第二話「相姦」



 どこをそうやって帰って来たのかアイシャにはわからなかった……
 酒場の前から逃げ出すように逃亡して、そして家に辿り着くまでの間どこを通ってどのようにして歩いたのか……
 家の中はガランとしていて人の気配がしなかった。
「フィル?……」
 空しく呼び掛ける声に反応するものはなく、空虚な感覚だけに苛まれるようだ。
「フィル?いるんでしょ……出てらっしゃい……」
 いないということはわかっていた、股間から足に描けてぬめった感覚が冷たくなって纏わり付いている、約束を果たせなかった証しだった……
「こんなカッコウのまま私は……街中を歩いてここまで帰って来たの……」
 絶望があった、全てはフィルのためというにもそのフィルはいなかった。
「私に何の恨みがあるのよ! 出て来なさい、そしてフィルを返して! 正々堂々と勝負しなさいよ! 私は逃げも隠れもしないんだから!」
 玄関先で自分の家に向かって叫ぶ……そしてやはり返事は無かった……
 ペタリとその場に座り込むと
「フィルを返してよ……」
 二人だけの姉弟である彼女達は今までお互いを支えに必死に生きて来た、それは病弱であるフィルよりもアイシャの方がより依存度の高いものであったのかもしれない。


 コンコン……
「フィル!」
 力無くも身体を洗って死んだように蠢いていたアイシャがノックの音とともに覚醒したようにドアを開けた
「よう」
 その場に立っていたのはフィルでは無く冒険者仲間の一人だった。
「なんだ……」
 目に見えてがっかりするアイシャに男は
「なんだは無いだろうが、お前が帰っちまったから依頼の話が流れそうになったのによ」
 パタパタと興味無さそうに手をふると
「今回私は降りるわ……乗り気じゃ無いの……」
 フィルがいないのになんのために仕事をするのか、ましてやいない間に帰って来るかもしれないのだ。
「おいおい、あの依頼人がおめえを気に言ってこの仕事をまわしてくれてるのはわかってるだろうが! おめえ抜きなんて考えられると思ってるのか?」
 そう言えば、そうだった……こんな体格の大きな女を良く気に入ったものだと感じていたのだが……
「でも……」
 それでも渋るアイシャに
「仕方が無いな、でも俺だけに言われても困る、みんなにもちゃんと話してくれ、さっきのうんこ漏らしとのと関係あるのか?」
 デリカシーの欠けらも無い言い様だった。
「ばっ……」
 アイシャが顔を赤らめると同時に平手が飛ぶ
「バカな事を言ってんじゃ無いよ!」
 しかし、その平手には力が無く、虚勢の一撃な事はわかる
「まあ、どんな男と付き合おうが個人の問題だけど、ああゆうのは感心しないぜ、ましてや仕事に支障が出るんじゃな」
 軽いジョークのつもりなのか肩をすくめて言う
「みんなには謝るけど……今回だけは許してよ……」
 アイシャが目に涙を浮かべている、そんな姿を彼は見た事が無かったからどぎまぎしている
「おう……わかってるぜ、じゃあ後で宿まで来てくれよ、ほんの少しでいいからよ」
「うん……いつもの亭ね……」
 しおらしく頷いた時に
「いや……今回は目立たない所にしよう……」
 突然彼の声のトーンが変わる
「な……」
「町外れの廃屋がいいな……そこへ来るんだ……」
 その声には聞き覚えが……
「あんた……フィルを……」
「そこへ下着は付けずに今宵月が天頂にある頃来るんだ……そうしないともう一生フィル君にあえないよ……」
 それは彼女を辱めた男の声だった……
「フィルは無事なのね……フィルは!」
 彼は何も答えることなく振り向くとそのままこの家をあとにした、アイシャに選択肢など無いのだった……


