ガシャンッ!
 金属製の手錠の鍵が解除される音とともに、モモコの視界にまたしても存在しない記憶がフラッシュバックする。
「ああ……」
 モモコは弱々しい表情を取り繕い、涙の滴が潤んだ瞳で――鉄格子の方を見やる。
「餌の時間だ、よく味わいな」
 インダベーが下卑た笑みを浮かべて立っていた。
 鉄格子の隙間から差し入れられるひしゃくの中身が、食事用の大皿にどぷどぷっと注がれてゆく。
「これが餌だなんて、狂ってるわ……!」
 牢屋の中に、生臭い粘液が渦巻き溢れかえる。
 精液がモモコの餌だと思うだけで、凄まじい吐き気が込み上げてくるが、飢えきった身体は、スペルマに含まれるたんぱく質に反応し、目が離せない。
 ぐ~ぐ~。
 空のお腹が音を鳴らした。
「ほら、我慢はよくないぜ。教えた通りに飲んだらどうだ?」
 インダベーはただの栄養補給としての食事を行わせるつもりはないらしい。