「次の対戦相手は……っと♪」
 モモコの前に大柄な人影がぬっと現れた。
 ゴリラのような巨躯に、緑色の苔が付着した剛毛で覆っている。
 頭は肥大して、青い双眸が爛々と光ってモモコを見下ろしていた。
 見覚えのある異形の対戦相手の名は――。
「ち、地帝獣ラゴンドグラー!」
 モモコがピンクマスクとして光戦隊マスクマンに所属し、激闘の果てに打倒した地底帝国チューブ。
 それに組みした異形の怪物――地帝獣の一匹である。

『最強異種格闘技大会』
 参加資格は、種別不問・体重不問・性別不問・出自不問。
 男女を問わず、あらゆるジャンルの格闘家が、一定のルール下で闘う格闘大会である。
 確かに参加資格は不問とはいえ、これはあんまりではないか。

「倒したはずなのに……なんで……?」
 目の前にいるラゴンドグラーの脅威よりも、何かが頭の片隅に引っかかっている。
 それが何であるのかが気になって仕方がなく、モモコは呆然と立ち尽くした。
 まず記憶に蘇ってきたのは、ラゴンドグラーが生存している理由を、モモコの身体が知っている――ということだった。
 確か、宇宙幕府ジャークマターのエロインダベーに囚われの身になっていた頃、エロインダベーの趣味によって幾多の地帝獣と戦わされたような気がする。
「――っ!」
 そしてラゴンドグラーの股間で勃起した剥き出しの肉棒を見た途端、モモコは凌辱されたことが鮮明に覚えていた。
「あたしは……ラゴンドグラーを、産んだの……?」
 そんなことを取り留めもなく考えていると、強烈な隷属心が込み上げてきた。
 ラゴンドグラーの前で対峙しているだけで、女格闘家の闘志が掻き消されそうだった。