【 1 】
19時間にも及ぶ凌辱ディスクを撮影された時に、彼女…如月美緒を犯した人数は延べで100人を越えていた。
それでも、美緒の肉体に同時に群がった人数は最大で7人である…膣を犯す男が一人、アナルを犯す男が一人、糸で結び上げられた乳房の谷間を犯す男が一人、右と左の手で扱かせ犯すのが二人、口を犯すのが一人、髪の毛を掴み髪で扱いかし犯すのが一人…合計で7名が同時に美緒の肉体を犯した。
同時に一人の女を犯す人数としては、7名がある意味限界の人数と言える…それ以上は互いの身体が邪魔を仕合、思うように女を嬲り犯すことが出来なくなるからである。
しかし、今美緒の身体を這い回りながら肉体を犯して行く触手…その触手の一本を男根と形容するのならば、美緒は今…数十人の男達に同時に犯されているのと同じと言えた。
腕ほども太さのある触手、鉛筆ほどの太さしかない触手、多種多様の太さの触手が美緒の肉体を這いまり、滑った液体を擦りつけながら侵入すべき隙間を求め、穴と言う穴に潜りこんでいっている…
美緒の剥き出しになっている乳房に何本もの触手が伸びて行き、弄ぶ様に責めさいなむ…搾り上げられた乳房がブルブルと震え弄ばれ、嬲られる。
「いっ…やぁぁーーー!助けて…助けて…お兄ちゃん!やだぁぁーー!!」
美緒が兄に助けを求める、無論のこと本当の兄ではない…小さな頃より、兄のように慕っていた男の事である。
共通の幼馴染の学園探偵…その彼に助けを求める美緒の姿を見て、律子は初めて悟る…美緒も彼に対して特別な感情を持っている事を…
「やめてぇぇぇーーー!!美緒を!彼女を帰してあげて!私が代わりに!わたしがぁぁーー!!」
縛められている科刑台を揺すり、縛められている枷を引き千切らんばかりに力を込める律子であったが、科刑代は微かに揺れるだけであり、枷は戒めを緩めることなく、律子をその場に留め置いた。
触手の海に捕り篭めれた美緒の身体が、数十本の触手により宙に持ち上げられる。
「ひぃぃぃーーー!!」
持ち上げられた美緒を中心にして、触手が群がりのたうつ、そして持ち上げられている美緒にいっそうの事、触手が纏わりついて行く…
「あっひぃいぃぃーーー」
尻や足に纏わりつきながら這い上がってきた触手が、何本も美緒の太股を…秘所の裂け目を…尻の割目を…粘液を吐き出しながらヌメヌメと蠢き嬲る、上半身に纏わりついた触手が、腕を絡めとりながら腋の下を経由して、美緒の剥きだしの白い乳房を嬲っていく、触手に絡め捕われている身体を必死に動かし、何とか触手から逃れ様とする美緒…しかし、身体を縛めている触手は、身体をがっちりと押さえこんでいる、結果として、ブルブルと乳房を揺らす事くらいしか出来ない
「いやぁぁーーー!」
大きく口を開き、悲鳴を張り上げる美緒の顔面まで競り上がって来た触手が、粘液を顔面に吐き出す…目に粘液が飛びこむ、そして開かれた口にも飛びこみ、喉を落ちて行く…
「げはっ!げぇうぅぅ…ぐばぁっ!」
口に飛び込んできた粘液、生暖かく…生臭く…そして塩気を含んだ、吐気を催す粘液の味…吐き出そうと広げた口に、それを待っていたかの様に、何本もの触手が潜り込んでいく
「んんん…んぐぅぅぅぅぅ…ぎゅぼゅ…」
口も裂けよとばかり、何本もの触手が口の中に群がる…そして、口中で蠢き、粘液を吐き出しはじめる…あふれ返った粘液が、口の僅かな隙間から溢れ出すが、大半は美緒の身体にへと注ぎ込まれて行く…そして口の中で、あふれ返った粘液は、美緒を文字どおり溺れさせていく…
ガフガフと粘液の泡を吹き出しながら美緒が手足をばたつかせ暴れる、しかし幾十にも身体を絡め捕った触手は、暴れる美緒を抑えつけながら、さらに口中深くに触手を捻りこませて行く!
