「それでぇ……モモコ先生はなんでこんなところにいるのぉ〜?」
 野球帽の少年はにやにやと口元を歪めながら問いかけてくる。奴隷心がむらむらと湧き上がってくるモモコは、なんて説明しようか思考を巡らせようとした。
「こ、これはね……」
「こちらが商品ね。確かめてください」
「はい……」
 モモコはおそるおそる紙袋に入った品物を見やる。
 どぎついピンク色の奇怪な性玩具が入っていた。無数のイボがある張り型や小さな玉が並んだアナルビーズなど――それらが何に使われるものなのか、モモコは容易に想像できてしまった。
「あ〜! モモコ先生って欲求不満だったんだね〜」
 野球帽の少年は大胆にも、モモコのお尻にタッチしながら腰にしがみつき、カウンターの上に置かれたビニール袋を覗き込んでくる。
「ちょっと……」
「言ってくれれば、僕が慰めてあげるのに」
 紙袋に手を突っ込み、がさごそと探った挙句、ハンディー型電気マッサージ器を取り出す。
「これの性能を確かめてもいいよね?」
「どうぞ」
 店長は卑猥な笑みを浮かべて了解する。
「おとなしくしててね〜」
「う、うん……」
 相変わらず間延びしたような愛弟子の声に、モモコは抗うことができない。
 丸い突起部分が電気で振動する電気マが、緊張で身を固くするモモコの身体に押し当てられた。
「あっ、ああんっ……んぁっ!」
 ヴヴヴ……。
 タンクトップの上からお臍の穴を擽られ、赤い絹布に皺を作るように右側に反れ、脇腹を這い上がるようにして腋を撫で回される。
「やぁんっ! ああ……」
 ブルブルとした振動を送り込まれると、背筋をビクビクっと震わせて喘ぎ声を漏らす。
 宇宙帝国ザンギャックの慰安婦奴隷に堕とされて以来、社会的地位も女の尊厳もプライドも無残に踏み荒らされたモモコをこの太極拳の愛弟子だけは、いまだに『モモコ先生』と呼んで慕ってくれている。
「モモコ先生。もうちょっと屈んでくれない?」
 大切な子供に身体を弄られるだけで、胸の奥がキュンキュンと疼くのを感じた。
(……そうよ! これは性能テストなんだから、あたしは言われた通りにしなくちゃ……)
 ブラを身に着けることを許されなかったタンクトップには、尖った乳首の勃起具合が存在感を訴えていた。
「んああ……ん……ああんっ!」
 ヴヴヴ……。
 布越しに乳房をじっくりとバイブで苛められ、乳首に触れるか触れないかの瀬戸際で乳輪をグリグリと押し潰される。
「モモコ先生の身体って正直だよね〜」
 野球帽の少年は電マで胸を責め立てたまま、空いた手でモモコの太腿の付け根を触った。
「あっ、やっ、ダメぇっ!」
 ぐちゅっ……。
 純白のホットパンツの股間部はすでに愛液でぐしょ濡れだった。少年の指で急所を押されると、甘酸っぱい体液が太腿を伝ってゆく。
「ねぇ、モモコ先生。気持ちいいの?」
 ピアノの鍵盤を叩くようにトントンと虐められるのは、クリピアスの嵌められた剥き身のクリトリスだった。
「あっ、あっ……やだっ、も、もう……」
 強引な凌辱ではない。
 少年の性戯に呆気なく気を緩ませたモモコは、自ら快楽を求めてしまう。
「ちゃんと言葉に出して教えてよ。これの性能を確かめるって言ったでしょ?」
 小さな指先がホットパンツ越しに牝割れを抑え込み、電マをいまにも股間に触れそうな高さまで持ってくる。
「き、気持ちいいわ……だか、ら……お願い! も、もっとぉ――」
 ヴヴヴ……。
 身悶えするモモコの反応がよほど楽しいのか、言葉と焦らし責めをしていた少年は、あっさりとモモコから離れた。
「んじゃ、やめるね♪」
「……え?」
「これの性能テストだってばぁ。そんな残念そうな声を出さないでよ」
「あ、いや……あたしは……」
 快楽の海に溺れる寸前で中断された生殺し責めにあい、モモコは呆然と立ち尽くす。

「――それで、霞先生はどれを突っ込みたいんだい?」
「わ、私は……」
「デート中にずっと挿入れたままにするんだもんね。彼氏にばれるのは嫌だろうから、ちょっと小さいぐらいの方がいいかもなぁ。満足できないかもだけど」
 店内の奥からスポーツカットの少年がゲラゲラと笑い、霞の消えそうな声が聞こえた。