「はぁ……」
 下校時刻を迎えても、身体に圧し掛かる疲労が色濃く残っていた。
 メガネ君が学生服の上を貸してくれたはいいが、廊下を一歩踏み出すだけでも隠す布がない下半身が露わとなり、羞恥心が湧き上がってしまう女教師。
 こんな格好では電車も乗れない。

 はるなが困っていると――。

「へへっ、僕が自転車で送ってあげるから、心配しなくていいよ」
 メガネ君が照れたように鼻を啜り、自慢げに言ってくれる。
「……ん」
 はるなは頭脳明晰な才女ではあるが、こんな時に教育実習生として生徒にどう対するかの判断ができるほどの経験ははない。
 ましてや自分の恥ずかしい動画を撮られては、躊躇せざるを得ないのだ。
「えっと……」
 迷っていると、小太り君が近寄ってくるのを感じた。学生服に隠されたはるなの女体へと向けられている性的な視線だ。
「親友の頼みが聞けないってんなら、さっきの動画をネットにアップしちゃうぜ?」
「……そんな!?」
 小太り君に耳元で囁かれたはるなは、ビクッと背筋を震わせた。

 結局、不承不承ながらもアパートまで送ってもらうこととなった。