蓬莱学園の淫日!




其の1


「なかなかどうして手の込んだ秘密基地って感じね」
 さすがの理香も声が上擦っている。
「帰りたければ帰ってもいいわよ、もう今帰らなければ機会は無いと思うから」
 珠美は何を考えているのか落ち着いたもので理香を嗜めて見せる余裕まであったりする。
 彼女達と、SS残党と呼ばれる幾人かの先輩たちが長い通路を抜けて、入り組んだ迷路のようなところの先に行きついたのは近代化された施設であった。
 そしてそこで彼女達が見た物は驚くべき事実であった。
 女性達がその裸身に縄や拘束具、果ては釣り下げられたり、いくつもの女を陵辱する為の道具によって自由を奪われた状態で獣のお面をつけたりエプロンに獣をあしらった男達に物のように扱われそれこそ運ばれて行く様子であった。
「このままじゃらちが明かないわね」
 珠美の一言でSSの連中が動き、今は二人で片隅の空き部屋で身を潜めているところだった。
「何だと思う?」
 楽しそうに理香が聞くと
「人身売買でしょ」
 楽しくなさそうに珠美が答える。
 もう何度目かのそんなやり取りが再び二人の口の登った。
「他に言いよう無いわけ」
「じゃあ、SMゴッコ」
 そしてまた凝れも何度目かのやり取りがくり返される。
 しかたの無い事に彼女達は戸惑いと不安を押し隠す術をお互いに求めているのだから。
 コンコンッとリズミカルに合図のノックがされるとスルリと中に男が入って来る、SSの先輩だ。
「情報仕入れて来ました」
 そう言って男の手からは獣のマークの入ったエプロンが人数分落ちた。
「さすが腐ってもプロ!」
 感嘆の声を上げた理香を余所に珠美は次の事を考えていた。
 そう、落ち着きをSSの先輩が帰って来た事によって取り戻した珠美は潜り込んでどうするか……という事を考えていた。
「乗っ取れそうですか?」
 そう珠美に声を掛けられたSSの先輩はさも嬉しそうに答えたのだ。
「この基地を我らの物にするだけでも大躍進ですよ」
 低い目標である。
「乗っ取れそうなんですか?」
「ここから中央のこれから何か始まりそうな所に行って動向を伺おうかと思います」
「そう」
「よし行こう!」
 ちょっと思案顔の珠美に理香はすぐに反応した。
「こんな所でじっとしてても事態は動かないよ」
「そうだけど、引っ掛かりませんか?」
「何が」
「確かに引っ掛かりますね、これだけのものですから」
 何を言ってるのかわからないと言ったふうの理香の脇でSSの先輩が言葉を継いだ。
「学園の上層部が絡んでる人身売買なんじゃないかって事ですよ」
「学園の?」
 まだわからない、それはそうだ、まだ入学して一週間経ってないのだ、この学園の上層部など日本の政治体系にも匹敵する暗黒面が存在するなど理解の範疇の外であろう。
「話してくれる?あなたたちSSだって関係無い話じゃないんでしょ」
「はあ」
 珠美にしたって入学して間もない、知らないことはやはり多い。
「この学園には二級生徒って奴隷のような身分の学生がいるんですよ」
「「え?」」
「まあ、最近では別名二級生徒届け出法案なんてのが出来て生徒会もしくはそれに準ずる組織に対して届け出のなされていない学園生徒でない人間が学園内で労働出来ないらしいんですけどね」
「でも、でも二級生徒は学生なんでしょ?」
 理香の疑問ももっともだ。
「いえ、彼らは正確には生徒じゃなくて、ただ買われて来たんです、生徒の振りをして暮らすことは許されても学生証も無ければ、学籍も無い、金をはらった団体の持ち物なんですよ」
「SSだって……」
 珠美はつぶやくように言ったのだが、先輩には聞こえている。
「はい、あの頃は最大手、しかも武装集団ですからね、盾代わりの二級生徒はいっぱいいました、学園の中で戦争のような事があってそれでも死者の数が思ったより出て無いのはひとえにかわりに死んでいった生徒に含まれない数があったからですよ」
 先輩はけっこう辛そうに告白していた。
「私はその時はまだ入学し立てでそんな生徒がいる事なんて知りもしなかったなんてのはいいわけでしょうしね」
「反省は美徳だと思うけど」
 今度は理香が驚いた顔をする番だった、珠美が優しい表情で先輩を見ていた。
