シーラ・ミラウ・シーラ

テレポートされた場所は過去……の図

全てを失った瞬間

 その街は冒険に出たエルフ達が帰る事の出来る街(国)としてエルフの森の外れに作られていた。しかし街を作った時の彼女はそんな大層な事を考えていたわけでは無かった。
 かつて共に冒険した仲間たちが相次いで国を持ち領主となり引退する中彼女もまた街を治めてみたいという子供じみた発想だった。
 そしてそのツケはすぐに廻って来る、かつての仲間の街か異変に襲われ大量の避難民が出たその時最も近い場所にあった彼女の街はその避難民を受け入れる……
 一度冒険をする為に森を出たエルフ達で構成された街ある意味人間の避難民を受け入れるのに何の問題も無いかに見えた、しかしそのエルフ達は悪い意味で人間に毒されていたのだ。
 難民達を貧民として、自分達エルフを特権階級として振る舞ってみせたのであった。
 そして人間達はこの街で生活を始め子を産みしだいに代替わりをしていくなか特権を貪るエルフの顔ぶれは一向に変わらないのだ、これは人間達中に鬱積し次第にエルフ排除の運動へと繋がり、そして弾けた……
 帝国暦第七期264年、人々を暴動へと駆り立てるために暗躍する物の存在に気がつかぬまま人とエルフはこの小さな都市で戦った。

 女王排斥、エルフのほかに人間の代表を街の宰相としての執政権の確立、エルフの為の街はいつしか繁殖力に勝る人間によって蹂躪された。
 エルフの森に開拓という名の破壊が訪れようとしていた。




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