麗が入り口を探っているのは、庭の外れに兄が建てた牛舎の中だった。
「ここかな?」
 いくら探してもかつてそこにあった地下への入り口は見つけられない。
「やっぱり、そのままなんて事は無いわよね」
 そこは、麗だけじゃなく、芳香や母である深雪、魁の恋人の由香さんも人畜としてザンギャックに飼われていた場所。
「麗?」
「お母さん」
 深雪も、少しだけ気になっていたらしく、その場に現れた。
「大丈夫なの?」
「平気よ、これくらいでへこたれてちゃいられないものね」
 機械による長時間過剰性刺激の果てに性欲亢進症にされてしまった深雪の肉体は、世界が元に戻っても治ってはいない。
「無理しないでね」
「さすがレアたんだねぇ……ますます好きになってしまうぅ」
 聞き覚えのある気持ちの悪い声。