第ニ章「増殖卵」
夜の学校という空間には何処か何物をも寄せ付け無い神秘性がある。それは其処に巣食う妖怪達によって産み出されるある種の治外法権的な現代の魔境であるからかも知れない。
そしてこの時、学校がその空間に選ばれたのは当然の帰結かも知れなかった。
そのモンスターはこの学園を巣穴に選んだのだ、繁殖の為の狩り場も含めて。
今時、夜勤の見回りがあるとは遅れた学園だと新任教師の千草は思う。
「お金関係は全部銀行まかせ、ってことはあとは……変質者の侵入とかかな?」
などと言っていたら、視界の端に違和感を覚えた。
「ん?何だろう?……」
運動系の部室棟がある方向だった
「窓……開いてる?」
この時の彼女の感情を一言で言うと『下着ドロとかだったら嫌だなぁ』である、そんな輩と鉢合わせしようものなら発狂物であろう、が事態はそれ以上の驚きを持って千草を迎えるのである。
頭の奥には恐怖があった、何が起こったのか事態が掴めていない、が下腹部が必要以上に張っていてそれが現実を伝えて来るのだ。
『いやぁ……お腹の中に何かいる……』
そこまで認識した時に意識は現実を受け入れないようにする事で何とか平静を保とうとする。
つまり、無かった事しようとするのだ
「帰らなきゃ……家に帰らなきゃ……」
痛む全身を無視して必死に立ち上がろうとしては、転ぶを繰り返す
「何やってるの?私……」
「誰かいるの?」
突然かけられた声に彼女の精神は容易にパニックを起こす
「いやぁ! 来ないで!こっちに来ないでよ!」
聞き分けの無いダダッコの様な事を叫びつつ再び、その場に尻餅をつき立ち上がれなくなる。
「え?その声は」
近寄って来るのが副担任であることなど彼女にはわかろうはずもなく
「いやぁ! いやぁあああああ! 来ないでよぉ」
手足を振って近寄る物を阻止しようとしている
「舞華さん?」
相手にはわかっているらしかった
「いやぁ……」
あまりにも手の付けられない様子の彼女を何とか抑える為に側まで来て
「きゃ!」
床に零れていた粘着質の液体に足を取られて転ぶ事になった
「痛ったぁ……あっ!舞華さん」
そうしてようやく彼女の姿が全裸でしかも全身を白濁した液によって汚されている事を確認したのだ。
「そのお腹……」
そして一番目を引いたのが膨らんでみえる下腹部だった
「先生……いやぁ……来ないで!来ないでよぉ いやぁ」
転んた時に手に付いた液体が嫌な匂いをさせて糸を引いていた。
「わかったわ……ここにいなさい……」
声が上擦っているのが千草にもわかった、この学園の中でとんでもない事が起きてしまったのだ。
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部室に舞華を一人残すことは心配ではあったものの、ひとまず千草はするべき事を早急に考えなければいけなかった。
「ご両親に迎えに来て頂かなければいけないわね……校長には連絡すべきだろうか?」
彼女は明らかにレイプされている、しかもお腹が大きくなっている事を考えるとかなり以前よりその相手のとの性交渉があったと考えなければいけない。
「あれだけ床が汚されていた……もしかして相手は一人ではないのかも」
そうであった場合、脅されて肉体関係を強要され続けた揚げ句の妊娠という事も考えられる。
「何ヶ月くらいなのかな? 堕胎は出来るのかな?」
とにかく、舞華の心のケアをしなければいけないという使命感があった。
「まさか私の宿直の時に起こるなんて……」
自信が無かった、まだ赴任して半年も立っていない、自分が打ち解けているのかわからないからだ。
「他の先生に……来てもらおうか?」
弱気が頭をもたげる
「それよりも、お宅に電話して迎えに来てもらう事よね……」
何か気配がして振り返る
「まさか……レイプ犯がまだ校内にいるとか……」
夜の暗い校舎の中で嫌でも恐怖は沸き上がる
「まったく……こんなに汚れてる、私も着替えないと」
転んだ時にお尻に大量の液体が付着していた、よく見ると歩いて来た廊下に点々と滴っている
「もう……これはやっぱり一人じゃ無いわね」
そうして千草は職員室に入ると名簿を引っ張りだして受話器を手にした。
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「なに?お母さん電話お姉ちゃんじゃ無かったの?」
母は電話に出たあと青い顔をして居間に帰って来た
「えっと、私学校まで舞華を迎えに行かなきゃいけなくなっちゃったから……一人でお留守番出来る?」
そう言いながら母は姉の部屋に入ってく
「何?お姉ちゃんどうしたの?」
何でも無いと言いながら姉の衣装箱から下着までの着替えを一式用意している
「まさかお姉ちゃん強姦されたとか?」
冗談めかして出した言葉に母の身体がビクリと跳ねる
「聞いてたの?悪い子ね!」
その冗談に付き合えるほど母には余裕が無かった
「うそ……私も行く!」
まさかそんなことがとしか言いようの無い出来事が目の前にあった
「遊びに行くんじゃ無いのよ! 舞華はねぇ!」
「分かってるわよ! お姉ちゃんが大変なんでしょ! 私だって何か出来るよ! お姉ちゃんの力になりたいよ」
よく喧嘩をする姉妹だった、がけして仲が悪いのでは無いのだ
「よし、美香も行こう!」
そうして母の運転する車に乗り学校へと出発した。
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「ショックでしょうね……」
受話器を置いて、舞華の母の言葉が震えていたのを思い出す。
「誰にも言わないでが……それはそうよね娘の貞操だもんね」