「それで、今度のとどう関係があるの?」
 でも一瞬だった。
「はあ、二級生徒には二種類あって、ここに二級生徒として売られてくる者の他に、この学園でそれこそ自己破産でもするように学籍を売り払ったりして自ら二級生徒になってしまう事が有るんです」
「自己破産程度なんだ」
 事の重大さに気が付かない理香は簡単なものだ。
「そんなものじゃないです、二級生徒は人殺しまでさせられるし、そうでなくても死ぬような危険な事までさせられるんですよ」
「話がそれてる」
 熱を帯びる先輩を押しとどめて珠美が割ってはいる。
「つまり、自分で売り払わなくても拉致されて、生徒証を抹消されてしまえば自分がここの生徒である証しをたてられないうえに、性奴隷として売られてしまえば普通の生徒と接触する機会も無いから今回のような取り引きが成立するわけね」
「はい」
「よくわかったわね、あんな二転三転する話で?」
「流れと状況でね」
 そこまで話をしていると他のメンバーもじき帰って来た。
「じゃあ、変装して潜り込まなきゃ」
「はあ」
 明るい理香だが珠美は額を押さえてため息をついていた。
「何? 珠ちゃん」
「解ってないわね理香」
 そして先輩の手から彼女達用の変装道具首輪に拘束用の荒縄が取り出された。
「すいやせんね、縛らせていただきます」
「え?」
「流れから解らなかったの? ここでは女は奴隷、二級生徒よ」
「え?」
「すいやせんね」

「おおぅ」
 はらりと制服の上に最後の一枚であるパンティが落ちると男達からどよめきが上がった。
「じゃあ、代表いたしまして」
 先程辛そうに二級生徒の事を語った先輩が珠美の肌の上に縄を掛けて行く。
「痛ッ!」
 そう小さくつぶやいた珠美の声に男の手は止まる。
「すいません、大丈夫ですかい?」
「平気です、必要な事なのでしょ?」
 頬を赤らめた珠美の姿にぐっときながらもそのうすい胸の上下に縄を掛けて……
「詰まらないでしょ、こんな縛りがいの無い身体で」
 何か照れている珠美は意地らしかった。
「そんな事無いです、足上げて下さい」
 そんな珠美に気をよくしたのか股縄を通すのにその足を自ら上げさせようとする。
「…………」
「早く」
 ゆっくりと珠美の前で屈んでいる男の肩に乗せるように珠美の足が上がる、まだ密やかな珠美のそこにはもう女のソレが息づいていた。
「恥ずかしいですから、早く」
 そう言われて男は見惚れていた自分に気がついた、そしてそこでゆっくりと股縄の中央に結び目を珠美のクリトリスと、女淫、菊門にあわせて作ると……
「くっ!」
 珠美にきつく食い込ませて後ろ手に縛り上げた。
「すいません、しばらく我慢して下さい」
「はい、大丈夫だから」
 気丈に答える珠美がまた男には堪らなく愛おしく思えた。
 そしてその裏側で、理香もまた縛り上げられていた、彼女の場合口が五月蝿かった為担当した男の反感を買ってキツク縛られていた。
「何でもっと緩くって言ったでしょ」
 脱いだら出る所の出ている身体の理香はまるで魔法のように荒縄がきつく食い込んで、縛り上げる為に神がそう創造したかのようなボディーラインだった。
「痛いわよ、もっと優しく出来ないの?」
 荒れている理香は今度は珠美を縛り終えた男に食って掛かった。
 しかし……
「すいやせん、相手もプロなんで迂闊な縛りじゃバレますんで」
 という事である。
「だって…… 股んところが、食い込んで……」
 何やらモゾモゾと口の中である。
「何があったんで」
 股縄に作られた三つの結び目が早くも理香の官能をくすぐり出したらしく奥から淫液を溢れさせる。
「早くすませようょぅ」
 先程から理香の声に何やら潤んだような艶っぽさが混じっていた。
「…………」
 そして珠美は一言も話せないようで顔が赤く瞳を潤ませて自分を縛った先輩の背中に
 コトン……
「どうしやした?」
 にもたれ掛かったってしまった。
「平気……」
 他のSS隊員の視線がちょっと痛い男であった。
「ねえ、名前もう一度教えてくれない?」
 珠美は背中にそっとそれだけ言った。
「いきやすよ」
 立ち上がると二人の首に取付けた首輪に繋がったロープの先を男は握って扉を開けた。喋り方まで卑屈だった時とは変わっていた。
