第六話「逆撃」



 国内不穏分子を掃討すると言う名目で増強された軍は1国内の平定には強すぎると思える代物であったことはたしかだ、そしてその結果として隣国に対しての侵略と言うわかりやすい行動は始めから予定されていた感がある。
 戦争も1週間を数えるあたりにその優劣は誰の目にも明らかだった、攻め手は屈強にして勇猛であり、守り手は不意を突かれたとはいえ戦闘継続のための意思統一すらままなっていない状態だった。
 すでに城門を閉ざし、この都市国家は篭城戦構えを見せていた……が本来なら援軍を待つべきこの戦法も助けを呼ぶ事すら不可能ではいずれ備蓄を使い果たして惨めな敗北が未来には約束されている。
 冒険者を多く抱えていたはずのこの町も気が付けば沈む船からネズミが逃げるように商人に雇われてこの町から居なくなっていた。
 街中には敗北を受け入れまいと必死に虚勢をはる国の兵隊と突然の敗北にうろたえる市民達とが眠れぬ夜を過ごしているのだった。


 そして……
「負け戦ってのは見ていて辛いね……」
 アイシャとフローライトは街中をローブを深めに被って歩いていた。
「あのくらいの戦力なら魔導師さえ出て来なければ何ということは無いけどね」
 戦いの中で魔法が使われてはいたが、マスタークラスの術者は今の所この近辺まで来てはいない。
「王様に恨まれちゃうね、この状態で戦闘に参加出来きなかったから……」
 アイシャのその何気無い一言もフローライトには応える。この国の王様にはマスター位を授けられただけでは無くその人柄に惹かれていた事もあったかもしれない。
「しかたないさ……今の私達はただの奴隷であって戦士でも魔導師でも無い……更に言うならマスタークラスなんてものでも無いのさ……」
 屈辱はある、が反骨の精神はフローライトの中には無い、それ程の敗北だったのである。魔導師が先の読み合いで完璧に負けたのだから仕方は無いだが……
「う……私だって……」
 だがアイシャはそうは思ってはいない、身体が快楽の前に抵抗力を失っているとはいえ今だに傀儡師の呪縛から逃れようと思考するのだ、ただ人質が彼女の行動力を拘束する。
「ここね……」
 望んで来たわけでは無いが、その場に到着してしまった。焦燥間が町全体を覆う中狂気のはけ口の様にその場末の淫売酒場は賑わっていた。
「お邪魔するよ……」
 一瞬の躊躇の後、二人は店内に足を踏み入れ、そしてローブを脱いで
「私達を買わない? 今夜は安くしておくよ……」
 と、言った。
 


「戦況はこのままで構わんよ、時折城壁の内側に射かけてやるだけでいい、そうすれば自分達の敗北を自分達で早めてくれようというものだ……こちらは無駄に戦力を浪費する事も無い、戦はこれで終わりと言うわけではないのだから」
 新王の表情は高揚感で上気しているようだった。
「しかし思ったよりも呆気なかったですな、陛下」
 町から少し離れた街道沿いの宿場町の宿に本陣を置いて新王は町へ至る街道封鎖を行なっている、今も重臣の一人が報告に来ていた。
まあね……しかしプリシラもこんな事で命を落すとはね……」
 行方不明になっている妹をいきなり悪く言い出すのだ
「それにどうせ敵の手にかかるならもう少し攻め概のある国なら良かったのにな……」
 それは本心からか重臣にもわからなかったから、追従の言葉は控えた
「……んっ?……」
 どうかしたかと言わんばかりに新王は目線を向けたがもう下がれと言葉では無く手をふって済ませた
「まったく……こんな事まで自分でしなけらないけないのか? 私は……」
 本体なら前線まで来て戦闘指揮をするよりも国内の統制に専念したい時期では有るが残念ながら、軍を任せられるだけの人材にも信用出来る腹心にも出逢っていない状況だった
「まあ……この時期に……」
 国内で反乱があっても軍が手元にあれば制圧出来る、が軍がまるごと裏切った場合には打つ手が無いのが現場だから仕方無くここで戦闘指揮を取るはめになっていた。
『寂しい玉座ですね……王子……』
 そしてその声は一人になったのを見計らったように聞こえて来た
「忠告痛み入るが、その様な事は当人が百も承知、態々のご足労には及ばんので褒美は出しかねるが?」
 新王もまた今までそこにいたものに話を返すように慌てた様子も無い
『余裕がございますなぁ 王子……』
 その声も余裕を見せている
「いいやそれ程でも、折角のご忠告だから私も一つ忠告してもいいかな?」
 何処かで息を呑むような気配を感じながら
『どうぞ』

