「おいおい、待ってくれよ。可愛い可愛い、モモコさんよぉ……」
「……え?」
 後ろから男の声がかけられ、華奢な身体に一気に緊張が走り抜ける。モモコは声の方向を振り返った。
 それは壁にもたれかかったクラスメイトだった。
 見るからに柄の悪い青年というのが第一印象だ。その取り巻きである男子が3人連れ添っていた。
「せっかく登校してきたんだろ? もう少し楽しもうぜ」
 いかにも外見通りの下卑た笑みを浮かべるクラスメイトに、モモコは顔をしかめた。
「あ、あの、その……きゃあっ!?」
 どう言葉を返すべきか思慮を巡らせていると、クラスメイトはいきなりモモコのスカートに手を伸ばしてきた。欲望に忠実すぎる男子の行動も、しかし無理のないことかもしれない。
「へっへっへ、このスカートの短さは拘束違反じゃないか」
 紳士淑女を教育すべく学校の方針から、女学生のスカートの丈は膝下10センチと決まっている。にもかかわらず、今のモモコは太腿の半ばより上ぐらいの短いスカートだった。
 ミニスカートから覗く太腿はボリュームに富み、弾けるような若さにピチピチと張っていて、男なら誰もがむしゃぶりつきたくなるような瑞々しさに満ち満ちている。
「あたしだって好きで短くしたわけじゃないわ! でも命令に従わないと、みんなが――」
 学校を占拠したゴーミンの命令だった。