「あっしの名前、まだ憶えて無かったんですか、飯田、飯田王守」
 こうして二人の女生徒はその裸身を廊下へと躍らせた。

 どしんっ
 表へ出た瞬間に先頭を歩いていた飯田王守(イイダ・オース)とコアラのエプロンを着けた男がぶつかった。
「これは申し訳ない」
「こちらこそ」
 礼儀正しく言葉を交わしながらコアラ男の目はその場の二人を値踏みするかの用に舐め回している。
 ドキンッ
  ドキンッ
   ドキンッ
 理香はそれこそ恥ずかしさで顔から火が出るようだったし、珠美は……
「いい奴隷を用意したみたいですね」
「ありがとう、そちらはこれから調教ですか?」
 王守はコアラが担いでいる縛り上げられて意識の無い様子の女生徒をあごで指差しながら、まるで理香と珠美の事など意に介さず立ち話を始めてしまう。
「ああ、こいつ、これは品評会には出さないプライベートな物でね、もう私の仕事は終ったんで部屋に篭ろうかと」
「それはうらやましい」
「急ぎますのでこれで」
 王守はまだ話をしたがったがコアラ男がそれを打ち切ってその場を離れた。
「手慣れてない?」
「何の事で」
 理香の視線ももう自信を取り戻している王守には気にならなかった。
「………………」
「珠美さん?」
 頬を赤らめ珠美は誰にも気付かれないうちに上り詰めていた。




其の2


 意識がまるで泥の中から這い上がって来る目覚めというものを圓は始めて経験したと思えた。
 だからといってけして嬉しいわけではない、何事に付け始めての経験などというものに喜ばしい事があった試しは無い圓だった。
 感慨に更けるでも無く身体を確認していく圓はすでにGESUTACOの工作員だ。
「足、動く、手大丈夫、意識正常、服ぐらい着せてくれてもいいのに……」
 一通りの確認の後あたりに気を配ると、そこは狭い部屋の中で薄暗い空間に何やら白く浮き上がるものがいくつかあった。
「えっと」
 その白いもの達に目を凝らしてそのうちの一つに近づいていく、そしておもむろにそれに触れると声をかけた。
「平気、身体動く、若菜さん」
 白いもの、部屋の中にうち捨てられた少女の裸身であった。
「うっ」
 圓自身も裸でいる為に白くこの部屋の中で浮かび上がってみえる。
 彼女の身体のあちこちには拭き取られる事の無かった男達のスペルマが乾いてこびり付いていて、何気に唇を舐めて表情をしかめて見せる。
「斎条若菜さん、身体動かして、ここから逃げる準備をしないと」
「逃げるのですか?」
 若菜の後ろで白い塊が動く、一際白いその身体とうてい日本人とは思えなかった。
「レイティア・フェフィールといいます……連れていって下さい」
 レイティアはそういってすがりつくようだ。
「レイティア、そう言われてもね…… 私もこんなカッコだし」
 圓は困ったように
「何だよ、今逃げるって言ったのを僕は聞いたよ」
「何で……」
 その時、彼女達の声に反応するように若菜の声が聞こえて来た。
「若菜!」
 圓は喜びの声を上げた、元々彼女を囮にすることは反対だったのだし、でも若菜が圓に向けた視線は敵意に満ちていた。
「何で私の名前を知ってるの?」
 ビクンッ
 静かだか、地獄の底から聞こえて来るような若菜のその声に室内の温度が2、3℃下がったようだった。
「それは」
 資料を読んだからとは流石に言えない、GESUTACOの行動は極秘である。
「言えないんでしょ、あなた敵なんでしょ、あの性愛研のお店の悪徳マスターの仲間なのね」
 ビクンッ
「イヤァァァァァァァァァァァァァ」
 その声に真っ先に反応したのはレイティアだった、そのため圓が言おうとした弁明は若菜に届かなかった。
「もうやられないわ、もうあんな思いは嫌!」
 若菜の圓を睨み付ける表情はもう何を言っても聞き入れる状態では無い事を如実に現していた。
「ちょっ」
「イヤアアアァァァァァヨォォォォォォォォォォ」
 次の瞬間レイティアが圓に飛び掛かった、その動きは普段の冷静さを欠いているとはいえ鍛えられた肉体の成果がいかんなく発揮されていた。
 ドスンッ
  バタンッ
   ゴスッ
 攻撃されている圓の方も体術にはそれなりに憶えがある、いまこの状態では冷静な分だけ圓に分が在った。
