屈辱のフェラ奉仕

「フッフッフ、ご苦労様」
 玉座に腰かけたままのエロインダベーが満足そうに言う。
 まるでモモコが土下座の謝罪をしてるようなポーズだ。
「エ、エロ……インダベー?」
 モモコの反抗的な目線を楽しむようにエロインダベーの手元には、寄生蟲が握られていた。しかもピンク色の光を放つ蛍のような蟲だ。
「……や、やっぱり……っ」
 直感が閃く。
 何をされたのか、見当がついた。
「あ、あたしの……オーラパワーが……奪われたの……?」
 突如、モモコは言葉を切って力を抜く。その顔色があっという間に土気色になり、どっと汗が噴出す。そのまま耐え切れずに、低く呻いたまま重力に身を任す。
「……だ、……ダメ……っ……」
 もう身体を支えることもできない。
 完全に倒れてしまう。
「――うぐぅっ!」
 途端に、ガマロドグラーの鉤爪に鷲掴みにされたままの首が絞まる。
 モモコの足腰は力なく、自力で立つことは無理だというのに、崩れ落ちることは許されないようだ。
「い、息が……」
 ガクガクと痙攣を引き起こす太腿に力を込めて膝立ちをしないと、あっという間に頸動脈が絞められ、窒息死してしまうかもしれない。
「う、あああ……」
「もっと苦しめ、ピンクマスク!」
 ガマロドグラーからは、モモコに対する強烈な悪意が感じられた。
 ギリギリと握力を込められ、首の骨が軋む。
(まだ……チャンスはあるわっ!)
 モモコの意識が真っ白に染まった時、霞む視界の前でいきり勃った肉棒を垣間見た。仇敵ピンクマスクを絞め殺そうとする復讐心に興奮しているのだろうか――。
 絶望の中に一筋の希望を見出す。
「んん……」
 モモコは極度の疲労をひた隠し、牡に媚び媚の表情を浮かべた。
「んちゅぅ❤」
 桜色の唇でガマロドグラーのペニスにキスを接触させた。口をわずかに開き、唾液を混じらせた赤い舌で亀頭をぺろりと舐めてやる。
「グヌゥ?」
 憎むべき敵からの淫靡な行動に戸惑うガマロドグラーを尻目に、モモコは唇でちゅぱちゅぱと吸いたて、キスの洗礼を降らせた。
(そうよ! 絞め殺されるぐらいなら、フェラオチぐらい……なんでもないわっ!)
 案の定、首の圧迫が少しずつ緩むのが分かる。
「はぁ、はぁ……はぁ、はぁ……❤」
 モモコは口を大きく開き、ゆっくりと亀頭を咥え込む。熱く固い棍棒に唾液を潤ませた舌を這わせ、ぬらぬらと絡みつく。
「んふぅっ、んんん……ちゅぴっ、ちゅぱちゅぱっ……」
 亀頭にこびりついた精液の残り粕を舌で舐め取り、恥垢をこそぎ落とす。先割れを吸い込んで先走り汁を一滴残らず搾り取ろうとするあさましい女の性。
 首の締め付けが少し緩まった気がする。
「グルオオオッ!」
 モモコのフェラ奉仕に興奮したガマロドグラーは、かつて我が身を打ち滅ぼしたピンクマスクに復讐をすべく、力任せの激しいストロークでモモコを責め立ててゆく。
 ズンッ! ズンズンッ!
 喉奥を塞ぐ亀頭が押し込まれるイマラオチをされると、モモコは喘ぎ声を漏らして身悶えてしまう。
「んあっ、あんっ! んんん……はぁぁんっ❤」
 ぐちゅっ、ぐちゃっぐちゃっ!
 全身疲労で身体に力が入らないモモコは、窒息死から逃れるべく始めたフェラ奉仕の快楽に耐えることもままらなず、溺れてゆく。
(あ、あたまぁ……おかしく、なっひゃうぅっ!)
 モモコの意志とは裏腹に、女体は正直だ。
 すでに股間では牝貝がくぱくぱと開閉を繰り返し、愛液が洪水のように溢れ出し、しなやかな太腿に滴っている。
「グルオオオッ!」
 ガマロドグラーは愉悦の笑みを露わにし、モモコの後頭部を掴んで腰に思い切り突き上げた。獣臭い穢れたペニスが根元までを貫く。
「やめ……っ、あっ、はなし……、はぁ、はぁ、やだっ、んっ、あんっ❤」
 どぴゅるっ、どぴゅるっ! どぶどぶどぶっ!
 穢れた精液が勢いよく射精されたのが分かる。
 涙がポロポロと溢れ出して、卵型の頬を伝う。
 ピンクマスクとして絶対に倒さなければならない地帝獣に敗北し、フェラ奉仕してしまう倒錯した思い。口内射精の凄惨なショックに心が打ちのめされるも、その反面でマゾな興奮感も覚えていた。
「あっ、や……熱ぃっ、はぁっダメっ、んむっ、イクぅ❤❤」
 白濁色のマグマが口の中を満たしてゆく。
 綺麗に並んだ白い歯は白濁色に染まり、歯茎の奥まで粘液が浸透する。赤い舌の裏までもドロドロにされ、舌粘膜で精液の苦みを味わってしまう。
(う……そ……臭いのに、す……ごい❤❤❤)
 モモコは目を細めて悦に浸った。
 汚いはずのザーメンを、ごくごくと喉を鳴らして飲み下してゆくと、股間がジンジンと疼いた。
 ザンギャックやジャークマターに身体を蹂躙されるのとはわけが違う。
 地底帝国チューブに組みしていた地帝獣に敗北し、体内を支配されるのは――途方もない敗北感と悔しさ――だが同時に切ない多幸感を覚える。
「はぁ、はぁ……はぁ、はぁ……❤」
 モモコは熱い息を吐き出しながら、口を『O』の字に開く。ガマロドグラーに見せつけるように頬の裏や歯茎にこびり付いた精液に唾液を塗し、一滴残らずに飲み干してゆく。
「グフフフ……」
 ガマロドグラーは満足そうに微笑み、ようやく首絞めから解放してくれる。
 ドサッ!
 首の圧迫が消えた途端――モモコの気が緩む。
「んっ、んふぅぅぅ~❤❤❤」
 ぷしっ! ぷしゃっ、ぷしゃっ、ぷしゃぁぁぁっ!
 敗北絶頂に打ち上げられたモモコは頤を反らし、口内射精のオーガズムに酔い痴れてしまう。間欠泉と見紛うほどの潮が股間から噴き出し、床をびちゃびしゃと濡らす。




