「そのまま裏口から出て来い」
 と命じられても
「え? このまま」
 今の香りは裸なのだ。
「早くしないと旦那さんが帰って来るんじゃない? もしかしたら玄関にもうついてる頃かもしれないよ」
 どんどん香りの不安を煽って、誘導していく。
「そ、そんな……ああどうすれば良いの」
 狼狽える香に、今度は優しい子供の声が聞こえる。
「今すぐ裏口のドアを開けて公園まで来ればいいんだよ、そうしたら服も全部返してあげるし今日の不貞も誰にも言わないでいて上げるから……」
「そ、そうね……
 どっちにしろ他の選択肢はないのだから、香は急いで勝手口から裏庭へと抜け出た。そして同じ時に玄関のドアに鍵が差し込まれていた、竜が帰って来たのだった。
「本当に出てきたぜ……」
 そして、その様子を一人裏に残った子供のメンバーが全てを撮影していた。