 普通なら負けることは無い…… だがタイマンな戦いではない。
 ガシッ
  ガバッ
   ドサッ
 圓が一瞬下になってレイティアを吹き飛ばそうとしたタイミングを見計らって若菜が割って入った、そして力を外に逃がした隙に公安で習っていた捕縛術で利き腕と思われる右腕と右足を同時に固定して押さえつけた。
「もう動けないわよ、私達の受けた痛み思い知らせてあげる」
 いつも落ちこぼれ扱いされているとは思えない若菜の動きに圓は面食らった。  
 若菜が空いている方の手でレイティアにポーズをとって指示して見せる、指先をそろえて何かに入れるような素振りをとって。
「やらないと、また酷い目に会わされちゃうわよ」
 若菜のその声に身体を震わしてレイティアが動く。
「グゥ」
 若菜が偶然にも性愛研において黄金の右腕と呼ばれる圓の右手と捕縛術の所為で気管が押えられて声が上げられない状態にしてしまっているのがはたして幸運であったのか不幸であったのか……
 押えられて片足が開いたままの圓の股間にレイティアはゆっくり近づくと拳を……
「グゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」
 指先を圓の媚肉にゆっくりと沈めていく。
「もう、もう、僕はあんな目にあうのはたくさんなのよーー」
 ゴリッ
  ゴプッ
 無理矢理開かれた媚肉の奥からいつから入っていたのか生暖かいザーメンが溢れ出てレイティアの手を汚す。
「グッ……」
 生暖かいザーメンがその場にいる3人に悪徳大路であった事を思い出させてる。
 嫌と言うほどのその白濁した液体をその身に受けて意識を飛ばされた三人であった。
 そういう意味でこの三人は同じ経験をしてここに運び込まれて来たはずだった、それぞれの心に出来た傷はそれでも様々だった。
 グチュュッ!
  ドドン!
「はうっ」
 体の中に確かに人の手があるという事の重たさが圓には信じられなかった。
「入ったわ、入った!」
 興奮が若菜を包んでいた、それはあの白濁した液体の匂いが彼女を性的興奮へと駆り立てていた、そう調教されていたから。
「痛い痛い痛……」
 若菜が圓を開放した時、その股間にはレイティアの右手がズッポリとはまり込み、抜け出ることはおろか動く事すらままなら無かった。
「女性にはもう一つ男性を受け入れる場所がありますわね」
 若菜の声には抑揚がなく、狂気の縁に立っているようだ。
「止めて、痛いよ、これ以上出来ない」
 震える圓の、股の間に入るとしおらしくすぼまっている菊門に指を這わす。
「イヤァ」
 ズプッ
  ヌチャッ
   ドロリッ
 肛門のすぐ側までザーメンが詰まっていた。
「ウッ……!……カハァァ!!」
 その瞬間もう片方の手を自らの股間にあて若菜は上り詰めてしまった。
 ぺロリッ
「若菜……」
 圓の身体から出て来たその液体を嬉しげにすすっていく。
「何やってるの、こいつを」
 レイティアの悲痛な叫びも無視して一心不乱に圓の股間を舐めて、吸って、飲み下していく。
「アアン」
 その動きに圓の官能も次第に狂わされていく……
「こうなったら、僕一人だって」
 そう言うや否や圓に挿入していた手を中でゴリゴリと回転させる。
「ガハッ!!!」
「どうだ!……僕達を解放するんだ!!」
 気を吐き掌を中で開閉すると子宮をまさぐる。
「はぐ!……ガグッ……」
「もう、どうなったって知らないぞ」
「どうなったって知らないってのはこっちの言葉さ二級生徒のお嬢さん」
「え?」
 不意に男の声がした、レイティアが振り向くと入口の扉が開き巡回班の半被を羽織った女の子を抱えているエプロン男が立っていた。
「な、なに?」
「売り物同士壊し合ってくれてたら困るんだよね」
 ドサリと巡回班の少女を脇に落とすと顔を摩りながらにやけた風に男は近寄ってくる。
「まもなくオークションなんでおめえらの身体を洗いに来てやったんだが、チョットばっかしお仕置きが必要かな、俺は自分の女どっかに持ってかれて気が立ってんだ覚悟しな」
 逃げようと後退るレイティアだが手が引っ掛かって動けなかった。
「抜けない……」
「ようし脚開きな」
