「くっ!」
 モモコは橋梁から落下する瞬間、咄嗟に切れたロープの端を掴んでいた。
「切れないでよ!」
 ロープにオーラパワーを流し、耐久力を高めているのだから、もちろん反動もあった。
 ビクビクッ!
 途端に身体が疼くのを感じた。
 胸が高鳴り、脈拍は異常に早くなる。
「はぅっ!」
 モモコ自身が引き出したオーラパワーを感知して、衣服の下の三点ピアスが反応しているのだ。
「んっ……」
 下半身を揺らした時、太腿の付け根で湿り気に包まれているのを感じた。
「とにかく、上へ上がらなくっちゃ――」
 モモコは烈風に翻弄されながらも、必死に手を伸ばした。その爪先まできちんと綺麗に手入れされた指が床板の上に――の前に、誰かにガッチリと掴まれた。
「――え?」
「手伝ってやるよ」
 それを聞いたモモコは、こんな情況にもかかわらず、目をぱちくりとさせて言葉を失う。
 大橋から見下ろしているのは、アングラー兵だった。
「いい体勢だな。流石にこの高さから落ちれば、無事ではいられないだろう」
「くっ……あたしのことは放っておいて!」
 優越感を漂わせながら喋りかけてくるアングラー兵に、モモコは這い上がりながらも冷静を保ち言い返す。