「……重い……どいてくれ……」
「え?」
見下ろすと、モモコのお尻の下から声が聞こえる。暗くて顔がハッキリとしないが、人影の様子。その苦しそうな声から推測するに――。
「……アキラ?」
一緒に奈落の闇に落ちたアキラだ。少年のお腹の上に座り込む形でモモコは乗っかっていたのだった。だが、モモコには彼を気遣うよりも前に、気になることがあった。
「ちょっと! 重いってどうゆうことよ!」
「うう……とにかく退いてくれ……重い」
「な! 女性に向かって、重いなんて言うなんて!」
モモコは顔を真っ赤に染めて怒鳴った。これでも戦闘や訓練でカロリー消費は激しいものの、決して太らないようにダイエットには気を使っている。
「あたしはこれでも四十台しかない――きゃぁ!」
抗議の声を発したモモコは突如、可愛らしい悲鳴をあげた。
「ちょ、ちょっとぉ……どこ触っているのよ!」
「重いから、どかそうとして!」
アキラは重さに耐えかねたのか、モモコを退かそうと手を伸ばした。偶然にもその手が当たった場所は、モモコの胸だった。 |