数十秒が過ぎる…触手が、一気に口から引き抜かれる。
「あ…あべぇぇうぅぅ…ひゅ〜…ひゅ〜…もう…あかぁっ!」
注ぎこまれた大量の粘液を吐き戻す美緒…荒い息をしながら、何事か言おうとした美緒の口に、再び触手が侵入していく…再び、バタバタともがき苦しむ美緒…同じような事が数回繰り返され、その度に美緒は、ビクビクと身体を振るわせもがき苦しみ、口中に吐き出された粘液をボタボタと吐き戻した。
「……げほっ、げほっ、げひょっ…ほっ!」
不恰好なまでに口を大きく開き、ドボドボと粘液を吐き出す美緒…
「いやぁぁ〜…もう…いやぁぁ〜…」
剥き出しにされた上半身の乳房が、ブルブル震えながら触手に嬲られつづけ、絡みついた触手が絞り上げるように纏わりつき、乳房を歪に変形させる…乳首を擦るようにしながら触手の先端が、乳首を弄び嬲る…そして、下半身…幾本もの触手が蠢き、執拗なまでに嬲られていた二つの穴…その穴に触手の先端が侵入して一気に貫いた!
「ひゅがぁぁーーー!!ぐぼぅぅぁぁーーー!!あぎぃぃぎゃぁぁがぁぁーーー!!」
口から、意味をなさない、奇妙な悲鳴が吐き出される…その口に、再び触手が潜り込んでいく…顔を振り乱し、必死に侵入を拒む美緒…髪を纏めていた黄色のリボンが、触手に絡め取られ引き千切られる…乱れた髪に、触手が絡み付きグイッと触手の中に美緒を引きずり込んでいく…触手の海の上に漂う全裸の娘…まさに、そう表現する事しか出来なかった。
【 2 】
それは、奇妙な…艶しいまでの光景と言えた…浅黒い触手の群…その群の中を、それらに嬲り犯され、浮き沈みするかの様に漂う白い肌の少女…蠢く触手が足を大きく広げさせ、濡れた陰毛がベタリと張りつき、剥き出しになった股間に触手を捻じ込ませていく…尻の穴を…秘所を…幾本もの触手が、グチュグチュと蠢きながら出入りをし、美緒の身体の中に粘液を注ぎこんでいく…尻の穴に潜り込んでいた触手の一本が、ズルリと抜ける、その触手を追うかのように、締り切らない開口部からは腹の中に充満している粘液が、ピュッ!と溢れ出す…しかし、その隙間には、すぐに別の触手が進入していき、溢れ出した量よりも多くの粘液を注ぎ込んで行く…口と尻の穴に詰め込まれただけの触手だけで持ち上げられてもがく未緒…頭だけが触手の中から飛び出し、声にならない叫び声を上げては、触手の中に沈んで行く…下半身だけが突き出され、股間に突き込まれた触手により再び沈みこんで行く…手だけが…足だけが…触手の中から飛び出しては沈んで行く…
何かの拍子に、美緒の全身が触手の上に浮き出る…全身を粘液塗れにさせながら…
「うぁあぁぁ…」
呻き声としか言えない声を出し、助けを求めるかの様に伸ばされた腕…異常なほどにポコンと膨れ上がった腹部が、注ぎこまれた粘液の量を想像させる…ギュッ!と膨らんだ腹に触手が巻きつき締め上げる。
「げえぇほっ!」
美緒の口と秘所…そして菊門の三箇所から、身体の中に注ぎこまれた粘液が噴出する、噴水の様に飛び出して行く粘液…膨らんでいた腹部が元どうりになる…それを確認したのか、触手が再び美緒の秘所に…菊門に…突き込まれて行く…
「うぁぁ…うやぁぁ…うぐぅぁゃ…」
痴呆のように呻く事しか、すでに出来なくなっている美緒…そして、すでに物事を考える事も出来なくなっている…しかし、そんな中で一人の男性の姿だけが思い浮かぶ…
「…おにい…ぐっふっ!」
思い浮かんだ人に声をかける呼ぶ寸前…触手が再び口に突き込まれる…消えいく意識の中…その男性を呼ぶ事すら許されずに、美緒の意識は暗黒の闇の中に沈みこんで行った…