そして千草は舞華を落ち着かせる為に何かをしなければと必死になって考えていた。
「マニュアルには無いものねこんな事態」
取り合えず温かいものでもと考えた千草は宿直室に行こうとして職員室の扉に手をかけた時に気が付いたのだ、違和感に
「この匂い……」
まさかホントにまだレイプ犯が校内にいる何てことがあるわけが無いのだ。
「ジャージ着替えないとね」
自分のズボンに付着した匂いだと思う、当然のように、だが扉を開けた時に見たものはその常識的見解が誤りである事を教えてくれる
「な……何?これ……」
目の前には怪しい液体を滴らせた男根の束が道を塞いでいた。
「な……」
次の言葉は出なかった、その内の一本が千草の口に進入したからだ。
『嘘!何……これ何』
それで理解出来たのは、ただのレイプでは無いという事だ、舞華はこのモンスターに凌辱されたのだ。
他の触手の行動も迅速であった、口に飛び込まれた一本を引き出そうと動いた千草の両手はそれを待っていたような二本の触手によって絡め取られてしまう。
手を引っ込めようと体重を後ろにそらした瞬間に足を払うようにさらに二本の触手が動きこれと連動してジャージのズボンが脱がされる。
「ん!」
脱がした触手はそのまま千草の身体を支えて持ち上げると職員室を出て暗がりの方向へ千草を運ぶ
『何よ、何なのよ、誰か説明してぇ』
突然の出来事に千草がまるで対応出来ないうちに、触手はいい様にパンティの中へと侵入を開始していた。
「ぷっ……ダメよ!ダメェ……」
叫んでみてもこの相手に聞こえているのかもわからない。
「私も……まさか……」
舞華の腹部が思い起こされる。
「あ……そんな……」
触手は下半身を散々愛撫すると次第に千草の性感を掘り起こしていく。
「気持ちいいなんて……嘘……」
本人も気が付いていなかった場所を的確に刺激して来る
「あぶ……だめ……ああ……そんな……あぐん……嘘……」
教師になって一月で学生のころから付き合っていた彼と別れた、教師が想像以上に会う時間が取れないハードな仕事だったのが理由だが、それ以来男性との性交渉が無い。
過敏になりすぎているとも思えるほどの刺激があった
「いく……そんな……こんな化け物に……」
自分でもどうしようも無い状況の中で追い立てられていく
「ひゅ……」
吸い込んだ息が出て来ない、絶頂の中で千草は自分が運動系の部室棟へと運ばれていく事を認識したような気がした。
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先生が青い顔をして飛び出していって……
思考の中に幾つかの映像が残っている
「あれは……何だったんだろう」
考えないようにしていても、どうしようも無いことはわかる、が思い出したくも無いのだ。
「助けて……助けてよう……」
眩暈がした、こんな経験をすれば誰でも気が触れるかもと言う認識をした。
身体を支えようと手を伸ばしても力が入らなかった
「嘘だぁ……私は見てない……見てないよう」
お腹が大きくなってる気がした。
見たくなくても目の前にあった、細いウエストは自慢だった、陸上競技だけでは無く運動には脆いぞと先生に言われた事も自慢だった。
「誰のお腹よ……」
大きく膨らんでいた、確実に大きくなっている
「あれが出て来るのかなぁ」
寒気がした、裸だけが原因では無さそうだった
「これが……盗ってるの?」
お腹をさわって愕然としていると、ゴロンといった感じでお腹の中が動いた
「何?あ……あぐぐ……うそ……」
激痛が伴い下半身がまるでそのモノを産み出す為に最初からそう言う生き物であったかのように蠢く
「何よ……私は……ああ……いやぁ」
四つん這いになって腰を低く、衝撃を与えないように床すれすれまで落すと膣道を逆に広げながらそれは出て来る
「うまれ……産まれるの……」
固い感触が床に着いたのを目も無いのに理解したように自然と腰を浮かしながらそれを産み落とす、舞華に植付けられた時の質量にしておよそ50倍もあろうかという卵だった。
「卵……産んじゃった……私……」
そこに先生が触手に連れて来られた。
「下ろして……もう堪忍して……」
上気した表情に譫言のように堪忍してをくり返している千草は衣服を全て剥ぎ取られ、股間からは触手の液体とは別の液体によってぬるぬるにされていた。
「先生ぇ!」
舞華の声がこの新米だけど責任感の強い教師を現実に引き戻した。
「あ……舞華さん……あ……」
触手ははじめから予定した行動でもあるかのように千草の乳房に巻き付いていた二本が乳房に針を刺し込んで行く。
「ひぃ!」
そして股間を愛撫していた一本が床に産み落とされた卵を拾い
「先生……そんな」
事もあろうにぬるぬるのあそこに押し付けて一気に子宮の中に押し込んだ。
「あが!」
そこまでの行為が終ると教師にはもう興味を無くしたように床に落した。
床に転がる千草の乳首からはうっすらとミルクが甘い香りを立ち上らせていた。
「先生……あ……」
そしてその目の前で舞華は次の卵を産み落とすためのポーズに入っていた。
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車は学校の敷地内に入ると外来駐車場で止った。
「お母さん、はやくはやく」
美香は飛び出して来て母の手を引き、校舎に行こうとする
「待って美香、たしか部室にいると先生はおっしゃっていたわ、そちらに行ってみましょう」
そこに待ち受けているものがどんなものか知るはずも無く二人は校庭の外れにある運動部の部室棟へと向かっていった。
まだ夜は開けそうに無い……
つづく……