 にこやかに新王は
「目上の者に対する時には気を付けたほうがいい、私は王子では無く 王だ賊よ!」
 そして新王の話す言葉には威厳があった
『それこそ偽りではないのか? このまま近隣平定と行くのかな?』
 そう言わせたかったのだとその声の主は言わんばかりだ
傀儡師だね……私を恨んでいるのかな? 正道を歩まない君はいつでも狩られる立場だと理解しているかい?」
 風が動くと、気配に向かって幾本もの矢が向かっていく
『チィ』
 遠ざかりながらその気配の主は最後の言葉をかけて来る。
『妹は生きているぞ! あの城壁の中でな!』
「逃がしたか……プリシラが生きているだと……」
 それが真実だと確かめる術は今の新王には無かった。


「ああ……ああああ……ダメェ……」
 全身に描かれた刺青が男に貫かれる度、白濁した液をかけられる度に光りを発しアイシャの官能を更に暴走させた。
「ほれイいのか? もっとイいのをくれてやるぞ!」
 最初に彼女達が入って来た時にはその美しさに気圧されていたものの、一度誰かが手を伸ばして性交に及ぶと今度は我先にと争うようにその身体を求めるようになった。
「こっちの穴と一緒にな!」
 先程までアイシャの身体に入れて官能を疼かせていた男根を模したマジックアイテムは引き抜かれそれに変わって本物が進入を果たして来た
「ひゃあ……あぶぶ……あぶ……」
 既にこの場の人を見方に付けて何とか傀儡師に反抗しようとか考えていたものの、既にその事は頭の隅にも無く……
「ひゃあ……ダメェ壊れちゃう……イッチャウ……イッチャウゥウウウウウウウあひぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
 全身を痙攣させて何度も昇り詰め、しかし身体をいじられるとまた意識を快楽に揺り起こされたあげく溺れる、それを繰り返すうちにアイシャは快楽を楽しむようになって来る……
「あふぃ……もう……もう……もっと……」
 男達も迫力のあるそのアイシャの身体に溺れていく……


「ん……くるし……」
 アイシャが感涙に咽び泣いていた頃、フローライトは浴室に連れ込まれていた……
「浣腸好きと言うだけあって……入るものだな……」
 大きな女よりも小さな女が好みの連中はこぞってこの場に来てフローライトに何度目かの浣腸をしていた
「ダメ……もう……」
 排泄の開放感はフローライトを快楽へは導いてくれなかった……乳首とクリトリスに付けられたピアスも快楽を補強するものでは無く……苦痛のみが支配する時間を彼女は過ごさねばならない……
「よし! 俺からだ」
 フローライトを軽々と持ち上げると一気にアナルへ……そしてその場の乱交ははじまるのだが、思い出さなくてもいいものを思い出す輩と言うものは何処にでもいるものだ
「あんた名前フローライトって言うんじゃ無いか?」
 突然の質問、いつもの彼女なら返事はしなかったろうが、今の彼女は苦痛により朦朧状態だった……
え?……ええ……」
 苦痛に表情を歪めて何気に言葉を返した時に気が付いた
『しまった……』
 質問をした男の表情は凍っていた
「あんたこんな所で何してるんだ? あんた戦ってくれたらこんな惨めな思いをしないですむのに……」
 そして他の男達もその言葉で思い至る、この国を守るために戦うべきマスタークラスの魔導師が戦いの場にいなかっただけで無く男を漁っている変態行為に及んでる……
ちが……」
 ブチ!
ぎゃぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 いきなり片方の乳首のピアスが引き千切られた
「何で戦わなかったんだ?」
 もう片方も千切れんばかりに引っ張られている
「違う……違う……」
 ただ否定の言葉を口にする自分をフローライトは冷めた目で見ている、自分がただの女なのだと嫌と言うほど思い知った瞬間だった。
「国王様の前に行って弁明するんだな!」
 男達はフローライトに今までよりも大量の浣腸液を入れて男根を模したマジックアイテムで栓をすると縛り上げて外に連れ出した……目指すは王城……
「まって……まってぇ……陛下には……会えない……会えないわ……」
 しかし、彼女の言葉を聞くものはいなかった