すでに身体中の穴という穴には、触手達から吐き出された濁液で溢れかえっていた…半開きになった口からは、ゴボゴボと濁液が溢れかえって、口から吐き出されて行くが、吐き出したのと同量か、それ以上の量の濁液が捻じ込まれた触手から注ぎ込まれる…すでに締りを無くし半開きになった、尻の穴や膣も同じようなものと言えた。
しかし、それでも美緒はまだ命を繋いでいた…幾十もの触手が、身体を被い尽くし、化け物の濁液に溺れそうになりながらも、かろうじて生きていた。
すでに痛みは感じてない…と言うよりも、痛みすら感じる事が出来ない状態と言える…美緒…その脳裏に、何が思い起こされているかは解らない…ただ、溢れ返った触手の中で、好い様に触手に嬲り犯され続けている…
何か聞こえたような気がした…触手が絡み合う音ではない…奇妙に澄んだ音が、朦朧とした美緒の耳朶に響いた
(ナンノ…オト…?)
最後に残っていた美緒の自我が、その音に反応した…虚を見つめていた瞳に、微かに意思が戻る、ネットリとした濁液のせいで周りが良く見えないが、化け物と自分が、なにか赤い光りに包まれているのがわかった。
何が起こってるのか…?
触手に包まれるような姿で、天井を見上げている美緒…その天井が、少しずつ上に上がって行っているように、美緒は見えた…
しかし、それは違っていた…美緒は気がつく、天井が上がって行っているのではなく、逆に自分が地面に吸いこまれる様に、減り込んでいってる事に…
自分を絡め取っている触手達、その触手達が自分を絡め取ったまま、赤く…強く…弱く…点滅している地面…正確には、この広間に床に刻み込まれていた文様に、ゆっくりと吸いこまれるように沈んで行くのが…
「いぁぁ…やぁぁ…」
弱々しい悲鳴…と言うよりは、呻き声を美緒は漏らす…触手の化け物達に犯されたまま、何処へとも知らない場所に運ばれる、恐怖と…絶望と…悪夢が…美緒の存在の全てを飲みこんで行く…
すでに触手達は、文様の中にほとんど消え去っていた。触手に絡みつかれ、持ち上げられていた格好になっていた分だけ、美緒はまだ完全には文様の中に埋没しきっていなかった。
しかし、それも多少の差でしかなかった…触手に絡まれたままの格好で、美緒が文様の中に消えて行く…見開かれた瞳が血走り狂気を滲み出させている、いっその事、本当に狂えてしまえば楽だったかもしれない、しかし一度狂ってしまた事のある美緒は、狂う事すら…悲鳴をあげれば、少しは恐怖を誤魔化せたかもしれない…しかし、再び口を塞ぐように突き込まれた触手が口を塞ぐ…瞳を見開いたまま、美緒の姿が完全に文様の中に消えて行く…最後に伸ばされた美緒の腕が、文様の中心部で美緒がいた世界にしがみつくかの様にヒラヒラと蠢いていたが、文様の中から突如飛び出してきた触手が、その腕を押え付けるかのように絡め取り、文様の中に引きずり込む…跡には、赤く点滅する文様だけが残され…その文様の点滅も、やがて消え去り…広間や洞窟を照らし出していた、淡い光も完全に消え去り…真の闇のみが残された…
【 3 】
文様の描かれた床を中心にして、数mの円の中…障壁により遮られているその内部は、のたうつ触手で充満していた。
「うぁぁ…うやぁぁ…うぐぅぁゃ…」
そして、その触手に満たされた空間の中で浮沈みしながら、美緒は断末魔にも似た叫び声をあげつつ犯されている。
「たすけてぇぇえぇぇーーーー!やめてぇぇぇーーー!」
触手で溺れている美緒の姿を見せられている律子が、悲鳴にも似た哀願を繰り返す。
僕は、それらの叫び声を聞きながら、満たされていく僕を感じていた…
美緒の姿が文様の内部に消え去る…あとには真の闇が残される…消えていた灯りが点灯された…どうやら、文様の外と中を遮っていた障壁は消え去っているようである。
