すべてが予定した未来へと動き出したのだろうか?
「どうかしら……コウは全然知らないままなのが少しだけ救いかも……」
 思い起こしてみても酷い事をされていた、部屋の中を見渡していても、室内の装飾品が全部リンを凌辱するために使われた器具達だった。
『ママ、私も天風星の技を引き継ぐために、大陸で修行してくる』
 突然そう言いだした娘は、ザンギャックによって、リンの卵子から造られたクローンのような存在だった。
『きっと、世界を守れるようになってみるよ』
 善悪は表裏一体、そのどちらかが滅べば、もう片方も滅んでしまう。
 それが世界の摂理であり、この世の理。
 ザンギャックによってリンを憎まされていた娘も、ジャークマター崩壊後は普通の親子のようになれていた、コウとも仲良くなってくれていて、喜ばしいと思っていた矢先の渡中だった。
『ひとまず、俺も学校休みだから一緒に修行してくる』
 リン一人を残してあっさりと二人で、行ってしまった。
「だから、きっとこの間を狙ってきそうよね」
 ザンギャックのゴーミンたちが去り、ジャークマターのインダベーたちが去っても、きっとまた何かが現れるのだろう。
「ここかぁ?」
 当たり前のように玄関のドアを開いてそれは現れる。
「え?」
 約束の時が来たとでも言わんばかりに、それはいたのだ。
「さて、今度は違う立場でやろうじゃないか?」
「サクラ子爵?」
 ゴーミン、インダベーの後にゴーマ族が帰ってきたというか。
「ダイ族とゴーマ族の子は強い気力を持ち合わせるらしいからな、さてリン、邪悪な存在の牝奴隷と化したダイ族の女よ、我の子を産むがいい!」
 そう言うさくら子爵の股間には、さくらの花のように五方にエラの張った亀頭がさくらの幹のようなゴツゴツしたペニスの先に付いていた。
「きゃぁ!」
 反射的に逃げ出そうとしたリンを、取り押さえたのは。
「高村さん!」
 それは、思い出の中で大事にしていたものの中心にいる人。
「メディア魔術師、離すなよ」
 そして、ゴーマ族としてリンに罠を仕掛けた人。
「サクラ子爵、待ってくれ」
 高村はリンを背後にかばい、サクラ子爵との間に割って入る。