「イヤアァァァ、もういやぁ 誰でもいいから助けてぇぇぇぇ」
 その声にますます気を良くしたのか男は嬲るようにレイティアに覆い被さっていく。
 転がされている茂内あられの腹部が収縮をくり返し全身油を塗ったかのような汗に塗れていた。
 気を失ってあられの向こうでレイティアが確実に責め上げられてもう気をやる寸前だった。
「はぁ……はぁ……はぁっ………… うはっっくひゅぅぅ」




其の3


 その薄暗い闇の中に怪しげな音だけが響いていた。
 ペチャリッ……
  ペチャリ……
 その舌は白い素肌の上を滑るように這って行く。
 ペチャ……
  ペチャッ……
 つま先から指の先迄繰り返し繰り返しなめ回して行く。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ」
 長く息を吐き自らの唾液で全身を光らせた美しい女体に向かってコアラ男は、恍惚の表情を作った。
「申し分の無い材料です、くっくっくっ 彼は今ごろ慌てているでしょうね、こんなに良い素材が消えていたら」
 よく見れば、まわりはゴテゴテと本来何に使うのかすらよくわからない器具が並び部屋の主の所在すら容易にわからなくしている、まさしく『マッドサイエンティストの城』状態になっている。
 そして、その器具の中央には女性の張りのある白い裸体が釣り下げられ、気を失った女性が無意識のうちにつま先立ちでバランスをとっている。
 彼女の白い肌が周りを照らし出すかのように浮かび上がり周囲をより一層薄汚い醜悪なものに見せているようだ。
「いつまで気を失ってるんですかね」
 そう言うと男は器具の中のひとつを無造作に引き出すと長いコードの付いたそれを女性のみぞおちの部分に突きつけた。
 バチッ!
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
 激しい電気がその女性の身体を跳ね上げる。
「おはよう、良い夢は見れましたか」
 一瞬状況の飲み込めない女性に男はもう一度コードを近付ける。
 ビクンッ!
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
「良い夢は見れましたか」
「止めて! 止めてぇぇぇ」
 更にコードを近付けようとする男に女性はたまらず悲鳴を上げた。
「あっ気が付いたんですね」
 男はゆっくりとした動きでコードをしまうと何やら円筒形の筒のようなものを替わりに取り出して来た。
「まずここでの約束事ですが、わたしの命令には絶対服従です、厭ならさっきの電気をもっと辛い場所に押し当てますよ」
 口元だけが笑った。
「わかりましたね!」
「ハ、ハイ」
 反射的に女生徒は答えてしまった。
「よろしい、では一つ目の質問に答えてもらいます」
 直径が2センチ、長さが20センチほどの筒を手の中で玩びながら、男は顔と顔がくっつくほど近付きその器具を女性の豊かな乳房の下側に当てる。
「あなたの名前を教えて下さい」
 そして、藤堂光は自らの名を名乗り、自分の身に起こった悪夢が調理場より更に悪くなっている事を知った。




其の4


  いくつかの集団に別れて『WHERP』が鈴菜の森の中を進んでいく、それを遠くに見ながらヘレン・アラワードはチョットした事を考えていた。
「これはこれで上手く行きすぎかも」
 と言うことだ……
 『WHERP』の事が心配かというとそうでも無くて……
「私が潜り込むまでの間くらいは時間を持たせてくれるんでしょうね」
 とまあこんな感じで甚だ緊張感からは遠いところにいた。
 そして『WHERP』のメンバーがその秘密の入口とおぼしきものを見つけるまでジット待ってからその後をこれまた人知れず内部への進入を果たしたのだ。
 
 ヘレンが内部へ進入した時真っ先にしたことは当然中で行なわれている二級生徒売買とその為に集められた生徒たちの確認だった。
「どれくらいの規模なのか教えてもらうわよ」
 手近にあった一部屋に入り込んでコンピューターの末端を操作してデータを……と思った時その場にいた人間に。
「何者だ!」
 と声を上げられた。
「知らないの?」
「ぐ、ここに潜り込んでただで済むと思うなよ」