後方から、僕を罵倒する律子の声が聞こえるが、そんな事は気にしない…僕は、文様の中心に置かれている小石ほどの大きさの物体を手にとって調べた…これが、生贄として差し出された如月美緒という人間との交換物…そして、僕は驚愕に似た声を出す。
「これは…応石!!」
応石…それは、万能の道具にして、究極の代物…それを僕は、この瞬間に手に入れたのである。
相変わらず罵詈雑言を僕に浴びせかける律子の声なども気にもならない、僕は律子のほうを振り向き、歓喜に満ちた言葉を並べだす。
「ははははぁぁーー!美緒は実に良い生贄だったよ、これがなんだかわかるかい?応石だよ…これを使って僕は、学園の支配者になる!」
「そんなの、知らないわよ!返して!美緒ちゃんを返して!」
応石の素晴らしさも知らないで、消え去った美緒を返せと叫び続ける律子…その愚かな姿を見ながら、僕は冷笑を浮べる…
生贄として捧げられた人間を再び、この世界に呼び戻す事は可能である…しかし、僕にはその気はない、なにせ呼び戻すには、生贄の交換物として出現した品物と新たな生贄を捧げなければならないのだ…せっかく手に入れた応石を手放す気などあるわけがない…
「確か君と美緒は親戚だったな…案外と君を生贄にすれば、もう一個応石を手に入れることが出来るかもしれないな…」
「あなた何を…何を考えてるの?やめて…やめてぇぇーーー」
僕は、科刑台から律子を下ろすと、美緒が消え去った文様に律子を引きずっていく…
文様の発動には、生贄の血が必要だ…僕は、律子に顔を寄せて言う。
「あちらで美緒によろしくな…感謝してると伝えてくれ…くくく…」
僕は、手に持ったナイフで律子の乳房に傷をつけ、律子の身体を文様に向けて放り出そうとした瞬間、ちょうど正面にあるドアが大きな音共に開かれて、黒い人影が部屋の中に飛び込んできた。
「なっ!」
飛び込んできた人影は、僕の顔にパンチを浴びせると、倒れていた律子を庇う様に背後に隠し言い放った。
「手前だけは、ゆるさねえ!」
学園探偵か…馬鹿な…何故奴がこの場所に…
「お前は、見捨てられたのさ…あいつにな!」
見捨てられた…誰が…誰に…馬鹿な…思考がグルグルとまとまらない…しかし、僕には新たな切札が…応石がある、これを使えば逆転できるはずだ…
「騎兵隊の到着ですか…でもね、君の知らない切札があるのですよ!僕には!」
僕は、殴られた事により噴出した鼻血を手で拭う、そして立ち上がろうとして床に手を着いた…次の瞬間に文様が発動した。
「ひっ!これは…そんな馬鹿な!」
致命的なミス!殴り飛ばされた先が文様の上で、鼻血で文様が発動してしまうとは、その場から逃げ出そうとしたときは遅かった。
障壁はすでに形成され、淡く光り輝く文様から触手が出現し始めていた。
「嘘だ…嘘だ…この僕が、何故こんな…馬鹿な…よせ!よるな!やめろぉぉぉーーー!!」
溢れ出した触手の群れが、その男を飲み込んでいく…触手にとって男も女も関係ない…今までにその男が犯してきた罪の数々を…男が、犯し凌辱を繰り返してきた女性たちにしたのと同じような行為が、触手により男の身体に刻み込まれていった…
「ぐぎゃぁぁぁぁーーひぃぎぃぐぅぶっぎゅぃあああーーーー!!」
その光景を呆然と眺める学園探偵と律子…やがて、美緒の時と同じように男は文様の中に消え去っていく…そして男が消え去った後に、人影が一つ現れた…
「美緒ちゃん!」
律子が学園探偵を押しのけるようにして倒れている美緒を抱き上げる。
「はやく美緒ちゃんを!」
学園探偵が、あわてて文様の外に美緒を連れ出す。
