産卵絶頂

「あれれ~? おっかしいぞぉ~! モモコ先生のお腹、膨らんできてるよぉ? 妙だねぇ?」
「やぁっ、うそ……、そんなの……」
 モモコは重たい瞼を薄く持ち上げて、自らのお腹を見やる。
 ぐぐぐっ……。
 野球帽の少年が指摘した通り、徐々にお腹が膨らんできている。
「ううっ! うあっ!」
 ごりごりっ……とお腹の奥で固い物が蠢いているのが分かった。
「また、なの……?」
 モモコ本人でも皆目見当がつかないが、これまで15回もの同じ経験をしている。自分の子宮に異形の卵が宿ったことだけは理解できた。
「くひぃぃんっ!」
 ぶくぶくぶくっ……。
 まるでお尻の孔から空気を注入されているかのように、お腹が膨れ上がってくる。
 自分の胎内から強引に内臓を押し広げられる感覚は、苦しさしか覚えないはずなのに、本人の意志に反して股間からとめどもない愛液の滴が流れ落ちた。
「ううう!」
 あっという間にモモコのお腹は臨月間近にまで膨らんでいた。
「おめでただね♪」
 野球帽の少年はモモコのお腹に宿った新しい生命を、祝福する主張するように、モモコのお腹をポンポンと叩く。
「ふぁ……っ、あ……」
 ぷっくらとよく育った孕み腹を何度も叩かれると、それに応えるかのように胎内の赤ちゃんもゴロゴロと体をゆらして反応を示してくる。
 ポンポン……ドンドン……。
 お腹の外と中で反響し合うのは絶妙だった。
 力任せに母体を責めることなく、モモコの性感を熟知した繊細さで責めてくる。心地良い掻痒感が下半身を包み込み、自然と呼吸が乱れる。
「座ったままじゃ、赤ちゃんが出てこれないんじゃないの?」
「あんっ! はぅっ! んぁあん❤」
 モモコは疲労度の濃い両脚に力を込めて中腰で立ち上がり、くいくいっと腰を上下に揺り動かしてしまう。すると全身を蝕んでいたむず痒さは次第に甘ったるい痺れへと変化を始める。
(いやっ! 地帝獣なんか産みたく、ないのにっ!)
 次第にお腹もずっしりと重くなって、身体を支えるのが億劫に思えてしまう。
「今度はどんな赤ちゃんを産むのかなぁ~?」
 野球帽の少年に期待を含んだ眼差しを向けられた。
 この後に訪れる出産にモモコが抗う術はない。
 どれだけ抵抗しようとも無駄ならば、このまま出産快楽に身を任せたらどんなに幸せだろう――そんな邪な性欲さえ芽生えてくる。