 夜の道に彼女の影が月によって作られている、ひたひたと歩を進め既に何年も人の住んでいないであろう廃屋の前にやって来る。
「フィル……」
 スカートの裾を気にしながらアイシャは廃屋の門を開いた
「いるみたいね……」
 明りの灯された玄関ホールには4人の人影があった、彼女の冒険仲間だ、重戦士、魔導師、盗賊、僧侶……軽戦士であるアイシャを入れて5人のパーティーで他は全部男……
「えっと……今回はすまないけど」
 いつもとみんなの雰囲気が違うことはわかっていた、が
「仕事降りたいんだ……ちょっとした私用だけどさ……」
 空しくなるコメントだが相手の出方がわからない以上当初の予定通りに行くしか無い
「構わないさ……詫びを入れに来たんだろ?」
 正面に座っていた重戦士がそう言って立ち上がる。
「そう……だからごめんって」
「違うさ、スカートをめくって見せろ」
 そういつもと違うのはこう言う事なのだ、みんながあいつとグルなのか?それが理解でいない
「出来るわけ無いでしょ! そんなバカな詫びの入れ方があるものか!」
 今までの彼女達の関係は男と女では無く、冒険者としてお互いの実力を認めればこそのモノだった
「あるぜ、フィルが大事ならな……」
 そう、フィルの行方を知っているらしかった
「卑怯者……そんなやつとは……思わなかった」
 悔しさで涙が流れた
「それがお前の仲間さ……」
 先程から一人一人が喋っているのに聞こえて来る声は同じだった、そうあの男の声だ
めくれよ……」
 アイシャは悔しそうに唇を噛み締めながら、スカートを捲くっていく、そこは言われた通り下着を着けないでいる股間が震えていた。
「これでいいのかしら……」
 強がってそう言うしか今のアイシャには出来ない
「良し……では今度は脱いでもらおうか」
 まだ許す気は無いとでも言いたげな声が聞こえる
「は……い……」
 悔しげにその場でストリップをしていくアイシャを4人の仲間たちが見守っている、不思議な光景だった。
「よし、では舐めてもらおうか?」
 四人の股間は既にヤル気が溢れている。
「そんな事!……そんな……」
 男と女の関係になったら……もうパーティーとしてはお終いだといつも感じていた、だから……これ以上は
「弟の事は諦めるのかい?」
 魔術師がそう言ってアイシャの目の前に巨大な男根を見せつけるようにして迫ると
「俺はこっちでもいいな、背徳の味だ」
 僧侶は背後から尻の穴を舐った
「ああ……みんな正気に戻ってよ……こんなの嫌だよ……ねえ!」
「俺達は正気だよ、ずっとお前としたかったんだ、それをあんなカッコウを見せられて正気を保てるわけがないじゃ無いか」
 突然のその言葉に彼女は戸惑う
「うそ……あなた達は操られてるだけよ!」
 そう信じなければ、アイシャはやっていられない気持ちだった……
「それは違うさ……まあいいはじめようか……」
 目の前には4本の男根がならび彼女は抵抗出来ぬままに縛り上げられていく
「こんな事が許されるなんて……そんな……そんな……」
 メリ……
 あとは……ボロ雑巾のようになるまで体力は有り余るように持っている4人の冒険者が彼女の中に何度も何度も何度も……その欲望を吐き出していく

