産まれ出た地帝獣

「はぁ、はぁ……はぁ、はぁ❤」
 出産絶頂の余韻でアクメ顔を晒して、息も絶え絶えに身悶えているモモコ。
「う、ううん……」
 ペロペロと粘液質の塊が頬を撫でる感触に、モモコは意識を取り戻していた。薄く瞼を開いた瞳に飛び込んできた光景に声を荒げた。
「はっ!」
 モモコの顔面のすぐ目の前に、鋭い牙が立ち並ぶ口腔があった。生臭い腐臭を吹きかけられ、唾液を擦りつけられている。
 背筋がゾッとするほどの悪寒が走り抜けた。
「や、やっぱり、地帝獣ガルボドグラー!」
 茶色の皮膚に覆われた頑強な体躯、両手に鎌のような鉤爪、大きな口腔、赤く細長い舌。無機質な赤色の双眸は、ジッとモモコを見詰めている。
 いままで産まれてきたすべての地帝獣が、かつて我が身を滅ぼしたマスクマンに対する恨みを覚えていた。そしてガルボドグラーも目の前にいるモモコをピンクマスクだと認識しているのは間違いない。
 まさに殺されてもおかしくはない絶望的な現状。
「ひっ!」
 怖気を抱いたモモコは下肢をズリズリと這わせて逃げようと試みるが、両手は鎖で繋ぎ止められているために後退ることもできない。