「モモコ先生には試練が必要だね」
野球帽の少年が何か重大な言葉を言ったような気がするが、当のモモコに聞いていられる余裕はなかった。
「あ……あはぁ……はぁあ……」
艶かな黒髪が落ち、視界が下を向く。
落ちた卵は割れていた。
大型の芋虫のような異形が蠢いていた。
芋虫の体がボンッと膨れ上がる。触手が左右に纏まって骨状の装甲を持ちながら、図太い筋肉に包まれた。尻尾も二つに分かれると、両脚を形作る。頭部の眼球に意志のある目玉が宿った。