 その人物はヘレンの馬鹿にしたような態度にも揺らぐ事の無い自信を持っているようで脅しの言葉をスラスラと口にした。
 考えてみれば自分達の秘密基地の中での事だから当然ではあろう。
「私はあなたに会いたかったのに……夢野香織さん」
「な、誰だ……お前」
 その場にいた女、夢野香織は今度こそあわてたようだった。
「悪徳大路で好き勝手やるにはまだ経験が足りないようね、香織」
 素早く立ち上がった香織は戦闘体勢へと移行した。
「無駄な足掻きって知ってる?」
 ゆっくりとそして隙だらけの体勢でヘレンは近づく。
 そして香織もまた戦いには慣れていた、だから相手の様子を窺いながらポジションを有利なところへと移動させていく……
 当然ヘレンの減らず口のも乗って来ない。
 シュッ
 空気が鳴り、微かに振動も伝わってヘレンと香織はその立ち位置を交換していた。
「よく躱した!」
 香織の声は低く相手を恐喝する為に使う声色だ。
「状況は変わったわよ」
 ヘレンは相変らず軽い、そしてその手の中に香織が着る事を許されている唯一の物学園の制服のジャケットがあった。
「な!」
 驚き自分がいつの間にか全裸にされてしまった事に対して慌てる香織と先程までと一向に変わった様子の無いヘレン。
「このくらいは性愛研の指導員なら出来て当然、最近の金儲け主義でそれを怠る奴等は多いけどね」
 香織のジャケットを放り捨て、悠然と近づいていく、先程までと相も変わらず余裕の表情も今の香織には人の狂気の深淵を覗くかのように思える恐怖の笑みだった。
「どうしようというの?」
 香織はこの組織に飼われている二級生徒だ、自分の未来を決定する資格を持たない。
「まあ、楽しみましょう」
 そう言うと軽く香織の右の乳首を摘まむ。
「ひゃう!!!!!」
 ビクン!
  バシャッ
   ガクンッ
 どうやってか知らずに与えられた快楽に調教されて開発されきった香織の身体は耐えられなかった。
「敏感ね」
 乳首を摘ままれたままで腰が砕け右の胸を持ち上げられた状態の香織の股間からは淫液が溢れていきなり足首まで濡らしていた。
「いや……    どうして…… こ、こんな……私は……」
 息も絶え絶えに反撃をしようと力の入らない両手を持ち上げようと努力する、しかし……
「こっちも愛撫してあげる」
 言うなり濡れた股間に手を這わすと赤く充血したクリトリスを剥き上げ軽く摘まむ。
「うひゃぁぁぁぁぁぁぁうぅぅぅぅぅぅん!!!!!!!!!」
 軽く触っただけにしか見えない行為で香織は再び昇り詰めてしまい、意識を失った。
 乳首とクリトリス二点だけで香織の身体を支え続けていると次第にその身体が痙攣をくり返し……
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁふん!」
 香織の意識が無理矢理快楽によって呼び覚まされた。
「ゆ、許してもう止めて、気が変になっちゃう、ダメ、イク、止まらない、ダメまだイク許して、止て触らないで、イク、イク、イク、イク、イク、イク、イク、イク、イクッ!!!!!!!」
 混濁とした意識が夢と現実の狭間で何度も何度もくり返し往復させられる。
 快楽の地獄であった。
「やめて……ゆるして……やめて……ゆるして……ま……た……イクのぉ……」
 白目をむいてはまた起きて、香織は全身を汗と愛液によってヌラヌラと濡らして呼吸すら出来ない状態で最後に屈伏の言葉を吐いた。
「な……何で……でも……言う事……を……聞きます……今日から……あ……あなたの……奴……ど……ど、奴隷に……なります……何でも話し……話します……だ、だ……だから……ゆ、ゆるして……」
 ヘレンはそこまで何も香織に強要せずにその従属の言葉を引き出すとようやく指を放しその場に香織を投げ棄てた。
「よくわかった? これが性愛研特一級指導員の実力よ、圓には素質があるから後継がせたいんだけどねー」
 ッと後半は口の中でモゴモゴと言ってみる、しかし香織はそんなヘレンの言葉など聞ける状態では無かった。
 もしこの場に香織だけじゃなく何人もいたとしてもヘレンには無人の野を行くがように全て快楽の海へと投げ込んだ事であろう。
「返事が無い!」