エネルギーを利用

「ふむ。これが、ピンクマスクのエネルギーか……」
 エロインダベーに手元から飛び立った寄生蟲は、攻撃宇宙戦艦モライマーズ艦内の大黒柱に降り立った。
「……え?」
 モモコは地面に寝転んだままで目だけで追う。
「よく見ていろ」
 エロインダベーが皮肉そうに言う。
 ピィィィィイイインッ!
 寄生蟲が翅を広げ、再び光を放った。
 臀部がピンク色に輝いたかと思うと、その光が大柱の中に吸い込まれてゆく。
 やがて寄生蟲の光が弱まり、大柱からガマロドグラーの体に戻る。
「エロインダベー様! モライマーズのエネルギー炉が10%蓄積されました」
「ほぉ、素晴らしいな」
 遺跡形態のモライマーズが地球に滞在している理由は、『プラネジューム』と呼ばれるエネルギーを吸収する装置である。
「ピンクマスクのエネルギーでプラネジュームが賄えるのか」
 資源豊富な地球の大地とはいえ、モライマーズのエネルギー炉が完全蓄積されるまで三か月はかかる。その一部をピンクマスクから奪ったエネルギーを有効活用できることを知って狂喜するエロインダベー。
「く、悔しい……」
 崩れ落ちたままのモモコは、エロインダベーの言葉を聞きながら悔しさで一杯だった。
 身体が動かせなくて、ジャークマターに一矢も報いることができないのも悔しいけれども、かつて倒したはずの地帝獣ガマロドグラーによってモライマーズの道具に利用されたのが残念でならなかった。


「お前はそれでもピンクマスクなのか?」
「……エロ、インダベー」
「調べはついてるぞ。モモコは失ったパワーを取り戻すことができるはずだ!」
 モライマーズ艦内の主であるエロインダベーの問いかけに、奴隷心を植え付けられたモモコはご主人様の望まれるままに、秘密を吐露してしまう。
「……オ、オーラパワーは……無限よ、何度だって……引き出すことができる……わ」
「よく言えたな。モモコの長所は諦めずへこたれないことだろう」
 エロインダベーの口調には珍しく、モモコの存在を気遣うような節があった。
「あたしのことを……」
 ご主人様の優し気な声に奴隷モモコは胸がキュンキュンっと昂った。
「モモコが、ピンクマスクのエネルギーをプラネジューム代わりに提供してくれれば、この大都市の大地が死ぬこともないのだ。悪い話ではあるまい」
 このモライマーズは地球からプラネジュームを吸収している。ならば、そのプラネジュームをすべて失った惑星がどうなるか――時期が来れば、この地球は爆発して文字通り『宇宙の塵』と化すのだ。
「ホントなのね……?」
「我々はこの地球が壊れても構わんぞ。他の惑星に移るだけだからな……ああ、そうだったな。戦隊ヒロインって奴はまだ他にも確認されていたな」
「……わかったわ! あたしがやるから誰にも手は出さないでちょうだい!」
 悪魔の申し出を受諾したモモコの瞳には、揺るぎない決意の光が宿っていた。