「気が付いた?」
 フィルは震える身体を起こしながら重戦士を支えた
「くぅ……いったい何が?」
 といった直後に思い出し、表情を硬くする重戦士
「ちぃ! アイシャは……何処行ったんだ」
 自分達のした行為の弁明をすよりも今はアイシャの身が心配だった。
「わからないね……きっと僕達が足手まといになってる……姉さんは絶望してるんじゃ無いのかな?」
 細い身体に似つかわしくない逸物が哀れだった、重戦士はフィルの肩をしっかりとだくと
「取り合えず、姉ちゃんを取り戻そうぜ! 謝るのも償うのもそのあとだ」
 それに責任なら取ると言う言葉は飲み込んだ
「お姉ちゃんを好きなんでしょ?」
 飲み込んだはずの言葉を他人から言われるのは気持ちのいいことではない、重戦士も心臓が喉から零れるような錯覚に落ち入る
「からかってるのか?」
「だって……この所ずっとそう叫んでたでしょ?
 自意識が無かったとはいえもろに言っているとは青いと自覚する
「あなたが義兄さんなら……ぼくは構わないよ……」
 病と戦って来たこの少年は外見ほどは幼くは無いらしい、だが本人もいない状況で何を語っても空しいだけである事は彼にもわかる。
「あのな」
「待って!……声が聞こえない?」
 何か言おうとした重戦士を遮ってフィルは隣の部屋に歩き出した。
「おい……たっく」
 よほど洗脳に自信が会ったのかこの廃屋内は自由に行動が出来た、そして一つの部屋で
「これって……」
 その様子にフィルがたじろんでいると
「プリンセス・プリシラ……だな」
 重戦士が遅れて入って来た時見たものは拘束されて尻の穴に男根を模したマジックアイテムを入れられ、クリを細い糸で天井から吊られた状態で快楽の中を身もだえる少女の姿だった。
「どうしよう……」

 




見てはイヤァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
 国王の前に連れ出されたフローライトの挨拶の言葉はこのようなもので次の瞬間には排泄音が重なった
「何と言う姿だ……フローライト……そちが外へ冒険をすると言っていたのはこのような事なのか……」
 国王は御前が汚されたと言う事よりもフローライトの淫媚な身体が気になっていた
「こちらへ……」
 今まさに負けようとしている国の国王とは思えない行動だった
「君がそんなに男が好きならもっと早く言ってくれたら良かったのに……城の中でだって退屈などさせはしなかったものを……」
 聡明な王の姿はこの数日の敗戦の報で吹き飛んでいた
「ダメです……王よ……このような行為は……」
 傀儡師に蹂躪された時よりもうろたえている事がフローライトには不思議だった。
「市井のものに触らせても私には触らせないと申すのか? フローライトよ!」
 フルフルと首を振り否定をするものの、その次の言葉は発せられない……
我慢が出来ん!」
 フローライトの身体を悠々持ち上げると玉座の上で今までの思いを晴らすように国王は打ち込んでいく……
「ああ……あああん……陛下……陛下ァ……んあああんんんんあああん……くっ」
 そしてフローライトは感じていた……自分から国王の耳を噛みに行き、国王の胸を愛撫して腰を動かした……
「おおおお……いいぞ……いいぞフローライト!」

 戦争はまだ終ろうとしていた……が終局をこの時点で見えていたものは皆無だったのである……




  つづく