ペチペチと意識の無い美緒の頬を軽く叩いて、学園探偵が覚醒を促す…やがて、美緒は意識を取り戻し、一言言う…
「…ん…んん…ん…あれ…律子お姉さん…と、お兄ちゃん…どうして?…えっわたし…はだか?…いやぁぁーーー!!」
追補…壱
【最終報告書】
という文字が、表紙に書かれているファイルブックを開き、彼は中を読む…
すでに今回の事件(彼にとっては事件ともいえない些細な出来事なのだが)の詳しい報告書は手元に届いて処理されているが、今回の事件に関係した人物のその後の経過が、簡潔に書かれている。
彼はそのファイルの内容を見る…
如月律子〜学籍を回復し、公安委員会にも復帰を果たした…また学園探偵の助手も兼任しつつ、その才覚を余すことなく発揮している。
鷹匠遊子〜新たな学籍を習得した上で(喪失した学籍を復活させるよりも新規に学籍を収得する方が、比較的容易であることによる)性的な精神外傷を克服するために性愛研に所属しリハリビと特殊技術の習得を実行中…近日中に公安委員会に復帰の予定…
(復帰後のポストもすでに内定している)
数奇屋橋多香子〜植えつけられた肉芽を錬金術研により除去された上で、鷹匠遊子と共に性愛研にてリハリビ及び特殊技術の習得を実践中…近日中に公安委員会に復帰の予定…
(復帰後のポストもすでに内定している)
学園探偵〜悪徳大路内にて探偵事務所を開設…非番事の如月律子を探偵助手として、荒事専門の学園探偵として売出し中
(公安委員会より、非公認ながら一部業務を委託されているもよう)
元・公安委員〜行方不明…詳しい事は先に提出された報告書bSを参照の事…ただし不確定ながら死亡した可能性が非常に高いと見られる。
如月美緒〜本事件に関する全ての記憶を喪失していることが聞き取り調査により判明…原因は、異界への消失及びその異界よりの帰還による、何らかの影響と思われる。
(報告書bVを参照の事…なお異界への通路と思しき文様はすでに効力を喪失した事が確認されている)
また同時に肉体的なダメージの全てが回復している。
(本事件による、度重なる凌辱及び狂的科学部による人体実験の影響がまったく見られず、処女膜すら再生されている事が確認されている)
喪失した学籍は、新規に学籍を習得することにより解決済み…その後、図書委員会に復帰している。
「よろしい…」
それで、この件は終了し、ファイルは棚に仕舞いこまれる。
再び、このファイルが開かれる事は無いであろう…何か、この件に関する重大な事件が引起されない限りは…
追補…弐
『は〜い、笑ってね〜』
男の声がモニターの中から聞こえる、モニターには、引き裂かれた衣服が散らばるベッドで、すすり泣いている少女の姿がある。
『笑えってんだよ!』
モニターの中、つい先程まで、少女の上に覆い被さり凌辱していた男が、無理やりに少女の顔をカメラと思しき方向に向けさせる…涙と涎と精液でぐちゃぐちゃに濡れた顔が、モニターにアップで映し出される。
『えっ…うぐ…ひぐくぅぅ…もういやぁぁ…ゆるしてよ…やだぁぁ…』
殴打の痕が刻み込まれ、切れた口元から血を滲み出させている唇が微かに動き、喘ぐような声を搾り出す…
パチリ…とモニターのスイッチが切られモニターは、灰色の画面を映し出す。
「ちっ!」
モニターを眺めていた男は、吐き出すように言う。
「ダメだダメだ!こんなんじゃ、いい値がつかねえよ!…前に撮影した…【公安委員・律子】だとか【図書委員・美緒】のように、バカ売れしたのが懐かしいぜ!」
彼らは以前に、律子と美緒の凌辱ディスクを撮影した男達であった…黒幕の公安委員の失脚と失踪により、逮捕は何とか免れたものの、儲け口を失い…細々と、どこかで都合をつけた(当然の事ながら非合法に)少女達の凌辱ディスクを撮影しては売ると言う商売を続けていた。