 などと理不尽な事を言うとポケットからライターと針を取り出して香織の前に座った。
「お仕置き」
 熱した針で右の乳首、左の乳首、クリトリスと順に貫通させていく。
「ぎゃ……」
 悲鳴を上げたのも一瞬で針から伝わる振動が香織の蜜壷をまた溢れさせ、悲鳴は切ない喘ぎへと変わる。
「ハァ……ハァ…… ウック」
 香織が昇り詰めてキをやっている事もかまわず、ピアノ線を取り出すと両の乳首とクリトリスの穴を通して輪になるよう結び、引っ張って止てしまう。
「よし出来た」
 それぞれの線の中心から一つに束ねた先を手に取り引くと……
「起きな、夢野香織さん」
「ヒャッ」
 一度に三ヶ所同時に送りこまれた、刺激に飛び上がって目を覚ますと、敗者の表情の香織はヘレンの目線を避けるようにうつむいてしまう。
「さぁ、話してもらいましょうか? ここに連れ込まれた女生徒達の学生証のありかを、ついでに案内もしてもらいましょうか」
 有無を言わさずピアノ線を引くと立ち上がらせて外へと行こうとする。
「待って、御案内します!少し休んでから、足腰が立たないんです」
 香織の言うとおり無理矢理立たしては見たもののガクガクと膝が笑い、腰は泳いで一時として安定して立っていられない。
「それに服を返して下さい……」
 先程ヘレンが投げ棄てた香織のジャケットの方に顔だけむけてそう訴える。
「何言ってるの、あなたは二級生徒でしょ、ここでは裸の女なんて珍しくも無いし、まさか自分が特別だとでも思ってるの?」
 香織はその言葉にヘレンの顔をやっと見た、ここに来た時と変わらない余裕の笑みしかしその瞳は全てを見下す冷たい色をしていた。
「二級生徒なら二級生徒らしくご主人様には傅いてなさい!命令の聞けない奴隷なんて価値無いわよ」
「はい」
 香織は戦ってはいけない人間を相手にしている事を魂に刻み込まれた事を漸く理解した。




其の5


 あたりはいったん闇に包まれ何処かでドラムの音がリズミカルに鳴り出す。
「レディースエンドジェントルメン」
 スポットライトが一人の男を照らし出 す。顔をバタフライマスクで隠し、仰々しいタキシードに身を包んだ男は、使い古されて何一つ目新しさを感じさせる事の無い前口上とパーティーの開催の言葉を声だかに宣言する。
 そしてようやく薄明かりが秘密クラブめいた会場を照らし出すとあちこちのテーブルの上には皿にされた女生徒達の裸体が浮かび上がり会場をざわめき立たせる。
 そのざわめきを一瞬の内に沈黙させたのは一際強い光がステージの上に注がれた事により、その長い足を上に突出した状態で大きく開いたまま荒縄にかけられた女生徒が目に飛び込んで来たからだ。
 そしてその足の付け根、その中央に鮮やかなピンク色をした女陰をライトによって総てさらけ出されていたから。
 その上半身には素肌の上に校内巡回班のはっぴを羽織らされ、胸の上下に食い込んだ荒縄によって乳首をものの見事に浮かび上がっている。
 そう茂内あられの姿が浮かび上がったからだった。
 更に言うならば、その女陰の下で小さな窄まりを見せているはずの菊門が、何かワインのコルク栓のような物で塞れている事が、一気にこの会場を淫猥なムードに造り上げたのだった。
「さてこの女生徒我ら犯罪者にとって憎っくき相手、そう校内巡回班に所属していた女です」
 司会のその言葉に場内は一瞬湧いた。
「名をあられといいます、でもお買い上げになった方の呼びたいように呼んで下されば結構です」
 言葉を一つ一つ区切りながら、そしてあられに聞かせるように司会は言葉を続けて行く。
「お買い上げになった方にはここでこの栓を抜く栄誉が与えられます」
 あられの脇に立った司会者はマイクを持たぬ方の手でコルクを小突いた。
「ひっ」
 青ざめこれ迄言葉の無かったあられがついに叫び出した。
「厭やぁ うち売られるんはいややぁ 勘弁したってぇ、お願いやこないな事嘘やゆうてぇ〜〜」
 そしてこの声で会場は更に沸いた。
「では競りを開始致します」
 まるで地鳴りのように会場が揺れ、
「○○円出すぞ〜」
 ひとつ目の競売物に皆が殺到している。
「いやぁ」
 あられの悲鳴も……
「それにこれだけ足す、俺にコルクを抜かせてくれ〜」