「絶望とはこんなものではないよ……」


 打ち捨てられたように玄関ホールに横たわるアイシャの身体には白濁した液体がこびりつき、彼女の朦朧とした意識を覚醒させるように
「ここでもしようか」
 尻の穴にねじ込んでいく……
「もう……もう……いやだ」
 こんな事をどれだけ続ければ終るというのだろう……アイシャは考えないようにしていたから……
「終って……早く……終って」
 彼女を犯し続けるその男根の持ち主が涙を流している事に気が付かないのだ。
「痛いよ……フィル……お姉ちゃん……もうダメ……」
 アイシャは弟を思う……
「あわせてやろう……」
 玄関ホールの中央にある両開きの扉が自然と開くと
「最後にこの子とまぐわってもらうぞ」
 そこには目隠しをされて裸の少年がいた
「フィル……」
 その声にフィルは嬉しそうに顔を向ける
「お姉ちゃん……良かった、僕の所為でひどい事になっていないよね……ごめんね……でもね僕にもお姉ちゃんを喜ばせることが出来るって、教えてもらったんだ」
 フィルの股間には少年とは考えられないほど巨大な逸物が屹立していた。それは今までアイシャを貫いていた仲間のどれよりも大きく、反り返っていた。
「ちが……ふごっ」
 何かを言おうとしたアイシャの口に重戦士の太い逸物が声を奪うために付きたてられる
「お姉ちゃん……喜んでくれるよね」
「ああ、君の姉は喜んでくれるさ……さあこちらにおいで……」
 全てが上手く運んでいる事に傀儡師は満足していた……
「うん」
 目隠ししたままフィルはゆっくりとアイシャのもとへ歩いて行き、アイシャは三人の冒険者によって受け入れるための
ポーズをとらされている
「さあ……真直ぐ腰を突き出してごらん」
 声のするままにフィルは腰を突き出してその長大な逸物をアイシャの中へと沈めていく……
「ああ……お姉ちゃん……気持ちいいよ、お姉ちゃんも気持ちいいの? ねえねえ……」
 フィルはそのまま何を教わる事もなく自分の身体の快楽が示すままに腰を突き上げ、激しくその欲望を貪っていく
『やめて……フィル止めてぇ……姉弟でなんてよく無いのよ……』
 身体を貫かれながらアイシャは泣き叫ぶ、貴族の間では近親婚もあることは聞いた事があるが……やはり庶民の出であるアイシャには禁忌に感じられる行為だった。
「ああ……お姉ちゃん……お姉ちゃん気持ちいい?ねえ……気持ちいいよね」
 フィルは更に激しく腰を突き出した、身体に似合わぬその長大なものが更に一回り膨れあがり
『ダメェ……出しちゃ』
 先程からの行為の中でそれが射精の前兆であろう事を察してもがいているが三人がかりで押えられてしまっていて動く事も出来なかった。
「ああ……お姉ちゃん!」
 ダッパ……タパタパ……
 次の瞬間身体の最奥に弾けるのとは別に……アイシャの胸元を熱い赤い液体が染めていた……
「がはっ……」
 フィルが喀血していた
「フィル! フィル!」
 必死で口の中の重戦士をはじき出してフィルに呼び掛ける
「あ……お姉ちゃん……大丈夫……まだ出来るよ……まだ……」
 出したばかりだと言うのにフィルの逸物は固さも大きさもまるで変わらないままアイシャの中でその存在を誇示していた。

「げほっげほっげほっ!……はあはあはあはあはあはあ……大丈夫……大丈夫だよお姉ちゃんが気持ち良くなるまでやるよ……ぜったいに……」
 フィルは咳き込みさらに血を吐きながら再び腰を使いはじめた
「フィル!止めなさい、あなたの身体の方が心配よ!」
 必死にそういうアイシャの声は今のフィルには届いていなかった
「お姉ちゃん……お姉ちゃん……あああ気持ちがいいよ……お姉ちゃんは最高だ……ああああああああ……」
 恍惚とした表情で血を吐きながら姉に腰を打ち込む彼の姿は神々しくもあった……
「姉弟愛とは……素晴らしいものですね……」
やめてぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
 それはアイシャの魂からの声だった、しかし彼女のその願いを聞き届けようとするものはこの場にはいなかった……いや表面上いない……
「お姉ちゃん……」




 外を通りがかった女性の名をフローライトと言い幼い外見とは裏腹にこの国に仕える魔導師の中でも数少ないマスタークラスを授けられるほどの人物だった。
「いやあぁな魔導の気が流れてるのかな?」
 考えると何やら不思議な空間があるのだろうとフローライトは思う。
「しかたない、いっちょ手助けしてあげましょうか」
 そう言って廃屋に足を踏み入れると、そこは悲惨な悲鳴を上げながら犯される女とそれを取り囲む男達……
「アイシャじゃ無いの? まったく……」
 フローライトは帽子を撮ると何やら口の中で呪文を唱えると投げた。
「ぎゃぶ!」
 帽子が部屋の中を一周してフローライトの元に戻った時男達は糸の切れた人形のように倒れていく……
「まだやるかな?」
 血を吐きながら腰を動かし続けているフィルの所まで行くと身体を引き剥がし、その長大な逸物を見て
「うわ! 凄いね」
「フローライト様……」
 疲れた表情のまま顔を上げるアイシャを手で制しながら
「これが原因ね」
 軽くディスペルを逸物にかけるとそこから激しく白濁液を吹き出しながらそれは小さくなって行き歳相応の少年のおちんちんに戻る……
『きさま……何やつだ……』
 苦しげに声がどこかから響く
「あんた見たいな卑怯者に名乗る名前は無いわよ! 、みんな解呪しちゃったから今までみたいに操れないんでしょ?連れて帰るからね」
 フローライトがなにやら呪文を唱えるとそのあたりの家具がゴーレムになってその場に倒れている皆を担いで外へ出て行く。
「ありがとうございます……ありがとうございます……」
 アイシャは涙を流して感謝していた。
『あと少しと言う所で……許さんぞ……許さんぞぉ……』
 怨念が深まってくのだった……




  つづく