「仕方ないだろ、あんだけの上玉はめったにいないいからな…」
トントン…
不意に入口のドアがノックされる…この場所は、仕事のために用意した部屋で、誰も知らないはず、誰かが来るはずも無い…
男達は互いに顔を見合わせると、一人はドアのほうへと向かい、もう一人は大振りなサバイバルナイフを構えてドアの死角に立つ…目配せをし、男がドアを開けるとそこには一人の少女が立っていた…
「おっ…お前は…」
立っていた少女は、如月美緒であった。
以前に撮影した女…大いに人気の出た作品の主演女優…男達の脳裏に、不信感などと言うものよりも先に、再びこの女を使って撮影した裏ディスクの儲けのことが思い浮かぶ
「へへへ…ひょっとして、あの撮影の事が忘れられずに、また撮影してほしくてきたのか?だったら、大歓迎だぜ!」
そのような男達の声が耳に入らぬかのように、室内に入り込むと消えているモニターのスイッチを入れる。
まだ切られていなかった、凌辱ディスクが映し出される…モニターの中で犯される少女の姿が映し出された。
「よかった…」
その映像を見た如月美緒が呟くように言う。
「なんだ?」
その如月美緒の行動や言葉の意味を理解できない男達が、不思議そうに言う。
「よかった…まだ、彼方達がこんな酷い事を続けていて…もしも、反省なんかして、普通の学生生活なんかをおくっていたら、彼方達を許してしまいそうだったから…」
ザワリ…如月美緒を中心とした床が淡く光りだし、その光の中から触手が湧き出てくる…
「おい!こりゃなんだ、おまえ何なんだ!」
男達が湧き出た触手の絡み捕られていく、手に持ったサバイバルナイフで触手に切りつけるが、ヌルヌルとした触手は傷つくことなく、男達を更に絡み捕っていく
「やめろ、離せ!離してくれ!助けて…助けてくれぇぇーー!」
男達を絡め取ったまま触手が床にと沈み込みながら消えていく…当然の事ながら男達も一緒に床に沈みこんでいく男達の姿を見ながら如月美緒は言う。
「ふふふ…私の子供達よ…可愛いでしょう?でも、お腹を空かしているの…だから、ご飯が必要なの…残さずに食べるのよ…」
最後の方は、床に沈みこんでいく男達にではなく、蠢く触手に語りかける…その言葉に応えるかのように触手の一本が、如月美緒の側まで寄ってきて、彼女の頬にスリスリと甘えたように触手を擦り付ける。
男達の姿はすでに完全に消え去り、淡く光っていた床も何時の間にか普通の床に戻っていた。
彼女の甘えていた触手も何時の間にか消え去っている。
触手により異界へと連れ去れ、再びこちらの世界へと帰還した彼女…短期間とはいえ(もともと時間と言う観念で推し量れるモノではないであろう)異界を経験した彼女に、どのような事が引起されたのかを知りえる事は、彼女自身の言葉を借りなければ不可能であった。
すでに彼女は、帰還した時点でこちらの世界の住人ではなくなっていた…かといってあちらの世界の住人でも無い…あちらとこちら…その二つの世界の狭間に生きる存在…それが彼女であった。
そして、こちらの世界で彼女が生きていくためには、彼女自身と異界で出来た子供達の餌が必要であった・・・この先、自分がどうなっていくかわからない…ただ、少しでも長く、姉と慕う律子や兄と慕う学園探偵…そして、友達との生活を続けて行きたかった…たとえ、どのような犠牲を必要としても…
開け放たれたドアから如月美緒は出て行く、あとには消されなかったモニターから流れる凌辱ディスクの映像が映し出されるだけであり、やがてその映像も終了し…後には、砂嵐を映し出すモニターだけが残されていた。
終劇