 値はどんどんつり上がり、
「堪忍やぁ 許してぇ」
 願いも……
「巡回班には恨みがあるんだ俺に譲ってくれ〜」
 ひとつ目の事もありハイボルテージで、
「…………」
 誰にも届かなくなっていった……
「まず味見させてもいいんじゃ無いのか」
 人々の見境も無くなって行く、
「さわらせろ〜」
 いつかこの事態に終わりが来るのかさえ疑問に思えた。
「ここ迄! カメレオンマントのM様に決定します」
 司会者が高らかに宣言すると最後まで 争っていた内の一人、よく太った身体に緑色のマスクと七色に光るマントを制服の上から羽織った男が前へ進み出た。
「M様こちらへ」
 司会者に促されるままMは壇上へと上がり、歓声とやっかみの罵声を浴びながら手を上げて会場中に答える。
「どうも」
 目の前で大量のお金の代わりになるチップと契約書が交わされて行く。
「これで正式にこの茂内あられはM様の物になりました」
 司会者の宣言に再び会場がざわめきMはポーズをとって見せる。
 あられはそれを何処か遠い世界の出来事であるかのように聞いていてまるで自分の事だとは思えなかった、いやおそらくは現実逃避の果てにその感覚の中に埋没した物であろう。
 そして肛門にされている栓にMが触れた事によりあられは現実に引き戻された。
「ほら取ってやるぞ、苦しいだろう」
 脂ぎった顔でMは言った。
「コルクじゃなくてゴムなんだな、奥で広がっている!これは苦しいだろう」
 別に苦しくはなかった、そうさっき迄はその感覚からも隔離されていたから。
「ほうら抜けるぞう」
 まるで子供のようにはしゃぎながら栓を引き抜いていくMの姿とあられの肛門に会場中が釘付けになっていた。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、やめたってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
 ポンッ
 と栓が抜け落ちると、
 バシャッ
 と中から液体が溢れた。
「ほおお」
 ぬろぬろとトグロを巻いていく物体にその場にいる総ての目が釘付けになった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、見んとい てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇ」
 長いあられの悲鳴にその場は静まり返りため息だけがあちらこちらに微かに聞こえて総てがその光景に魅入っていた。
「こんなに大きなヘビを胎ん中に入れてたのか」
 青大将と呼ばれるそのハ虫類はあられの中から出てようやく覚醒したのかずるずるとその場を逃げ出していった。
「今度はわたしの一物を入れてもらおうかな」
 Mの言葉に会場が今度は我に返った。
「次の商品をだせぇ〜」
「俺にもやらせてくれ〜」
 と罵声が続いた。
「では次に移りましょう」
 そう言って奥に司会者が合図すると奥に用意されていたレイティア、圓、若葉が次々に会場に並べられていく。
「今日はまず、我ら犯罪者の敵を一通り堪能していただき溜飲を下げていただこうというのがこの会からの皆様への第一の贈り物です」
 司会者の発言に会場が更にボルテージを上げていく。
「いやぁ、なんで僕がぁ」
「………………」
「助けて助けて助けて……」
 連れ出された三人もそれぞれに会場の雰囲気にその身を固くした。
 そして……
 Mはと言うとあられを抱えて自分にあてがわれた席に戻っていった。
「可愛がってやるよ、巡回班は大嫌いなんだ」
 Mはそう言いながら泣きじゃくるあられの肛門に指を差し込むとヘビによって広げられていたそれが閉じないように二本三本と指を増やす。
「勘弁したって……」
 震えてそう言うあられを嬉しそうにMが膝の上に乗せると自分のペニスをあられの中へと荒々しく沈めていった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 宴は始まった……













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