宇宙幕府ジャークマター艦内の最上階に位置する玉座の間に、灰色の頭に黒いジャージ姿の下級戦闘員インダベーが立ち並んでいた。
「連れてきました」
「ご苦労」
 部屋の中央――煌びやかな玉座に座った大柄な男は愉快そうに頷く。大男に傅く形で何人もの全裸の美女を侍らしていた。女性たちは物珍しそうな表情でモモコを見詰めてくる。
(敵が多い……それにこの拘束……脱出は難しそうね)
 モモコは整った美貌を朱に染める。
 衣服を纏わない全裸のモモコは、後ろ手に厳重な拘束具を嵌められていた。
(く、屈辱的だわ……)
 つい十数分前、自分が産み落としてしまった卵から孵った地帝獣スカルドグラーによって犯され尽くした影響で立っているだけでも困難なほどに体力を消耗している。
「お前がピンクマスク――モモコか」
 ジャークマターに組みする大男は、椅子に腰かけたままでワイングラスを持つようにモモコの卵型の顎を持ち上げた。整った美貌に、艶やかな黒髪がサラサラと流れ落ちる。
「ほぉ……」
 ギョロギョロとした目で、遠慮なく全裸のモモコを視姦してくる。
「……あなたは何者?」
 モモコは強気な眼差しで敵のボスである大男を睨みつけた。敵地の真っただ中という閉塞感が苦痛となって押し寄せる。それでもモモコは桜色の唇をキュッと噛み締めて耐える。
「知っても仕方あるまい」
「それでも名乗りなさい!」
「いい目だ。気に入ったぞ!」