し当てると皐月が覚醒して来る
「帰るよ……」
一気に今までの事を思い出したように皐月の目に涙が溢れ出して来る。
「酷い……わたし人間なのに……ねえ……ねえ……私は人間なのよ……私は……ギャ!」
「うるさいな、君は牝犬それがイヤなら牝豚! どっちにしろ人じゃ無いの、わかった!」
スタンガンを構えたまま皐月を睨む
「うぅ……そんな……」
「返事は? わかったの? わからなかったの?」
もう一度念を押す様に睨む。
「わかりました……私は……牝犬です……うぅぅぅ……」
それを言わせて満足したように首輪に繋がった綱を引いて外へ歩き出した……深夜をすぎてあたりの家ももう電気を消して眠りに就いているらしかった。
長い1日が終りようやくマンションに帰ると部屋に逃げ込むように入ると内側からかけられるだけの鍵をかけた。
「うぅ……どうしよう……どうしたらいいの……わたし……わたし……」
朝ここを出た時の颯爽とした彼女はどこにもいないのだ……
「シャワーあびなきゃ……」
中に入って……そこには誰かが入った形跡があった……そして丁寧に下着類だけ持ち去り、彼女の長いスカートが馬鹿な女子高生並みの短さになおされていた……
別れ際の正史の言葉が思い出される。
「これから君の身体は皆の所有物だからね、当然牝犬なんだからプライベートなんかあるなんて思わないでね、ひとまず明日はちゃんと学校に行くんだよ、それまでは休ませてあげる、ぼくは優しいブリーダーだろ?」
家の中も安住の場所ではないのか……