「ただいま」
「遅かったね、心配したよ」
 竜は香の心配までして待っていてくれたのだ。
「もう少しで部隊に捜索隊を出してもらおうかと連絡しそうになったじゃないか」
 冗談めかしてそう言ってくれてるが、生真面目な竜のことだから、もしかしたらそう言う事にもなるかもしれない。
「ごめんなさい、あのコインランドリーという場所をご近所に聞いたものだから」
 そう言って紙袋を下ろす。
「竜は知ってた、凄く楽しくて大量に洗濯して乾かしてきちゃったわ」
「ああ、学生の頃に良く使ったよ」
 自然に話をしている。
「そうなのね……私、知らなくて……」
 初めてコインランドリーに行ってみたと、子供たちに教えられたとおりに言い訳をしている。それが疑われない事も疑われる事もどちらも香には結論の出ないジレンマだった。